乱流のデータ同化に関する新理論とその数値的検証
東京理科大学理学部第一部応用数学科の犬伏正信准教授、一橋大学経営管理研究科の齊木吉隆教授、立正大学経済学部の小林幹准教授、大阪大学基礎工学研究科の後藤晋教授の研究グループは、乱流のデータ同化を説明する新たな理論を提案しました。理論の数値的検証にはJSS3 (JAXA Supercomputer System Generation 3) による大規模数値計算を用いました。
カオス的な挙動を示す気象や流体乱流のふるまいを予測する方法として、観測データとシミュレーションを組み合わせて予測精度を向上させる「データ同化」が注目されています。乱流のデータ同化研究において、大きな渦の観測データさえあれば小さな渦について推定が可能であるという現象が知られていましたが、その理論的背景はわかっていませんでした。今回、応用数学的なアプローチにより、この現象の理論的な裏付けに初めて成功しました。本研究で提案した理論はさまざまな系に適用できるので、将来的には気象予報の精度向上など実用性の高い分野への応用につながる可能性があります。
本研究成果は、2023年12月18日に国際学術誌「Physical Review Letters」にオンライン掲載
(https://journals.aps.org/prl/abstract/10.1103/PhysRevLett.131.254001)されました。
また、日刊工業新聞(2023年12月28日)を含む様々なメディアで報道されました。
https://www.nikkan.co.jp/articles/view/00697113