JAXAスーパーコンピュータシステム利用成果報告(2022年2月～2023年1月)

報告書番号: R22JU0902

利用分野: 宇宙科学

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• 責任者: 澤井秀次郎, 宇宙科学研究所宇宙飛翔工学研究系
• 問い合せ先: oyama@flab.isas.jaxa.jp(oyama@flab.isas.jaxa.jp)
• メンバ: 谷口 翔太, 二村 成彦, 金子 賢人, 都甲慶, 森穂高, 遠藤桜, 澤田健, 篠塚温志

事業概要

火星ドローンの空力設計など高速流体力学に関する基盤研究を実施する

参照URL

「Akira Oyama Laboratory of Aerodynamics and Design in Space Engineering」参照.

JAXAスーパーコンピュータを使用する理由と利点

火星ドローンの空力設計にはLES計算などの大規模計算が必要になるため, スーパーコンピュータを利用する必要がある.

今年度の成果

火星探査航空機をはじめとする電動航空機のプロペラ配置の設計指針を得ることを目的とし, プロペラ・固定翼周りの流れに対して数値流体解析を行なった. 具体的には, 固定翼の翼端に搭載したプロペラの高さを直径の15%上下に移動させ, プロペラ高さ位置を変化させた場合に固定翼の空力特性に与える影響を明らかにした(図1). その結果, 固定翼単体の空力特性を考えた場合にはプロペラを上側に取り付けた場合に最も高い巡航時空力特性を示すことが明らかになった(図2).

また, 宇宙輸送機等の摩擦低減技術として表面リブレット加工に注目し, 数値流体シミュレーションを実施した(図3). その結果, 層流域におけるリブレットのはたらきは, 定性的にはマッハ数に依らないことがわかった. 一方で摩擦係数の変化率は亜音速域と比較して遷音速領域では約4%低減した. 本結果を踏まえると, 今後, 宇宙輸送機等への表面リブレット加工の実用化を検討する際には, 遷音速流れ条件下で適切に設計することが望ましいことがわかった.

図1: プロペラ・固定翼まわりの流れ場

図2: プロペラ高さ位置が固定翼単体の揚抗比に与える影響

図3: リブレット面の表面摩擦係数分布(亜音速)

成果の公表

-口頭発表

谷口翔太, 大山聖, 異なるプロペラ高さ位置におけるプロペラ・固定翼間の空力干渉, 令和4年度 宇宙航行の力学シンポジウムプログラム, 宇宙科学研究所, 2022年12月13日

谷口翔太, 大山聖, プロペラの高さ方向取付位置が固定翼の空力特性に及ぼす影響」, 第60回飛行機シンポジウム, 日本航空宇宙学会, 2022年10月12日

JSS利用状況

計算情報

• プロセス並列手法: MPI
• スレッド並列手法: 自動並列
• プロセス並列数: 720
• 1ケースあたりの経過時間: 170 時間

JSS3利用量

総資源に占める利用割合※1(%): 0.86

内訳

JSS3のシステム構成や主要な仕様は、JSS3のシステム構成をご覧下さい。

※1 総資源に占める利用割合：3つの資源(計算, ファイルシステム, アーカイバ)の利用割合の加重平均.

※2 資源の利用割合：対象資源一年間の総利用量に対する利用割合.

ISV利用量

※2 資源の利用割合：対象資源一年間の総利用量に対する利用割合.

JAXAスーパーコンピュータシステム利用成果報告(2022年2月～2023年1月)