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2023年度 JSS利用概要

JAXAスーパーコンピュータシステム利用成果報告(2023年2月~2024年1月)

JSS3利用概要について、報告します。

■JSS3運用期間:2020年12月1日~
※JSS3の主な諸元は、補足1を参照ください。

ジョブ充填率推移

JSS3の大規模プログラム化傾向

利用枠組み別の利用傾向

利用枠組み

利用枠組みは5つに分類され、それぞれの枠組みに適した利用率保障、ジョブの実行優先度制御が設定されており、研究開発成果の最大化を効果的に実現している。
FY2023の利用枠組み別のリソース配分を表2に示す。

利用枠組み別のFY2023実績

重点利用課題の実績推移


FY2016に開始した「重点利用の割合50%以下」という一般利用を圧迫させないためのルールをFY2021に初めて超過した。FY2022以降は50%を超えた重点利用課題に対して、ジョブの実行優先度をきめ細かく制御した効果がでている。

部門別の実績

航空技術部門、宇宙輸送技術部門、研究開発部門の上位3部門で80%以上を占める傾向が続いている。

課題別の利用実績

上位20課題で全体の62%を占めている。また、H3ロケットプロジェクトが全体の約13%を占めている。

FY2023利用試算経費

利用試算経費とは、CPU利用量とノード利用単金を乗算して表した仮想経費である。
部門別では、航空技術部門57%、宇宙技術輸送部門13%の二部門で70%以上を占めている。事業区分別では、【航空システム研究U】①先んずる研究が約30%と最も多い。

可視化技術

可視化技術は、計算結果をより正確にできるだけ早く解析するために必須の技術である。スーパーコンピュータ活用課では、JSS3/TOKI-RURIに各種可視化アプリケーションツール(FieldView, ParaView, Tecplot等)を用意しており、利用者は研究内容に合わせた可視化を行うことができる。

● 大規模計算結果の可視化
計算結果がある程度以上のサイズになり通常の可視化環境で可視化できなくなる場合には、可視化チームが適切な方法をアドバイスしている。複雑な大規模模可視化の例を下図に示す。

航空機解析コア技術開発図8: 航空機解析コア技術開発

H3ロケットの打ち上げ時の射場周りのシミュレーション図9: H3ロケットの打ち上げ時の
射場周りのシミュレーション

● 可視化の新技術
新可視化技術の利用を進めており、3Dプリンタを利用した立体的可視化技術は、数値シミュレーション結果を立体化することにより、今まで理解しづらかった複雑な流れの形状でも直感的に把握することが出来る。

透明樹脂を使った3Dプリンタモデル図10: 透明樹脂を使った3Dプリンタモデル
(航空機ランディングギア周り)

透明樹脂3Dプリンタモデル図11: 透明樹脂を使った3Dプリンタモデル
(航空機のバフェット解析)

● 3次元デバイスを使った可視化表示
MR(Mixed Reality)技術を使った可視化技術は、3次元ホログラムの数値シミュレーション結果を特殊なデバイスに表示させることにより、複数の研究者が多点間から同時に同じ計算結果を確認することを可能とする。 この技術は計算結果の検証のためだけではなく、航空機、宇宙機などの3次元設計の確認手段としても有効であり、作業結果をできるだけ簡単にデバイスに表示する方法の確立を目指している。

HoloLens2風車図12: HoloLens2を使った計算結果の表示 (2基の風車の解析)

VR(Virtual Reality)技術を使った可視化技術にも挑戦している。VRはMRよりもポピュラーなので、デバイスを使うのに慣れている研究者も多いであろうことから、可視化アプリケーション(ParaView)からの3次元画像出力を確認した。 しかし、スパコンのサービスとするにはデバイスの接続に解決すべき問題があるので、まだ先の技術だ。個別の相談には応じることが出来る。


図13: Meta Quest2を使ったVRによる計算結果の表示例

補足1 JSS3 主要諸元

表4: JSS3 主要諸元

JSS3主要諸元(修正版)

補足2 JSS3設備供用有償利用単価

表5: 2023年度JSS3利用料金表

JAXAスーパーコンピュータシステム利用成果報告(2023年2月~2024年1月)