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熱音響現象における音響質量流及びそれに伴う熱輸送の数値的研究

JAXAスーパーコンピュータシステム利用成果報告(2024年2月~2025年1月)

報告書番号: R24JACA61

利用分野: JSS大学共同利用

PDF(はここからダウンロード)

  • 責任者: 葛生和人, 東海大学
  • 問い合せ先: 葛生 和人, 東海大学(kuzuu@tsc.u-tokai.ac.jp)
  • メンバ: 葛生 和人, 小川 将虎

事業概要

気体の封入されたダクト内に狭い流路径かつ温度勾配を有する流路が存在する時, 音響振動が発生することがある. この現象は熱音響現象として知られており, 発生した音場は, 音響質量流と呼ばれる, 振動振幅と比べて微小な管軸方向への1方向流れを伴うことがある. そのような音響質量流は, 初期に存在していたダクト内の温度分布に影響を及ぼし, 単純熱伝導や音響振動に伴う熱輸送(ドリームパイプ効果)以外にも対流熱伝達を引き起こすようになる. この音響質量流に伴う熱輸送現象は, 熱音響現象を利用した装置(熱音響原動機や熱音響冷凍機など)の熱輸送特性への影響が大きく, 装置の性能向上のために, その特性を明らかにすることが不可避となっている. 本研究の目的は, CFDによる数値シミュレーションを実施し, 熱音響現象における音響質量流と管内温度分布への影響, ひいては熱輸送特性への影響を明らかにしていく.

参照URL

なし

JAXAスーパーコンピュータを使用する理由と利点

本研究で実施される流体の数値シミュレーションは非定常圧縮性流体を対象としており, 非定常振動音場と熱輸送の相互作用を再現する必要があるため, メッシュ規模は比較的小規模ながら, 必然的に高精度かつ長時間スケール(熱輸送時間スケールで最低数秒から数十秒)でのシミュレーションとなる. また, 解析結果のデータベース構築のためには多岐にわたる計算ケースも必要となり, 総合的に大規模, 長時間のシミュレーション規模となる. このような規模のシミュレーションを実施するためには, 複数シミュレーションの長時間稼働が実現できるJAXAスパコンの利用は不可欠である.

今年度の成果

熱音響機関に発生する音響質量流(ゲデオン流)を抑制する機構としてジェットポンプが存在する. これは, 本質的に対称な振動振幅を有する正弦波音響振動に対して, ジェットポンプ前後の非対称性を利用して, 一方向流を誘起する機構である. しかしながら, 振動振幅の増加に伴う非線形性効果は, 一方向流れの適切な制御を困難なものとしている. また, ジェットポンプによる音響パワー損失と音響流抑制効果の関係を把握することも熱音響機関を開発する上で重要な課題である. これらの問題を解決するために, 共鳴管内にジェットポンプを挿入し, 音響振動流中に発生する一方向流の数値シミュレーションを行った. 具体的には, 両端開口部を有する共鳴管にジェットポンプを設置し, 共鳴管の途中に接続した枝管から音波を挿入することで一方向流の発生を再現した. 作動流体は, 大気圧室温(1気圧, 293.15K)の空気とし, 振動振幅は200Paから1000Paの範囲で変化させた. 両開口端およびジェットポンプを有する共鳴管と音波を挿入させるための枝管の配置を図1に示す. 数値シミュレーションの結果, 共鳴管内部には定在波音場が再現された. 入力圧力振幅に伴う定在波音場の圧力振幅分布および音響パワー分布を図2に示す. 図2に示す通り振幅の増加に伴いジェットポンプ部で大きな音響パワー損失が生じていることが分かる. さらに時間平均流速の断面平均値分布を図3に示す. 図に示すように振幅の大きさによって一方向流の向きが逆転している. 図4は, ジェットポンプ断面変化前後の時間平均流速に対する渦の生成の状況を示したものである. それぞれは一方向流の向きが逆転した場合を示しているが, 振幅の大きさに伴う渦生成の状況が影響していると考えられる. これらの関係は定量的な分析を含めてより今後詳細な検討が必要である.

Annual Report Figures for 2024

図1: 計算領域(共鳴管および枝管)の概略

 

Annual Report Figures for 2024

図2: 共鳴管に沿った圧力振幅分布(左)および音響パワー分布(右)

 

Annual Report Figures for 2024

図3: 共鳴管に沿った軸方向時間平均流速分布

 

Annual Report Figures for 2024

図4: ジェットポンプ周りの時間平均流速場に基ずく流線比較:600Paケース(左), 800Paケース(右)

 

成果の公表

なし

JSS利用状況

計算情報

  • プロセス並列手法: MPI
  • スレッド並列手法: OpenMP
  • プロセス並列数: 1 - 7
  • 1ケースあたりの経過時間: 700 時間

JSS3利用量

 

総資源に占める利用割合※1(%): 0.02

 

内訳

JSS3のシステム構成や主要な仕様は、JSS3のシステム構成をご覧下さい。

計算資源
計算システム名 CPU利用量(コア・時) 資源の利用割合※2(%)
TOKI-SORA 466964.39 0.02
TOKI-ST 0.00 0.00
TOKI-GP 0.00 0.00
TOKI-XM 0.00 0.00
TOKI-LM 0.00 0.00
TOKI-TST 0.00 0.00
TOKI-TGP 0.00 0.00
TOKI-TLM 0.00 0.00

 

ファイルシステム資源
ファイルシステム名 ストレージ割当量(GiB) 資源の利用割合※2(%)
/home 0.00 0.00
/data及び/data2 0.00 0.00
/ssd 0.00 0.00

 

アーカイバ資源
アーカイバシステム名 利用量(TiB) 資源の利用割合※2(%)
J-SPACE 0.00 0.00

※1 総資源に占める利用割合:3つの資源(計算, ファイルシステム, アーカイバ)の利用割合の加重平均.

※2 資源の利用割合:対象資源一年間の総利用量に対する利用割合.

 

ISV利用量

ISVソフトウェア資源
利用量(時) 資源の利用割合※2(%)
ISVソフトウェア(合計) 0.00 0.00

※2 資源の利用割合:対象資源一年間の総利用量に対する利用割合.

JAXAスーパーコンピュータシステム利用成果報告(2024年2月~2025年1月)