機体形状および突起が細長物体の空力特性に及ぼす影響についての数値解析
JAXAスーパーコンピュータシステム利用成果報告(2024年2月~2025年1月)
報告書番号: R24JACA21
利用分野: JSS大学共同利用
- 責任者: 北村圭一, 横浜国立大学
- 問い合せ先: 垣本 晴行(kakimoto-haruyuki-nb@ynu.jp)
- メンバ: 垣本 晴行, 小林 誠一朗, 川井 康平, 北村 圭一
事業概要
近年, 需要が拡大している小型ロケットでは, 制御装置等のデバイスが機体外部に突出することによる空力性能への悪影響が課題となっている. 先行研究では, 突起を付した細長物体高速飛行時の空力特性と周囲流れ場への影響をCFDと風洞試験により明らかにしてきた. この研究では, 突起物を風下側に配置し, 迎角α = 15 deg. となった場合に機体に生じる横力が最大となることが分かっている. しかし先行研究は鈍頭形状の突起物を付した場合の現象解明にとどまっている. 実際のロケットに見られる突起物は前方に傾斜形状が設けられているものが多く, 突起物の形状によって周囲流れ場や空力特性が変化することが予想される. こうした状況から, 本研究では数値計算を用い, 突起物の前方または後方の傾斜形状が細長物体全体の空力特性にどのような影響を及ぼすかを調査し, そのメカニズムを考察する.
参照URL
なし
JAXAスーパーコンピュータを使用する理由と利点
突起を付した細長物体高速飛行時の空力特性の解明のため数値流体計算を行っている. 特に, 突起物の傾斜形状の変化により, その周囲の流れ場の変化を詳細に解像する必要がある. そのため細かい計算格子を用いた大規模な計算を行う必要があり, そのためにJSS3を利用している. JSS3を利用した計算により, 風洞試験に近い計算結果を得ることができ, 可視化結果により空間的な流れ場の考察を行うことができた.
今年度の成果
傾斜形状をもつ突起物を付した細長物体を用いて迎角15度, 一様流マッハ数0.7, 1.3の数値計算を行った. その結果, 突起物の後方により鋭角な傾斜形状を設けることによって, 横力係数が最大で15%減少することが分かった. また, 流れ場を可視化し考察することにより, 後方傾斜形状が機体後方にかけて発達する剥離渦と膨張波を弱体化し, 左右の圧力差を減少させていることが分かった. 以上の結果は, 実際のロケットで頻繁にみられる前方傾斜形状の突起物の向きを逆にすることを意味しており. 後方傾斜形状は将来のロケット形状を決定するうえで非常に有効な選択となり得る.
成果の公表
-ポスター
垣本晴行, 熊井響希, 原優花, 大縄有毅, 北村圭一. "後方傾斜突起による高速飛翔体への横力低減効果". 第68回宇宙科学技術連合講演会. 2024
JSS利用状況
計算情報
- プロセス並列手法: MPI
- スレッド並列手法: 非該当
- プロセス並列数: 480 - 3840
- 1ケースあたりの経過時間: 72 時間
JSS3利用量
総資源に占める利用割合※1(%): 0.17
内訳
JSS3のシステム構成や主要な仕様は、JSS3のシステム構成をご覧下さい。
計算システム名 | CPU利用量(コア・時) | 資源の利用割合※2(%) |
---|---|---|
TOKI-SORA | 3976709.45 | 0.18 |
TOKI-ST | 62271.65 | 0.06 |
TOKI-GP | 0.00 | 0.00 |
TOKI-XM | 0.00 | 0.00 |
TOKI-LM | 661.94 | 0.05 |
TOKI-TST | 0.00 | 0.00 |
TOKI-TGP | 0.00 | 0.00 |
TOKI-TLM | 0.00 | 0.00 |
ファイルシステム名 | ストレージ割当量(GiB) | 資源の利用割合※2(%) |
---|---|---|
/home | 1306.67 | 0.88 |
/data及び/data2 | 112373.33 | 0.54 |
/ssd | 8366.67 | 0.45 |
アーカイバシステム名 | 利用量(TiB) | 資源の利用割合※2(%) | J-SPACE | 0.00 | 0.00 |
---|
※1 総資源に占める利用割合:3つの資源(計算, ファイルシステム, アーカイバ)の利用割合の加重平均.
※2 資源の利用割合:対象資源一年間の総利用量に対する利用割合.
ISV利用量
利用量(時) | 資源の利用割合※2(%) | |
---|---|---|
ISVソフトウェア(合計) | 1637.92 | 1.12 |
※2 資源の利用割合:対象資源一年間の総利用量に対する利用割合.
JAXAスーパーコンピュータシステム利用成果報告(2024年2月~2025年1月)