イプシロンロケットの数値解析
マッハ数1.5におけるイプシロンロケットの数値シミュレーションと風洞実験
イプシロンロケットは、M-Vロケットの技術を継承した上で、簡素な打ち上げシステムによる小型衛星の効率的運用などを目的として宇宙航空研究開発機構(JAXA)にて研究開発が進められています。その空力特性を知る事は打ち上げ能力・制御性解析・荷重解析等、システムの成立性を評価する上で極めて重要です。本研究では、イプシロンロケットの機体形状に対し最新のCFD(数値流体力学)技術を利用した解析を行い、対応する風洞試験(圧力測定や可視化試験を実施)データとの比較を通して、イプシロンロケットの飛行中の周囲の流れ場や機体にかかる空気力を調べました。なお、解析には、現在JAXA/JEDIで開発中の物体適合・直交ハイブリッド非構造格子解析ツール”LS-Grid/Flow”を用いました。
代表的な飛行条件として、動圧最大となるマッハ1.5を選定し、まず風洞試験に対応する解析を行いました。その結果、衝撃波発生位置や境界層剥離の規模、機体にかかる軸力や法線力について測定データと良好に一致する解析結果を得られました。また、これに基づき実飛行時の解析も行い、実験では測定できない空力データ(ロール、法線力分布、レイノルズ数効果)を取得し、プロジェクトへ提供しました。

表面圧力分布と周囲の密度勾配絶対値分布(迎角5°, 横滑り角0°, ロール角0°)

a)数値シミュレーション結果 Cp (−0.3 < Cp < 0.4)

b) オイルフロー (SMSJ)
ロケット打ち上げ時の先端的音響環境予測技術
ロケットプルームは非常に大きな音響波を発生し、フェアリング内に搭載された衛星にダメージを与える危険性があります。打ち上げ時の音響環境予測は搭載衛星や射場設計には必要不可欠です。陰的LESに基づく数値シミュレーションを用いて、音の発生要因の解明と低減化を行っています。
イプシロンロケット射場周りの音響解析
ロケット打ち上げ時にプルームより発生する音波は搭載されている衛星に影響を与えることが分かっています。
イプシロンロケットの打ち上げ時に発生する、射場の形状に影響を受ける音響波の伝播を予測し、よりコストの低い低騒音設計を実現しました。
上図のように、イプシロンロケットの煙道出口から発生する音響波を抑えるためにスカートを延長しました。計算に用いた計算格子の格子点数は1.8億点で、JSS(512CPU)を利用し15-800Hz(full scale)の音響波の解像に5ヶ月かかっています。
数値シミュレーションにより、スカート内部で発生した音響波はスカート出口上部のエッジで回折し、機体へと伝播するので、 スカート延長による減音効果が期待できることがわかります。
上の図はTKE(乱流エネルギー)分布を示しています。音速線から地上に流れるプルーム(wall jet )も、まだ超音速であることがとらえられています。
イプシロンロケット解析動画
*実写部分には音声が入ってます。(打上げ時のロケット発射音を視聴できます)
イプシロンロケット紹介サイト