現象解明とモデリングにもとづく燃焼器解析システムの研究
JAXAスーパーコンピュータシステム利用成果報告(2020年4月~2021年3月)
報告書番号: R20JDA201N06
利用分野: 航空技術
- 責任者: 青山剛史, 航空技術部門数値解析技術研究ユニット
- 問い合せ先: 溝渕泰寛(mizo@chofu.jaxa.jp)
- メンバ: 菱田 学, 南部 太介, 八百 寛樹, 安田 章悟, 溝渕 泰寛, 阿部 浩幸, 岡部 荘志, 松山 新吾, 本江 幹朗, 内山 和哉, 志村 啓, 大西 陽一, 小川 哲司, 桑原 匠史
事業概要
詳細シミュレーションによる現象理解とモデリングにより設計に適用可能な燃焼器解析技術を取得する.
参照URL
http://www.aero.jaxa.jp/research/basic/numerical/comb/index.html 参照.
JAXAスーパーコンピュータを使用する理由と利点
当該分野で世界と肩を並べる研究を実施するために必要な計算機資源はスパコンでしか得られない.
今年度の成果
AMMモデルの2次非線形渦粘性表現(QCR)は, コーナーで弱い2次流れを予測する課題があった. この課題に対し, コーナーフローにおける流れ方向平均渦度及びレイノルズ垂直応力の非等方性の重要性を念頭に置き, 平均渦度に関する非線形項を追加することでQCRを改良した. 図1は流れ方向平均渦度の分布であるが, 改良後のQCRは, コーナーで強い2次渦を再現し, コーナーの壁面せん断応力の予測を, 改良前に比べて約30%改善(図省略)するとともに, 航空分野で用いられるSAモデルのQCRの予測を上回る(優位性がある)結果を得た.
気液二相流解析ソルバに蒸発モデルを実装し, 蒸発を含む気液二相流詳細解析を実現した. また, 微小重力下で実施された単一液滴の蒸発試験との比較により, ソルバの妥当性を明らかにした.
成果の公表
-査読付き論文
1) H. Abe, “Direct numerical simulation of a non-equilibrium three-dimensional turbulent boundary layer over a flat plate,” J. Fluid Mech., Vol. 902, A20 (2020).
2) 2) Nambu, T., Mizobuchi, Y., “Detailed numerical simulation of primary atomization by crossflow under gas turbine engine combustor conditions,” Proceedings of the Combustion Institute Vol. 38 (2021).
3) Spalart, P.R. and Abe, H., “Some properties of wall-bounded turbulence, deduced from direct numerical simulations,” Physical Review Fluids (2021).
-招待講演
溝渕泰寛, 数値実験による燃焼流れの理解, 第58回燃焼シンポジウム, 2020.
-口頭発表
1) 阿部 浩幸, 溝渕 泰寛, 松尾 裕一, “非線形渦粘性モデルを用いたコーナーフローの予測,” 日本流体力学会 年会2020.
2) Abe, H., Mizobuchi, Y., Matsuo, Y., “Effect of a Quadratic Constitutive Relation on Juncture Flow Computations,” AIAA AVIATION 2020 FORUM, Jun. 15-19, 2020.
3) 南部太介, 溝渕泰寛, “Interface-resolved DNSによる単一液滴蒸発の数値解析,” 第58回燃焼シンポジウム.
4) Nambu, T., Mizobuchi, Y., “Detailed numerical simulation of primary atomization by crossflow under gas turbine engine combustor conditions,” the 38th International Symposium on Combustion, Jan. 24-29, 2020.
JSS利用状況
計算情報
- プロセス並列手法: MPIまたはXPFortran
- スレッド並列手法: OpenMP
- プロセス並列数: 1 – 512
- 1ケースあたりの経過時間: 2000 時間
JSS2利用量
総資源に占める利用割合※1(%): 6.15
内訳
JSS2のシステム構成や主要な仕様は、JSS2のシステム構成をご覧下さい。
計算システム名 | コア時間(コア・h) | 資源の利用割合※2(%) |
---|---|---|
SORA-MA | 37,262,414.02 | 7.05 |
SORA-PP | 19,282.63 | 0.15 |
SORA-LM | 3,281.65 | 1.93 |
SORA-TPP | 0.00 | 0.00 |
ファイルシステム名 | ストレージ割当量(GiB) | 資源の利用割合※2(%) |
---|---|---|
/home | 1,734.78 | 1.59 |
/data | 37,629.75 | 0.73 |
/ltmp | 7,369.06 | 0.63 |
アーカイバシステム名 | 利用量(TiB) | 資源の利用割合※2(%) | J-SPACE | 51.21 | 1.70 |
---|
※1 総資源に占める利用割合:3つの資源(計算, ファイルシステム, アーカイバ)の利用割合の加重平均.
※2 資源の利用割合:対象資源一年間の総利用量に対する利用割合.
JSS3利用量
総資源に占める利用割合※1(%): 2.99
内訳
JSS3のシステム構成や主要な仕様は、JSS3のシステム構成をご覧下さい。
計算システム名 | コア時間(コア・h) | 資源の利用割合※2(%) |
---|---|---|
TOKI-SORA | 16,092,487.29 | 3.46 |
TOKI-RURI | 28,379.91 | 0.16 |
TOKI-TRURI | 0.00 | 0.00 |
ファイルシステム名 | ストレージ割当量(GiB) | 資源の利用割合※2(%) |
---|---|---|
/home | 2,357.10 | 1.62 |
/data | 60,042.20 | 1.01 |
/ssd | 2,833.73 | 1.48 |
アーカイバシステム名 | 利用量(TiB) | 資源の利用割合※2(%) | J-SPACE | 51.21 | 1.70 |
---|
※1 総資源に占める利用割合:3つの資源(計算, ファイルシステム, アーカイバ)の利用割合の加重平均.
※2 資源の利用割合:対象資源一年間の総利用量に対する利用割合.
JAXAスーパーコンピュータシステム利用成果報告(2020年4月~2021年3月)