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CMB偏光観測衛星LiteBIRDの光学要求解析

JAXAスーパーコンピュータシステム利用成果報告(2022年2月~2023年1月)

報告書番号: R22JDU20199

利用分野: 宇宙科学

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  • 責任者: 山田亨, 宇宙科学研究所宇宙物理学研究系
  • 問い合せ先: 永田 竜(nagata.ryo@jaxa.jp)
  • メンバ: 永田 竜

事業概要

LiteBIRD は宇宙科学研究所の戦略的中型衛星 2 号機として準備中の科学衛星計画である. ミリ波帯で掃天観測を行うことによりマイクロ波背景輻射の全天偏光地図作成を目論むものである. 偏光地図の奇パリティ成分を高精度で抽出し, 初期宇宙のインフレーションに由来する原始背景重力波の信号検出を目指している. 密度揺らぎによってもたらされる偶パリティ成分の信号に比べて, 原始重力波に由来する偏光成分は遥かに微弱なものであると予想されており, 装置特性やそれに付随する系統誤差を明らかにすることは差し迫った課題である.

2022 年度の活動では, 太陽光の回折による信号汚染の影響についての検討に着手した. 望遠鏡を取り巻く環境の影響を考慮に入れた低周波望遠鏡(LFT)のシミュレーションモデルを用いて, サイドローブを経由した太陽光の漏れ込みの定量化を試みた. 既に試験的な計算を完了している段階にあり, 今後はプログラムの省メモリ化やマルチスレッド化に取り組み, 本格的な調査に備える予定である. 加えて, 本年度は観測シミュレーションの入力データとなるマイクロ波背景輻射偏光地図の標本収集にも取り組んだ. 多数の標本を用いてシミュレーションを繰り返すことで, 将来的には系統誤差に由来する観測量の統計的不定性の評価にも取り組めるようになる見込みである.

参照URL

宇宙マイクロ波背景放射偏光観測衛星 LiteBIRD | 科学衛星・探査機 | 宇宙科学研究所」参照.

JAXAスーパーコンピュータを使用する理由と利点

LiteBIRD 計画では, 走査観測によってマイクロ波背景輻射偏光の全天地図を作成する目論見である. 本課題では時系列データの数値的な生成から偏光地図への変換まで, 一連のデータ処理を実解析に則った形でシミュレーションする. 三年間の観測期間を通じて 19 Hz のサンプリングレートで生成される各疑似データ標本に対して, ビームパターンの畳み込み積分を実行する. 積分は標本毎に千平方度を超える領域で実行され, ビーム関数は分角スケールの分解能(数百万グリッド点)でその都度評価される. 球面上の各点にビーム特性を射影することに伴う座標変換の繰り返しには巨大な計算量が求められるため, 集積された数値計算資源を必要とする. LiteBIRD は宇宙科学研究所戦略的中型衛星 2 号機に選定されており, 本課題において達成された検討成果は光学設計の根幹をなす要素としてプロジェクトの推進に大いに寄与している.

今年度の成果

今回採用した LFT 光学シミュレーションモデルには望遠鏡フォアバッフルやミッション機器を囲む放射冷却装置 (V-groove) などが組み込まれており, 望遠鏡側面から伝播してくる太陽光の回折の影響を評価することができる. (図 1) は, 試験計算で用いられた, 焦点面端に位置する検出器の 34 GHz でのビームパターンである. V-groove によって遮られた領域では, ビームの振幅が著しく抑制されているものの, 太陽が過ぎる離角 90 度付近において -90dB 程度の応答があることがわかる. 34 GHz は前景放射であるシンクロトロン放射が卓越する周波数帯域に属しているため, 今後はマイクロ波背景輻射の帯域である 100 GHz 近辺を想定したシミュレーションに取り組み, 回折光の影響の定量化を進めていく予定である.

本年度はそれらに加えて, マイクロ波背景輻射偏光地図の標本収集を行った. 単なるガウシアン場ではなく重力レンズ効果などの非線形性を反映させた約一万例の標本を準備しており, 将来的には種々の系統誤差によって連鎖的に変動する観測量の統計的不定性をシミュレーションによって同定することができるようになると期待している.

Annual Reoprt Figures for 2022

図1: LiteBIRD LFT を取りまく機器配置(左上枠内)に基づいた LFT 焦点面端に位置する検出器の 34 GHz ビームパターン : F.T.Matsuda et al, The 23rd Space Science Symposium (2023)

 

成果の公表

なし

JSS利用状況

計算情報

  • プロセス並列手法: MPI
  • スレッド並列手法: 非該当
  • プロセス並列数: 108
  • 1ケースあたりの経過時間: 2 時間

JSS3利用量

 

総資源に占める利用割合※1(%): 0.00

 

内訳

JSS3のシステム構成や主要な仕様は、JSS3のシステム構成をご覧下さい。

計算資源
計算システム名 CPU利用量(コア・時) 資源の利用割合※2(%)
TOKI-SORA 54781.12 0.00
TOKI-ST 1159.52 0.00
TOKI-GP 0.00 0.00
TOKI-XM 0.00 0.00
TOKI-LM 74.03 0.00
TOKI-TST 0.00 0.00
TOKI-TGP 0.00 0.00
TOKI-TLM 0.00 0.00

 

ファイルシステム資源
ファイルシステム名 ストレージ割当量(GiB) 資源の利用割合※2(%)
/home 3.33 0.00
/data及び/data2 6766.67 0.05
/ssd 33.33 0.00

 

アーカイバ資源
アーカイバシステム名 利用量(TiB) 資源の利用割合※2(%)
J-SPACE 0.09 0.00

※1 総資源に占める利用割合:3つの資源(計算, ファイルシステム, アーカイバ)の利用割合の加重平均.

※2 資源の利用割合:対象資源一年間の総利用量に対する利用割合.

 

ISV利用量

ISVソフトウェア資源
利用量(時) 資源の利用割合※2(%)
ISVソフトウェア(合計) 0.00 0.00

※2 資源の利用割合:対象資源一年間の総利用量に対する利用割合.

JAXAスーパーコンピュータシステム利用成果報告(2022年2月~2023年1月)


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所在地

JAXA(宇宙航空研究開発機構) 調布航空宇宙センター
所在地 〒182-8522 東京都
調布市深大寺東町7-44-1