宇宙機の再突入時における極超音速空力加熱の数値流体解析
JAXAスーパーコンピュータシステム利用成果報告(2023年2月~2024年1月)
報告書番号: R23JACA63
利用分野: JSS大学共同利用
- 責任者: 小笠原宏, 東京理科大学
- 問い合せ先: 安藤航洋(7523505@ed.tus.ac.jp)
- メンバ: 安藤 航洋, 朝光 大輝, 小笠原 宏, 芳川 大輝
事業概要
この研究の目的は, 特に「非平衡化学反応流」の解析技術を用いて高速で飛行する機体まわりの空力加熱シミュレーションを行うことで, より現実に近いシミュレーション結果を算出し, 機体の性能や要求を正しく予測・評価することです. 実際に高速で飛行を行う機体周りでは, 衝撃波直後の再圧縮加熱により, 流れが数万度にも及ぶ高温にさらされ, 空気中の酸素や窒素分子が解離し, 酸素, 窒素原子が生成される現象や電子が原子から離れてイオンとなる電離などの実気体効果が生じます. そのような機体周りの流れのシミュレーションは空気の解離や電離といった実気体効果における化学反応式を理想的な気体のみを取り扱う方程式に組み込み, 非平衡化学反応流を考慮した数値計算が必要となります.
参照URL
なし
JAXAスーパーコンピュータを使用する理由と利点
現在我々が研究している上段ロケットやリフティングボディの空力性能や熱防御の解析値の取得には境界層の分解のための莫大なメッシュや高精度な計算手法がJAXAスーパーコンピューターでFaSTARを用いて計算可能のため.
今年度の成果
リフティングボディ型再突入機の極超音速領域での熱空力解析に先立ち, 遷音速領域における機体付近の流れ場を可視化および空力係数の推定を目的に研究を行った.
JAXA解析ツールFaSTARを用い, 定常RANS解析を行った. 乱流モデルにはSpalart-Allmaras-noft2-Rを用いた.
図1に本解析で得られたピッチングモーメント係数の値を示した. Calculationは先行研究を参考にした基準点周りのピッチングモーメント係数であり, Calculation(ref)は機体全体で密度が一定という仮定のもと求めた重心を基準点としたピッチングモーメント係数である. どちらも, 迎角に対するピッチングモーメント係数の傾きが負から正へと逆転しており, 空力不安定性を示していることがわかる. 空間流れ場の分析から, この原因は, 図2にみられるノーズ部における流れの剥離であると判断した. また, 図3に示した機体近傍の流れからVortex Liftに似た現象も起きていることも分かった.
引き続き, リフティングボディ型再突入機を対象に, 特にマッハ数依存性や形状依存性の観点から機体の空力特性および空力加熱について研究を進めていく.
成果の公表
なし
JSS利用状況
計算情報
- プロセス並列手法: MPI
- スレッド並列手法: 自動並列
- プロセス並列数: 50 – 240
- 1ケースあたりの経過時間: 10 時間
JSS3利用量
総資源に占める利用割合※1(%): 0.00
内訳
JSS3のシステム構成や主要な仕様は、JSS3のシステム構成をご覧下さい。
計算システム名 | CPU利用量(コア・時) | 資源の利用割合※2(%) |
---|---|---|
TOKI-SORA | 62019.08 | 0.00 |
TOKI-ST | 0.20 | 0.00 |
TOKI-GP | 0.00 | 0.00 |
TOKI-XM | 99.70 | 0.05 |
TOKI-LM | 0.00 | 0.00 |
TOKI-TST | 0.00 | 0.00 |
TOKI-TGP | 0.00 | 0.00 |
TOKI-TLM | 0.00 | 0.00 |
ファイルシステム名 | ストレージ割当量(GiB) | 資源の利用割合※2(%) |
---|---|---|
/home | 0.00 | 0.00 |
/data及び/data2 | 0.00 | 0.00 |
/ssd | 0.00 | 0.00 |
アーカイバシステム名 | 利用量(TiB) | 資源の利用割合※2(%) | J-SPACE | 0.00 | 0.00 |
---|
※1 総資源に占める利用割合:3つの資源(計算, ファイルシステム, アーカイバ)の利用割合の加重平均.
※2 資源の利用割合:対象資源一年間の総利用量に対する利用割合.
ISV利用量
利用量(時) | 資源の利用割合※2(%) | |
---|---|---|
ISVソフトウェア(合計) | 0.00 | 0.00 |
※2 資源の利用割合:対象資源一年間の総利用量に対する利用割合.
JAXAスーパーコンピュータシステム利用成果報告(2023年2月~2024年1月)