細長物体空力特性についての数値解析
JAXAスーパーコンピュータシステム利用成果報告(2019年4月~2020年3月)
報告書番号: R19JACA12
利用分野: JSS2大学共同利用
- 責任者: 髙木雄哉, 横浜国立大学
- 問い合せ先: 髙木雄哉(takagi-yuuya-ks@ynu.jp)
- メンバ: 北村 圭一, 髙木 雄哉
事業概要
本研究では, 2段コーンを有する再使用実験機”RV-X”の風洞試験模型を模擬し, 数値解析を行った. 特に, 大迎角における横力特性に焦点を当て, 大規模計算を行った. 対応する風洞試験を行い, 迎角60度における横力特性は定性的に十分一致した. また, オイルフロー試験との比較を行い表面流線の十分な一致も確認した. また, 迎角60度における横力発生メカニズムの解明に成功した. 今後は迎角90度や120度に着目して解析を行っていくことが課題である.
参照URL
なし
JAXAスーパーコンピュータを使用する理由と利点
目的
再使用ロケットなどの細長物体に対する, 大迎角での横力発生メカニズムを明らかにし, 実機飛行における知見を与える.
必要性
これまでの研究から, 空力デバイスや機体の周りに発生する渦を解像するため, 少なくとも3000万点以上の要素での非定常計算が必要であることが分かっていたが, 横力解析においては境界層近傍の渦の解像が必要となり, 結果的に1億8千万点の格子を要した. したがって計算時間を大幅に削減するために, JSS2を利用した.
用途
大規模計算を行う上で, 計算時間を大幅に削減することが必要であったため, JSS2を利用した.
今年度の成果
再使用ロケット実験機RV-Xを模擬した細長物体に対し, 空力係数の取得と流れ場の考察を行った. そして大迎角における横力発生のメカニズムの解明に取り組んだ. 図1に計算格子を示す. 本研究では実験におけるスティングを再現して計算を行った. 図2に各迎角におけるピッチングモーメント(Cm)特性と横力(CY)特性についての実験結果との比較を示す. いずれも実験結果と計算結果において定性的に良い一致を示した. 特に迎角60°の横力発生メカニズムに着目した. 横力は1つ目と2つ目のコーン部での剥離渦の発生に伴って横力が徐々に発生し, コーンの後方へいくほど横力が大きくなることが分かった(図3, 図4).
成果の公表
-口頭発表
高木雄哉, 北村圭一, 野中聡:ボルテックス・フラップを用いた再使用ロケット大迎角空力特性に関するDDES解析, 第50期年会講演会, 目黒, 1C09, 2019.
髙木雄哉, 武藤智太朗, 北村圭一, 野中聡:ダブルコーン型再使用ロケットの大迎角空力特性に関する風洞試験と数値解析, 第63回宇宙科学技術連合講演会, 徳島, 1H-04, 2019.
-ポスター
髙木雄哉, 北村圭一, 野中聡:フラップ角の異なるボルテックス・フラップを用いた再使用ロケットの大迎角におけるDDES解析, 第63回宇宙科学技術連合講演会, 徳島, P71, 2019.
JSS2利用状況
計算情報
- プロセス並列手法: MPI
- スレッド並列手法: 非該当
- プロセス並列数: 512 – 4096
- 1ケースあたりの経過時間: 100 時間
利用量
総資源に占める利用割合※1(%): 0.30
内訳
JSS2のシステム構成や主要な仕様は、JSS2のシステム構成をご覧下さい。
計算システム名 | コア時間(コア・h) | 資源の利用割合※2(%) |
---|---|---|
SORA-MA | 1,883,212.00 | 0.23 |
SORA-PP | 28,132.33 | 0.18 |
SORA-LM | 29,529.45 | 12.33 |
SORA-TPP | 0.00 | 0.00 |
ファイルシステム名 | ストレージ割当量(GiB) | 資源の利用割合※2(%) |
---|---|---|
/home | 240.33 | 0.20 |
/data | 4,901.89 | 0.08 |
/ltmp | 1,367.19 | 0.12 |
アーカイバシステム名 | 利用量(TiB) | 資源の利用割合※2(%) |
---|---|---|
J-SPACE | 0.00 | 0.00 |
※1 総資源に占める利用割合:3つの資源(計算, ファイルシステム, アーカイバ)の利用割合の加重平均.
※2 資源の利用割合:対象資源一年間の総利用量に対する利用割合.
JAXAスーパーコンピュータシステム利用成果報告(2019年4月~2020年3月)