D-SENDプロジェクト
静粛超音速機(D-SEND#2)の数値シミュレーション
超音速旅客機の空力設計において、その空力特性や地上におけるソニックブームの推算は重要な要素です。計算は超音速チームで概念検討されている、衝撃波を従来の50%まで削減可能とする低ソニックブーム概念実証プログラム(D-SEND)の数値シミュレーションです。
従来型のコンコルド模擬形状のCFD 解析と比較し、縦3分力などの空力特性および地上におけるソニックブームの強度を高精度かつ高効率に推算・比較し設計に反映させることを目的としています。
2015年7月には低ソニックブーム設計概念実証プロジェクト第2フェーズ試験(D-SEND#2)で計測したソニックブーム波形を解析した結果、全機低ソニックブーム設計技術を世界で初めて飛行実証しました。
計算情報
- 1ケースあたりの経過時間:3時間
- ケース数: 50ケース
- ジョブの並列プロセス数:15~200プロセス
- プロセスあたりのコア数(=スレッド数):4~32コア
- プロセス並列手法:MPI
- スレッド並列手法:自動並列
- 利用計算システム: SORA-MA

D-SEND#2 の機体表面圧力分布

衝撃波予測のために行われたD-SEND#2機体周りの空間圧力分布
静粛超音速機(D-SEND#2)の数値シミュレーション結果
ソニックブームにおける大気乱流効果の数値解析
上空で発生した衝撃波は、地上まで伝播する過程で次第に形状が変化しますが、地表付近に存在する大気境界層に入射すると、強いピークを作り出したり、あるいは逆になだらかな形になります。これは大気乱流効果と呼ばれ、大気境界層内に存在する乱流的な変動が波面を進めたり遅らせたりすることで起こります。数値解析技術研究ユニットではこの大気乱流効果を予測するツールを開発し、D-SEND#2飛行試験で観測された波形は大気乱流効果を受けて変形したものであることを適切に表示しました。
計算情報
- 1ケースあたりの経過時間:1時間
- ケース数: 100ケース
- プロセスあたりのコア数(=スレッド数):12~32コア
- プロセス並列手法:MPI+Fujitsu compiler
- スレッド並列手法:OpenMP
- 利用計算システム: Dell Workstation

衝撃波の形状の変化
D-SEND紹介サイト