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火星航空機および火星ロケット周りの流れ場と空力特性に関する数値的研究

JAXAスーパーコンピュータシステム利用成果報告(2024年2月~2025年1月)

報告書番号: R24JACA41

利用分野: JSS大学共同利用

PDF(準備中)

  • 責任者: 佐藤允, 工学院大学
  • 問い合せ先: 佐藤 允, 工学院大学(msato@cc.kogakuin.ac.jp)
  • メンバ: 後藤 彰斗, 守屋 龍, 中新井田 馨希, 佐藤 允, 白土 百合子, 高橋 陽平, 幸田 宙士

事業概要

JAXA宇宙研が中心となって火星飛行機や火星ヘリコプタ等の火星航空機に関する研究開発プロジェクトが行われている. 現在, JAXA宇宙研大山研究室では, 火星大気を模擬した低圧環境における火星ヘリ用ロータの空力性能を実験的に測定する研究を進めている. また, 火星飛行機に関する高高度飛行試験が実施されている. 本研究では, 様々な火星航空機周りの流れに関する数値解析を行うことにより, これらの空力特性および流れ場の詳細を明らかにする.

加えて, 火星で得られたサンプルを地球にリターンする際に使用する, 火星ロケットの研究が宇宙研の大山研究室で進められている. 火星では地球と比べて低レイノルズ数かつ高マッハ数環境となるため, 火星環境に即した最適なロケット形状の知見が必要不可欠である. 本研究では, 火星環境におけるロケット周りの流れに関する数値解析を行うことにより, ロケットの空力特性と流れ場から最適な火星ロケット形状を明らかにする.

参照URL

なし

JAXAスーパーコンピュータを使用する理由と利点

圧縮性流体解析ソルバー「LANS3D」, JAXAで開発された流体解析ソルバー「rFlow3D」および「FaSTAR」を用いて, 火星環境下での様々な航空機とロケット周り流れに関する大規模数値シュミレーションを行うため.

今年度の成果

火星飛行機におけるプロペラ-翼干渉の影響を明らかにするため, 低レイノルズ数領域においてプロペラ後流を模擬した旋回流れが翼の層流剥離泡に与える影響を調べた. 東北大学でおこなわれた実験条件[1]に基づき, 翼レイノルズ数を30000とした. プロペラ流れはActuator Disk ModelおよびActuator Line Modelを用いて模擬した. 数値解析ソルバーにはLANS3Dを用いた.

図1はActuator Disk Modelを用いて旋回流れのスワール数を変化させた各結果における翼面上の摩擦係数分布を示している. 図より, 旋回流の強さで翼面上の層流剥離泡の領域が吹き上げ側, 吹き下げ側ともに大きく変化することが観察された.

また, 火星ヘリコプタ用ロータの空力特性に対する壁面干渉の影響を調べるために, 火星ヘリコプタ「HAMILTON」[2]のヘキサロータを対象とした数値解析をrFlow3Dを用いておこなった.

今年度は図2に示すような開空間におけるヘキサロータの解析を実施し, 流れ場の特徴と空力特性に関する知見を得た.

加えて, 前年度に引き続いて火星ロケット周り流れに対するレイノルズ数とマッハ数の影響を調べるために, 既往研究で提案されている形状[3]を対象とした数値解析をおこなった. パラメータとして, レイノルズ数, マッハ数および迎角を変化させた. 数値解析ソルバーにはFaSTARを用いた. 図3は遷音速領域であるマッハ数0.95, 迎角20度におけるロケット上面の表面流線と圧力分布を示している. 機体上面と下面に生成される衝撃波の位置はレイノルズ数の影響を強く受け, その結果, レイノルズ数によって空力特性に差異が生じることがわかった.

[1] Okawa, M., Nishimura, R., Ikami, T., and Nagai, H., “Unsteady Propeller Wake Interference on Wing in Tractor Configuration at Low-Reynolds-Number Condition”, J. Aircraft, vol.62, pp. 3-12 (2025).

[2] Sugiura, M., Tanabe, Y., Sugawara, H., Kimura, K., Oyama, A., Sato, M., Yoshikawa, K., Buto, Y., Kanazaki, M., Kishi, Y., Kikuchi, D., and Minajima, T., “Blade Shape Optimization of Mars Helicopter Exploring Pit Craters”, VFS Forum 78-paper93, (2022).

[3] Jeffrey V. Bowles, Loc C. Huynh, and Veronica M. Hawke:Mars Sample Return: Mars Ascent Vehicle Mission & Technology Requirements, NASA/TM-2013-216511, (2013).

Annual Report Figures for 2024

図1: 翼面摩擦係数分布に対する旋回流の影響

 

Annual Report Figures for 2024

図2: 開空間におけるヘキサロータ周りの流れ場

 

Annual Report Figures for 2024

図3: ロケット上面の流れ場に対するレイノルズ数の影響

 

成果の公表

-口頭発表

[1] Akito Goto, Makoto Sato, “Large-eddy simulation on laminar-separation-bubble affected by swirling flow simulating propeller slipstream for low Reynolds number airfoil flow”, 77th Annual Meeting of the Division of Fluid Dynamics (2024).

[2] 白土百合子, 佐藤允, 大山聖, ”低迎角での火星サンプルリターンロケットの空力特性に関する研究”, 令和5年度宇宙航行の力学シンポジウム(2024)

JSS利用状況

計算情報

  • プロセス並列手法: 非該当
  • スレッド並列手法: OpenMP
  • プロセス並列数: 1
  • 1ケースあたりの経過時間: 1920 時間

JSS3利用量

 

総資源に占める利用割合※1(%): 0.15

 

内訳

JSS3のシステム構成や主要な仕様は、JSS3のシステム構成をご覧下さい。

計算資源
計算システム名 CPU利用量(コア・時) 資源の利用割合※2(%)
TOKI-SORA 3007534.33 0.14
TOKI-ST 39112.71 0.04
TOKI-GP 0.00 0.00
TOKI-XM 0.00 0.00
TOKI-LM 1265.84 0.09
TOKI-TST 37.55 0.00
TOKI-TGP 0.00 0.00
TOKI-TLM 0.00 0.00

 

ファイルシステム資源
ファイルシステム名 ストレージ割当量(GiB) 資源の利用割合※2(%)
/home 1559.00 1.05
/data及び/data2 291190.00 1.39
/ssd 5020.00 0.27

 

アーカイバ資源
アーカイバシステム名 利用量(TiB) 資源の利用割合※2(%)
J-SPACE 0.00 0.00

※1 総資源に占める利用割合:3つの資源(計算, ファイルシステム, アーカイバ)の利用割合の加重平均.

※2 資源の利用割合:対象資源一年間の総利用量に対する利用割合.

 

ISV利用量

ISVソフトウェア資源
利用量(時) 資源の利用割合※2(%)
ISVソフトウェア(合計) 1239.25 0.85

※2 資源の利用割合:対象資源一年間の総利用量に対する利用割合.

JAXAスーパーコンピュータシステム利用成果報告(2024年2月~2025年1月)