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電気推進機内のプラズマ解析手法の研究

JAXAスーパーコンピュータシステム利用成果報告(2024年2月~2025年1月)

報告書番号: R24JCWU04

利用分野: 連携大学院

PDF(はここからダウンロード)

  • 責任者: 溝渕泰寛, 航空技術部門航空機DX技術実証(XANADU)プロジェクトチーム
  • 問い合せ先: 名古屋大学大学院 工学研究科 航空宇宙工学専攻 杵淵紀世志(kiyoshi.kinefuchi@mae.nagoya-u.ac.jp)
  • メンバ: 井上 哲志, 生田 真也, 高木 涼平

事業概要

本研究ではホローカソードやMPDスラスタといった電気推進機のプラズマ物理現象の理解を目的としている. 実験におけるプラズマ計測が困難な電気推進機内外のプラズマ物理量の分布を調査するため, 電気推進機内外のプラズマの流れを数値シミュレーションによって解析する.

参照URL

なし

JAXAスーパーコンピュータを使用する理由と利点

JSS3を利用することで, 電気推進機内の流れ場をHybrid-PIC法もしくはDSMC法で解析する際に, 比較的コストの大きな計算を高速に解析できるため, 様々な条件下での解析を行うことができる.

今年度の成果

ホローカソードとMPDスラスタに関してそれぞれ以下に示す解析を行った.

・ホローカソードのHybrid-PICシミュレーション

ホローカソードは作動ガスの流量を絞るとプルームモードと呼ばれる不安定放電振動が発生する放電モードとなる. ホローカソードの不安定放電は推進機全体の不安定性を引き起こすため, 安定放電であるスポットモードと不安定なプルームモードの境界がホローカソードのスロットリングの限界となる. 今年度はスポットモードとプルームモードの遷移を数値解析により再現するため, 高流量作動と低流量作動時のホローカソードのプラズマの計算を試みた. Fig.1にキセノン流量10sccmと4sccmの時の放電電圧の振動波形を示す. 10sccmでは放電電圧がほとんど振動していないのに対して, 流量を絞った4sccmでは大きく振動していることが分かる. 低流量作動で放電振動が大きくなる理由として, 流量を絞るとプルーム領域で中性粒子密度が低下してイオン-中性粒子衝突によるIAT(Ion Acoustic Turbulence)波の減衰が小さくなり, IATの不安定波が大きく成長するためと考えられる.

・MPDスラスタの数値解析

MPDスラスタの数値解析においては従来, イオンと中性粒子を連続体として扱うことが多い. しかし, この方法では磁束密度の急減に伴う, イオンのLarmor半径急増の変化を正確に捉えることができない. そのため, 電子を流体, イオンと中性粒子を粒子として扱うHybrid-PIC法を採用し, 解析を行う. 今年度は将来的な外部磁場印加型MPDスラスタの解析に向けて, 磁場を考慮しない場合の解析を実施した. 今年度得られた結果では保存性が成り立っていないものの, 計算初期場の与え方について一定の指針を得た.

Annual Report Figures for 2024

図1: ホローカソードの放電振動波形

 

成果の公表

-口頭発表

高木涼平, 杵淵紀世志, 渡邊裕樹, 張科寅, 窪田健一, LaB6ホローカソードのプラズマ不安定性に関する志一シミュレーション, 2024年度宇宙輸送シンポジウム, 2025年1月

-ポスター

高木涼平, 杵淵紀世志, 渡邊裕樹, 張科寅, 窪田健一, LaB6ホローカソードの安定作動範囲拡大に向けたインサート温度計測とHybrid-PIC解析, 第68回宇宙科学技術連合講演会, 2024年11月

JSS利用状況

計算情報

  • プロセス並列手法: MPI
  • スレッド並列手法: 非該当
  • プロセス並列数: 12
  • 1ケースあたりの経過時間: 24 時間

JSS3利用量

 

総資源に占める利用割合※1(%): 0.04

 

内訳

JSS3のシステム構成や主要な仕様は、JSS3のシステム構成をご覧下さい。

計算資源
計算システム名 CPU利用量(コア・時) 資源の利用割合※2(%)
TOKI-SORA 0.00 0.00
TOKI-ST 361385.24 0.37
TOKI-GP 0.00 0.00
TOKI-XM 0.00 0.00
TOKI-LM 0.00 0.00
TOKI-TST 0.00 0.00
TOKI-TGP 0.00 0.00
TOKI-TLM 0.00 0.00

 

ファイルシステム資源
ファイルシステム名 ストレージ割当量(GiB) 資源の利用割合※2(%)
/home 1530.00 1.03
/data及び/data2 4900.00 0.02
/ssd 0.00 0.00

 

アーカイバ資源
アーカイバシステム名 利用量(TiB) 資源の利用割合※2(%)
J-SPACE 0.00 0.00

※1 総資源に占める利用割合:3つの資源(計算, ファイルシステム, アーカイバ)の利用割合の加重平均.

※2 資源の利用割合:対象資源一年間の総利用量に対する利用割合.

 

ISV利用量

ISVソフトウェア資源
利用量(時) 資源の利用割合※2(%)
ISVソフトウェア(合計) 411.66 0.28

※2 資源の利用割合:対象資源一年間の総利用量に対する利用割合.

JAXAスーパーコンピュータシステム利用成果報告(2024年2月~2025年1月)