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DBDプラズマアクチュエータを用いたフィードバック流れ制御技術に関する研究

JAXAスーパーコンピュータシステム利用成果報告(2021年2月~2022年1月)

報告書番号: R21JACA26

利用分野: JSS大学共同利用

PDFはここからダウンロード

  • 責任者: 浅田健吾, 東京理科大学
  • 問い合せ先: 浅田 健吾(asada@rs.tus.ac.jp)
  • メンバ: 浅田 健吾, 小川 拓人

事業概要

ロケットや航空機, 自動車といった様々な輸送機周りの流れを, プラズマ放電を利用したDBDプラズマアクチュエータと呼ばれるデバイスを用いることで制御し, 高効率で堅牢な輸送機システム開発を実現する. 時々刻々と変化する流れに対応するため, 本事業では3次元非定常流れのシミュレーションを行い, フィードバック制御手法の開発・実証を行う.

参照URL

なし

JAXAスーパーコンピュータを使用する理由と利点

大規模な3次元非定常流れシミュレーションをJAXAスーパーコンピュータで計算実績が豊富な圧縮性流体解析ソルバLANS3Dを用いて実施可能なため.

今年度の成果

本事業では, DBDプラズマアクチュエータ(以下PA)を用いたNACA0015翼周り流れ(レイノルズ数:63,000)の剥離制御において, 迎角に応じてPAの駆動方法を変化させるフィードバック制御モデルの提案と性能検証を行ってきた. 検討する制御モデル(図1)は翼面上に配置された圧力センサーで計測した圧力値の低下を渦の通過と仮定し, 渦の通過に応じて翼前縁付近に配置されたアクチュエータのON/OFFを切り替えるものである.

これまで, 比較的厚い翼型(NACA0015翼)に制御モデルを適用し, 実際の小型模型飛行機などに用いられている薄翼(石井翼)より幅広い迎角で高い空力特性を得ることを示してきた. 一定の厚みを越える翼型が巡航時にも運用可能になれば, 航空機の構造的・積載的な問題を解決する手段の一つとなる.

令和3年度は他の迎角に比べて揚抗比の改善がみられなかった迎角4度において, 効果的な制御方法がないか探るために, 標準的なバースト駆動の駆動周波数に対してパラメトリックスタディを実施した. バースト駆動はフィードバック制御とは異なり, 予め決められた無次元周波数F^+に従ってPAのON/OFFを切り替える駆動方法である.

図2に各制御手法によって得られた揚抗比を示す. それぞれバースト駆動(F^+=6, 12, 24), フィードバック制御モデル(Feedback), 連続駆動(Ccontinuous), 非制御(PA-OFF)を示している. バースト駆動周波数として, 今年度は失速迎角付近で効果的であるとされてきた6よりも高い周波数である12と24を検討した. これは剥離領域の流れスケールが低迎角では小さくなるためである. 図2に示すようにF^+=12を用いた場合に最もL/Dが向上していることがわかる.

図3に主要ケースの圧力係数(Cp)分布を示している. 最もL/Dが大きくなったF^+=12のケースは翼下面側(正圧側)の分布は非制御ケース(PA-OFF)に近い分布になっている一方で, 翼上面側(負圧側)では, 負圧のピークが最も高く, 前縁からコード長の40%位置付近まで, 他のケースよりも高い負圧の値を維持している. このような特徴的な圧力分布によって高いL/Dが得られていると考えられる. また, 剥離領域に特有な平らな圧力分布が比較ケース中で最も後縁側に見られる.

図4に主要ケースの瞬間場を示す. 等値面は速度勾配テンソルの第二不変量をコード方向速度で色付けしたもので, 渦構造を示している. F^+=12とFeedbackケースはPAの駆動によってスパン方向に軸を持つ2次元的な渦が翼面上に形成されているが, F^+=12のほうが渦同士の間隔は短く, 翼後縁付近で乱れた流れに遷移しているのがわかる. 翼後縁付近で乱れた流れに遷移する様子はPA-OFFに近い流れとなっているが, F^+=12では翼面上に渦が並ぶことで剥離領域が小さく抑えられている点が異なる.

このように当該事業で検討しているフィードバック制御モデルの性能が低かった迎角4度において, 比較的高い周波数(F^+=12)でPAを駆動することで, 非制御時の流れの特徴を適度に残しながら揚抗比を向上できることがわかった. 今後, 検討中のフィードバックバック制御モデルに高周波駆動の機構を導入することで, よりロバストなモデルが提案できると考えられる.

Annual Reoprt Figures for 2021

図1: 提案する翼流れフィードバック剥離制御モデル.

 

Annual Reoprt Figures for 2021

図2: 各制御法における揚抗比(L/D).

 

Annual Reoprt Figures for 2021

図3: 圧力係数(Cp)分布比較.

 

Annual Reoprt Figures for 2021

図4: 瞬間流れ場. 速度勾配テンソルの第2不変量をコード方向速度で色付け.

 

成果の公表

-査読付き論文

T. Ogawa, K. Asada, S. Sekimoto, T. Tatsukawa and K. Fujii, "Dynamic Burst Actuation to Enhance the Flow Control Authority of Plasma Actuators", Aerospace MDPI, Vol. 8, No. 12, Dec. 2021.

JSS利用状況

計算情報

  • プロセス並列手法: MPI
  • スレッド並列手法: 自動並列
  • プロセス並列数: 79
  • 1ケースあたりの経過時間: 40 時間

JSS3利用量

 

総資源に占める利用割合※1(%): 0.00

 

内訳

JSS3のシステム構成や主要な仕様は、JSS3のシステム構成をご覧下さい。

計算資源
計算システム名 CPU利用量(コア・時) 資源の利用割合※2(%)
TOKI-SORA 17.23 0.00
TOKI-ST 0.00 0.00
TOKI-GP 0.00 0.00
TOKI-XM 0.00 0.00
TOKI-LM 0.00 0.00
TOKI-TST 0.00 0.00
TOKI-TGP 0.00 0.00
TOKI-TLM 0.00 0.00

 

ファイルシステム資源
ファイルシステム名 ストレージ割当量(GiB) 資源の利用割合※2(%)
/home 60.00 0.06
/data及び/data2 16758.09 0.18
/ssd 200.00 0.05

 

アーカイバ資源
アーカイバシステム名 利用量(TiB) 資源の利用割合※2(%)
J-SPACE 11.12 0.08

※1 総資源に占める利用割合:3つの資源(計算, ファイルシステム, アーカイバ)の利用割合の加重平均.

※2 資源の利用割合:対象資源一年間の総利用量に対する利用割合.

 

ISV利用量

ISVソフトウェア資源
利用量(時) 資源の利用割合※2(%)
ISVソフトウェア(合計) 0.00 0.00

※2 資源の利用割合:対象資源一年間の総利用量に対する利用割合.

JAXAスーパーコンピュータシステム利用成果報告(2021年2月~2022年1月)


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所在地

JAXA(宇宙航空研究開発機構) 調布航空宇宙センター
所在地 〒182-8522 東京都
調布市深大寺東町7-44-1