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揚力型再突入カプセルにおける亜音速動的不安定性の物理

JAXAスーパーコンピュータシステム利用成果報告(2024年2月~2025年1月)

報告書番号: R24JFHC0312

利用分野: 事業共通

PDF(はここからダウンロード)

  • 責任者: 藤田直行, セキュリティ・情報化推進部スーパーコンピュータ活用課
  • 問い合せ先: 岡野泰人, 宇宙航空研究開発機構(okano.yasuhito@jaxa.jp)
  • メンバ: 大西 直文, 岡野 泰人

事業概要

大気圏再突入カプセルは, 亜音速, 遷音速域および超音速域において動的な空力不安定性が発生することが知られている. 適切な対策を講じるために, そのメカニズムの解明が求められている. 動的不安定性が発生する速度域によって振動の様相が異なることが知られており, これまでに申請者らは, 超音速域における動的不安定性の主因を明らかにしている. 一方で, 亜音速域については数値計算による実験の再現が難しく, 未だ満足な結果が得られていない. そこで, 格子数約 3 億点の大規模数値計算を実施し, 亜音速域での動的不安定性の物理の解明を試みる.

参照URL

なし

JAXAスーパーコンピュータを使用する理由と利点

カプセル運動を正確に予測するためには, 周囲流れを精度良く解像する必要がある. また, カプセル運動 1 周期分の計算に約 150 flow through time を要し, 結果の解析には数周期分のデータが必要となる. このように計算負荷が高い数値計算を格子数約 3 億点規模で実施することは現在の計算機環境においても挑戦的であり, スーパーコンピュータの利用が必須である.

今年度の成果

揚力型再突入カプセルである HRV 型カプセルの亜音速域での動的不安定性について調査した.主流マッハ数およびレイノルズ数はそれぞれ 0.7, 1.93×10^6 である. 5 次精度補間によって空間精度を向上させ, 時間精度は 2 次精度である. 格子点数約 3 億点および 4,000 万点の 2 つの計算格子で数値計算を実施した. まず, トリム角から 4 deg 頭下げ時において, x 方向速度で色付けした Q 値の等値面を図 1 に示す. 肩部で流れが剥離し, 剪断層が崩壊して乱流に遷移している. また, 両計算格子で大きく変わらない振動結果が得られた (図2). 動的不安定性特性を調べるため, カプセルを部分ごとに分割し, 周囲流体から加えられる仕事を評価した. その結果, カプセル上側側面およびベースにおいて流れから加えられる仕事が亜音速域の動的不安定性に大きく影響を及ぼすことが明らかとなった. ベースでの仕事が重要であることは揚力型カプセルでの超音速域における動的不安定性特性と異なり, コミュニティに与える影響は少なくない.

Annual Report Figures for 2024

図1: x 方向速度で色付けされた Q 値の等値面.

 

Annual Report Figures for 2024

図2: 格子点数約 3 億点および 4,000 万点の計算格子におけるピッチ角の時間履歴.

 

成果の公表

-査読付き論文

Yasuhito Okano, Shintaro Sato, Hiroki Nagai, and Naofumi Ohnishi, Dynamic instability in lift-type reentry capsule at supersonic flow, Physics of Fluids, Vol. 36, No. 7, 2024, Paper 076135.

-査読なし論文

Yasuhito Okano, Shintaro Sato, Naofumi Ohnishi, and Hiroki Nagai, H, Numerical Study of Dynamic Instability in Lift-Type Reentry Capsule at Transonic Flow, AIAA Paper No. 2024-4527, 2024.

-口頭発表

岡野泰人, 佐藤慎太郎, 大西直文, 永井大樹, 揚力型再突入カプセルの亜音速域における動的不安定性の数値解析, 第56回流体力学講演会/第42回航空宇宙数値シミュレーション技術シンポジウム, 2024年7月3日.

Yasuhito Okano, Shintaro Sato, Naofumi Ohnishi, and Hiroki Nagai, H, Numerical Study of Dynamic Instability in Lift-Type Reentry Capsule at Transonic Flow, AIAA 2024 Aviation Forum, Las Vegas, August 2024.

JSS利用状況

計算情報

  • プロセス並列手法: MPI
  • スレッド並列手法: 非該当
  • プロセス並列数: 720 - 7200
  • 1ケースあたりの経過時間: 360 時間

JSS3利用量

 

総資源に占める利用割合※1(%): 0.08

 

内訳

JSS3のシステム構成や主要な仕様は、JSS3のシステム構成をご覧下さい。

計算資源
計算システム名 CPU利用量(コア・時) 資源の利用割合※2(%)
TOKI-SORA 1985313.61 0.09
TOKI-ST 23611.16 0.02
TOKI-GP 0.00 0.00
TOKI-XM 0.00 0.00
TOKI-LM 0.00 0.00
TOKI-TST 0.00 0.00
TOKI-TGP 0.00 0.00
TOKI-TLM 0.00 0.00

 

ファイルシステム資源
ファイルシステム名 ストレージ割当量(GiB) 資源の利用割合※2(%)
/home 0.00 0.00
/data及び/data2 10206.67 0.05
/ssd 0.00 0.00

 

アーカイバ資源
アーカイバシステム名 利用量(TiB) 資源の利用割合※2(%)
J-SPACE 6.85 0.02

※1 総資源に占める利用割合:3つの資源(計算, ファイルシステム, アーカイバ)の利用割合の加重平均.

※2 資源の利用割合:対象資源一年間の総利用量に対する利用割合.

 

ISV利用量

ISVソフトウェア資源
利用量(時) 資源の利用割合※2(%)
ISVソフトウェア(合計) 0.00 0.00

※2 資源の利用割合:対象資源一年間の総利用量に対する利用割合.

JAXAスーパーコンピュータシステム利用成果報告(2024年2月~2025年1月)