世界初のロケットエンジン燃焼器の実機スケール
JSS3(JAXA Supercomputer System Generation 3)で世界初の液体ロケットエンジン燃焼器の実機スケール燃焼LES(Large Eddy Simulation)解析に成功しました。解析ソルバーには、JAXA研究開発部門第三研究ユニットで開発している大規模計算プラットフォーム「LS-FLOW-HO」を使用しました。「LS-FLOW-HO」は、100億点規模の計算を意識した計算速度向上、ロケットエンジンならではの超臨界圧燃焼の計算安定化、500本以上の噴射器からなる複雑形状モデル化を可能とし、従来のJAXA内製ソルバーに対して燃焼LESの計算コストを1/20以下と劇的に抑えたことで、燃焼RANS(Reynolds-Averaged Navier-Stokes)解析とほぼ同等の計算時間で燃焼LESが可能となっています。解析資源にはJSSの大規模チャレンジ企画(一定期間資源を占有できる制度)を利用して、TOKI-SORA の960ノードで各ノードに12プロセス(=4スレッド/プロセス)を立て、全11520プロセスを使用しました。本解析技術により、試験による計測や評価が困難な液体ロケットエンジン燃焼器内の非定常燃焼現象(音響と燃焼の連成、噴射器からの渦放出等)の再現性が大幅に向上し、現象理解および定量的な予測が可能となりつつあります。
本件に関する詳細は以下をご覧ください:
・液体ロケットエンジンの実機スケール燃焼器LESに向けた取り組み(2022/7)
・燃焼器 圧力変動・溶損を予測(2022/6)