G-HAB ECLSSインテグレーション解析
JAXAスーパーコンピュータシステム利用成果報告(2024年2月~2025年1月)
報告書番号: R24JAE30300
利用分野: 宇宙探査
- 責任者: 辻紀仁, 有人宇宙技術部門ゲートウェイ居住棟プロジェクトチーム
- 問い合せ先: 高橋 良介(takahashi.ryohsuke@jaxa.jp)
- メンバ: 叶 健治, 西城 大, 菅原 大輔, 高橋 良介
事業概要
米国提案の国際宇宙探査計画「アルテミス計画」において, 月周回有人拠点ゲートウェイは, 持続的な月面探査活動に向けた中継基地として, 月周回軌道上に構築される有人拠点である. 主にISS計画に参加する宇宙機関が参画しており, 各モジュールや構成要素の開発を分担している. 将来的には4名の宇宙飛行士による年間30日程度の滞在が予定されており, 火星有人探査に向けた拠点としての活用も期待されている. 日本は, 主に国際居住モジュール(I-Hab)内のクルーの生命維持に不可欠な環境制御機能を担当しており, 空気の循環制御, 気圧の制御, 酸素の供給制御, 温度湿度の制御, 二酸化炭素や有害ガスの除去制御を担う装置を提供する. また, 環境制御以外では, Gatewayで使うバッテリの提供(I-Hab・ミニ居住棟(HALO)), I-Hab内・船外のカメラの提供及びI-Hab内の機器の冷却に使う冷媒循環用ポンプを提供予定. 将来の有人探査や地上への技術にもつながる上記の内容に加え, ゲートウェイ補給機による月面活動に必要となる研究機材や必要な工具類(船外活動服や調査ツール), 宇宙飛行士の衣食住を支える物資の輸送なども行う予定.
参照URL
https://www.exploration.jaxa.jp/assets/img/program/Leaflet_Gateway_A4.pdf 参照.
JAXAスーパーコンピュータを使用する理由と利点
月周回軌道に投入されるGatewayでは強いリソース制約(Launch Mass等)があるため, 従来のISS等とは異なり, 機器パネルが装備されず各種機器がむき出しの状態で艤装することを検討中であるため, キャビン内形状が非常に複雑になる可能性がある. また, I-HabモジュールはESAが取りまとめるモジュールであり, 日本国内にモックアップ含め試験検証に使用できるモジュールがないため, ECLSS機能・性能の検証については解析検証に依る部分が大きく, 実証ができるタイミングも開発最終盤となる.
キャビン内の空気循環解析や酸素等の混合・拡散解析が必要となるが, 上記状況から複雑形状での解析となり, 非常に多大な計算リソースが必要である. また, リスクが最終盤の実証で顕在化した場合, 手戻りインパクトは受け入れ難いものとなる. その観点から, JAXA Supercomputer System (JSS3) を用いて精度よく解析を行うことは, 定められた開発スケジュールでプロジェクトを完遂するために極めて重要な役割を果たすと考えられる.
今年度の成果
詳細設計フェーズに入りつつあるI-Habモジュール及びECLSS機器に関連して, JSS3を活用した酸素混合・拡散解析の試解析(複数ガス種, 非定常)を実施した. その結果, 従来の簡易化モジュールでの単一ガス定常解析では予見できていなかった酸素混合に関する大きな課題が判明し, 現在ESAとも連携し対策を検討中である.
成果の公表
なし
JSS利用状況
計算情報
- プロセス並列手法: MPI
- スレッド並列手法: 自動並列
- プロセス並列数: 180
- 1ケースあたりの経過時間: 500 時間
JSS3利用量
総資源に占める利用割合※1(%): 0.00
内訳
JSS3のシステム構成や主要な仕様は、JSS3のシステム構成をご覧下さい。
計算システム名 | CPU利用量(コア・時) | 資源の利用割合※2(%) |
---|---|---|
TOKI-SORA | 0.00 | 0.00 |
TOKI-ST | 0.00 | 0.00 |
TOKI-GP | 0.00 | 0.00 |
TOKI-XM | 0.00 | 0.00 |
TOKI-LM | 0.00 | 0.00 |
TOKI-TST | 364.57 | 0.01 |
TOKI-TGP | 0.00 | 0.00 |
TOKI-TLM | 0.00 | 0.00 |
ファイルシステム名 | ストレージ割当量(GiB) | 資源の利用割合※2(%) |
---|---|---|
/home | 1470.00 | 0.99 |
/data及び/data2 | 91860.00 | 0.44 |
/ssd | 15060.00 | 0.81 |
アーカイバシステム名 | 利用量(TiB) | 資源の利用割合※2(%) | J-SPACE | 0.00 | 0.00 |
---|
※1 総資源に占める利用割合:3つの資源(計算, ファイルシステム, アーカイバ)の利用割合の加重平均.
※2 資源の利用割合:対象資源一年間の総利用量に対する利用割合.
ISV利用量
利用量(時) | 資源の利用割合※2(%) | |
---|---|---|
ISVソフトウェア(合計) | 0.00 | 0.00 |
※2 資源の利用割合:対象資源一年間の総利用量に対する利用割合.
JAXAスーパーコンピュータシステム利用成果報告(2024年2月~2025年1月)