人工衛星 – SAOC
刻々と人工衛星から送られる膨大な地球観測データを最新技術で解析
人工衛星から送られてくる地球観測データを解析することで、私たちの生活にとって脅威となる様々な自然災害を予測することができます。このようなデータの解析には、蓄積された過去のデータから変化を読み取る処理が必要ですが、計算にかなりの時間がかかるうえ、データは日々増えていきます。
スパコンによるデータ処理技術とデータ解析技術の進歩により、膨大なデータの中から重要な情報を取り出し、深刻な自然災害の予測や、被害を最小限に抑える対策に活用されつつあります。
「いぶき: GOSAT(温室効果ガス観測技術衛星)」のデータ処理
「いぶき: GOSAT」は、地球温暖化の原因と言われている二酸化炭素やメタンなどの温室効果ガスを宇宙から測定する人工衛星で、平成21年1月23日の打上げ以降、現在も観測を続けています。
「いぶき」観測データを使って、地上から上空までの「地球大気全体(全大気)」の二酸化炭素平均濃度を算出したところ、月別平均濃度は季節変動をしながら年々上昇し、平成27年12月に初めて400ppmを超え、また季節活動を取り除いた濃度(推定経年平均濃度)が、平成28年2月に初めて400ppmを超えたことが分かりました。
「いぶき:GOSAT」には2つのセンサーが装備されていて、TANSO-FTS(温室効果ガス観測センサー)は二酸化炭素とメタンを計測し、TANSO-CAI(雲・エアロソルセンサー)エアロソルの空間分布と雲被覆を検出することができます。
JAXAではJSS2を使用し2015年11月にTANSO-FTSから送られて来た6.5年分のデータの再解析を行いました。従来の計算機では1年近く処理に時間がかかるところを、たった11日でその処理を完了することができました。将来的にはレベル2、レベル3の再処理と、TANSO-CAIとの実行比較を行う予定です。

GOSAT再処理条件と結果
GPM: 全球降水観測計画
GPM主衛星は地球全体の雨の様子を高精度で・高頻度で観測するために2014年2月28日(日本時間)に打ち上げられました。
衛星にはJAXA、NICT が共同開発した二周波降水レーダ(DPR)とNASAが開発したGPMマイクロ波放射計(GMI)が搭載されています。
JAXAではJSS2を使用し2016年6月に2.3年分のDPRデータを使いレベル1の再処理を行いました。その結果、2日間程で処理を完了することができ、レベル3までの高次処理を従来の20倍で処理できると予測しています。

GPM再処理条件と結果
観測衛星の紹介