回転爆轟波の詳細構造の解明
JAXAスーパーコンピュータシステム利用成果報告(2019年4月～2020年3月)
報告書番号: R19JCMP12
利用分野: 競争的資金
- 責任者: 青山剛史, 航空技術部門数値解析技術研究ユニット
- 問い合せ先: 松山 新吾(smatsu@chofu.jaxa.jp)
- メンバ: 松山 新吾
事業概要
本研究では回転デトネーション波の伝搬特性と詳細な構造を明らかにするためにラージエディシミュレーション(Large-Eddy Simulation, LES)による燃焼解析を実施した. 角田宇宙センターで実施されている回転デトネーション燃焼器の燃焼試験における安定作動条件について, 当量比0.6から1.6までの二次元および三次元シミュレーションを実施し, 燃焼器内を伝搬する回転デトネーション波の再現を試みた.
本研究は, 防衛装備庁が実施する安全保障技術研究推進制度 JPJ004596 の支援を受けたものである.
参照URL
なし
JAXAスーパーコンピュータを使用する理由と利点
メタン燃料の燃焼により生じる20以上の化学種を考慮した燃焼LESは非常に計算コストが高いため, 通常のワークステーションなどでは実行が不可能である. また, 複数の噴射条件についてパラメトリックな多数の解析を現実的な時間で実行するためにはスーパーコンピュータの利用が必要不可欠である.
今年度の成果
直径101mmの円環状燃焼器を想定したCH4・O2の非予混合回転デトネーションに関する LES を実施した. 二次元(図1)および三次元(図2)のLESによって得られた当量比0.6から1.6までの回転デトネーション波の伝搬速度はChapman-Jouguet速度に対して70%程度となることが示された. シミュレーションによる伝播速度は燃焼試験で得られた値よりも若干高めの値を示したが, おおよその傾向を再現することに成功した.
図1: 当量比1.0における二次元LESにより得られた瞬時の流れ場. (a)温度, (b)圧力, (c)CH4および(d)O2のモル分率.
図2: 当量比1.0における三次元LESにより得られた瞬時の流れ場. (上)圧力, (下)CH4および(d)O2のモル分率.
成果の公表
-査読なし論文
1) 松山 新吾, 岩田 和也, 小島 淳, 布目 佳央, 丹野 英幸, 川島 秀人, 水書 稔治, "非予混合噴射によるメタン・酸素の回転デトネーションに関する燃焼解析", 第57回燃焼シンポジウム, 講演論文集, B215, 2019.
2) Shingo Matsuyama, Kazuya Iwata, Yoshio Nunome, Hideyuki Tanno, Toshiharu Mizukaki, Makoto Kojima, and Hideto Kawashima, "Large-Eddy Simulation of Rotating Detonation with a Non-premixed CH4/O2 Injection", AIAA Paper 2020-1174, 2020.
3) 松山 新吾, 岩田 和也, 小島 淳, 布目 佳央, 丹野 英幸, 川島 秀人, 水書 稔治, "非予混合噴射によるメタン・酸素の回転デトネーションに関するLES", 2019年度衝撃波シンポジウム, 講演論文集, 1C1-2, 2020.
4) 岩田 和也, 松山 新吾, 小島 淳, 布目 佳央, 川島 秀人, 丹野 英幸, 水書 稔治, "JAXAにおける回転デトネーションロケットエンジン の基礎的 波面現象 の 解明および性能実証への取り組み", 日本燃焼学会誌 62巻200号, 特集「デトネーションの工業的応用」, 2020.
-口頭発表
1) 松山 新吾, 岩田 和也, 小島 淳, 布目 佳央, 丹野 英幸, 川島 秀人, 水書 稔治, "非予混合噴射によるメタン・酸素の回転デトネーションに関する燃焼解析", 第57回燃焼シンポジウム, 2019.
2) Shingo Matsuyama, Kazuya Iwata, Yoshio Nunome, Hideyuki Tanno, Toshiharu Mizukaki, Makoto Kojima, and Hideto Kawashima, "Large-Eddy Simulation of Rotating Detonation with a Non-premixed CH4/O2 Injection", AIAA Scitech 2020 Forum, 2020.
JSS2利用状況
計算情報
- プロセス並列手法: MPI
- スレッド並列手法: OpenMP
- プロセス並列数: 220 - 1920
- 1ケースあたりの経過時間: 360 時間
利用量
総資源に占める利用割合※1(%): 0.00
内訳
JSS2のシステム構成や主要な仕様は、JSS2のシステム構成をご覧下さい。
| 計算システム名 | コア時間(コア・h) | 資源の利用割合※2(%) |
|---|---|---|
| SORA-MA | 0.00 | 0.00 |
| SORA-PP | 2.49 | 0.00 |
| SORA-LM | 0.00 | 0.00 |
| SORA-TPP | 0.00 | 0.00 |
| ファイルシステム名 | ストレージ割当量(GiB) | 資源の利用割合※2(%) |
|---|---|---|
| /home | 342.25 | 0.29 |
| /data | 1,628.02 | 0.03 |
| /ltmp | 279.02 | 0.02 |
| アーカイバシステム名 | 利用量(TiB) | 資源の利用割合※2(%) |
|---|---|---|
| J-SPACE | 0.00 | 0.00 |
※1 総資源に占める利用割合：3つの資源(計算, ファイルシステム, アーカイバ)の利用割合の加重平均.
※2 資源の利用割合：対象資源一年間の総利用量に対する利用割合.
JAXAスーパーコンピュータシステム利用成果報告(2019年4月～2020年3月)