JAXAスーパーコンピュータシステム利用成果報告(2020年4月～2021年3月)

報告書番号: R20JACA12

利用分野: JSS大学共同利用

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• 責任者: 北村圭一, 横浜国立大学
• 問い合せ先: 間々下智広(mamashita-tomohiro-nj@ynu.jp)
• メンバ: 北村 圭一, 間々下 智広

事業概要

本研究では, 2段コーンを有する再使用実験機”RV-X”の飛行試験に向けて, 風洞試験と数値解析の両面からその空力特性の予測に取り組んでいる. 先行研究では, 風洞試験の結果との比較から数値解析の妥当性を確認し, 試験模型周りの流れ場を明らかにした. 本研究では, 次の段階として, 実際に飛行試験を行う実機サイズで数値解析を行い, その空力特性の予測に取り組んだ. また, 試験模型サイズとの比較を行い, 実機と模型の空力特性の差異について考察を行った.

参照URL

なし

JAXAスーパーコンピュータを使用する理由と利点

目的:再使用ロケットなどの細長物体に対する, 風洞試験模型と実機で差異が生じるメカニズムを明らかにし, 実機飛行における知見を与える.

必要性:レイノルズ数の大きい実機スケールの数値解析においては, 境界層を適切に解像するために必要な格子点数も増大する. そのため, 膨大な計算時間を短縮するために, 大規模な並列計算が不可欠となる.

用途:大規模計算を行う上で, 計算時間を大幅に削減することが必要であったため, JSS2及びJSS3を利用した.

今年度の成果

再使用ロケット実験機RV-Xの飛行試験を模擬して, 実機スケールでの数値解析を行った. 図1に計算格子を示す. また, 図2には風洞試験, 模型スケールの数値解析, 実機スケールの数値解析の軸力係数のグラフを示す. 特に迎角150～180度では実機スケールと模型スケールの差異が大きくなる. これは再使用実験機(実機)の帰還フェーズにおいて, 空力的な減速効果が想定よりも小さくなることを示唆している. この要因として着目したのは, レイノルズ数の違いが, 流れの剥離しやすさに影響を与えることである. 図3, 4に迎角180度における模型スケールと実機スケールの流れ場の可視化結果を示す. これらの図から, 模型スケールでは機体ベース部分で流れが大きく剥離するのに対し, 実機スケールでは剥離しないことが分かった. これによって, 実機スケールの機体表面に強い低圧領域が形成され, 本来の軸力を打ち消す方向に力が働くことが分かった.

図1: 計算格子

図2: 軸力係数比較

図3: 迎角180度における模型スケールのマッハ数分布と表面圧力分布

図4: 迎角180度における実機スケールのマッハ数分布と表面圧力分布

成果の公表

なし

JSS利用状況

計算情報

• プロセス並列手法: MPI
• スレッド並列手法: 非該当
• プロセス並列数: 512 – 4096
• 1ケースあたりの経過時間: 100 時間

JSS2利用量

総資源に占める利用割合※1(%): 0.28

内訳

JSS2のシステム構成や主要な仕様は、JSS2のシステム構成をご覧下さい。

※1 総資源に占める利用割合：3つの資源(計算, ファイルシステム, アーカイバ)の利用割合の加重平均.

※2 資源の利用割合：対象資源一年間の総利用量に対する利用割合.

JSS3利用量

総資源に占める利用割合※1(%): 0.16

内訳

JSS3のシステム構成や主要な仕様は、JSS3のシステム構成をご覧下さい。

※1 総資源に占める利用割合：3つの資源(計算, ファイルシステム, アーカイバ)の利用割合の加重平均.

※2 資源の利用割合：対象資源一年間の総利用量に対する利用割合.

JAXAスーパーコンピュータシステム利用成果報告(2020年4月～2021年3月)