回転球面上2次元乱流での大規模流形成における三波近共鳴相互作用の役割
JAXAスーパーコンピュータシステム利用成果報告(2023年2月~2024年1月)
報告書番号: R23JACA46
利用分野: JSS大学共同利用
- 責任者: 小布施祈織, 岡山大学
- 問い合せ先: 小布施祈織(obuse@okayama-u.ac.jp)
- メンバ: 萩森 祐介, 小布施 祈織
事業概要
惑星大気の運動を記述する最も簡単な数理モデルの1つである2次元球面上順圧モデルでは, 木星などの巨大ガス惑星などで見られるような大規模帯状流が自発的に形成される. しかしながらこのメカニズムは明らかになっていない. そこで本研究では, この系に特有なロスビー波解の非線形相互作用を詳細に調べることにより, 帯状流の形成メカニズムを明らかにすることを目標とする.
参照URL
なし
JAXAスーパーコンピュータを使用する理由と利点
共同研究をする可能性のある研究グループがJAXAスーパーコンピューティングシステムにアカウントを有していたため, 共同研究をする場合のデータの共有を考えると当システムの利用が望ましいと考えた. また,前年度からの継続研究であり研究に必要なデータの大部分がJAXAスーパーコンピューティングシステムに置かれていたため, 継続利用を希望した.
今年度の成果
回転系2次元乱流のダイナミクスを支配するロスビー波の非線形相互作用が, この系で見られる自発的な大規模帯状流形成に対して, どのように働いているのかについて調べた. 非線形相互作用を近共鳴/遠共鳴および局所/非局所に分類し, それぞれの相互作用による大規模帯状成分へのエネルギー輸送を詳細に計算した結果, 近共鳴相互作用および非局所相互作用によって大規模帯状流へエネルギーが輸送されていることが明らかになった. また, 近共鳴相互作用と非局所は全くことなる概念であるため, これらの関係について調べたところ, この系においては近共鳴相互作用と非局所相互作用はほぼ完全に一致していること, すなわち, 大規模帯状流形成の直接的な要因となっているものは, 非局所かつ近共鳴なロスビー波非線形相互作用であることが分かった.
成果の公表
-査読付き論文
Yusuke Hagimori, Kiori Obuse, and Michio Yamada, “Effect of non-local near-resonant interactions of Rossby waves on formation of large-scale zonal flows in unforced two-dimensional turbulence on rotating sphere”, Physics of Fluids, accepted.
-招待講演
1) Kiori Obuse, Yusuke Hagimori, and Michio Yamada, “Formation of large-scale zonal flows in two-dimensional turbulence on a rotating sphere”, Layering – A structure formation mechanism in oceans, atmospheres, active fluids and plasmas, Isaac Newton Institute Cambridge University, 15th-19th January 2024
2) Kiori Obuse, Yusuke Hagimori, and Michio Yamada, “Formation of zonal flows and Rossby wave nonlinear interactions in two-dimensional turbulence on a rotating sphere”, AAPPS-DPP2023, Port Messe Nagoya, 13th-17th November 2023
3)Kiori Obuse, Yusuke Hagimori, and Michio Yamada, “Large-scale zonal-flow formation in two-dimensional turbulence on a rotating sphere”, Fusion Plasma Seminar, Seoul National University, 17th October 2023
4)Kiori Obuse, Hagimori Yusuke, and Michio Yamada, “Zonal-flow formation and three-wave nonlinear interactions in two-dimensional turbulence on a rotating sphere” 第28回NEXT(数値トカマク)研究会, 京都大学, 2023年8月2日-3日
5)Kiori Obuse, Yusuke Hagimori, and Michio Yamada, “Rossby wave nonlinear interactions and large-scale zonal flow formation in two-dimensional turbulence on a rotating sphere”, The Grad Conjecture in Fluid Mechanics and Magnetohydrodynamics: Theory and Applications, I-site Namba, 26th-28th March 2024
-口頭発表
1) 小布施祈織, 萩森祐介, 山田道夫,” 回転球面上非強制2次元乱流での大規模構造形成におけるエネルギー輸送”, 日本流体力学会2023年度年会, 東京農工大学, 2023年9月20日-22日
2) 小布施祈織, 萩森祐介, 山田道夫,”回転球面上2次元乱流での東西流形成におけるエネルギー輸送”, 日本物理学会2023年度年会, 東北大学, 2023年9月16日-19日
3) 小布施祈織, 萩森祐介, 山田道夫,” Nonlinear interactions of Rossby waves in two-dimensional turbulence on a rotating sphere”京大数理解析研究所 RIMS共同研究 (公開型)「乱流の素過程」, 京都大学, 2023年7月17‐19日
JSS利用状況
計算情報
- プロセス並列手法: 非該当
- スレッド並列手法: 非該当
- プロセス並列数: 1
- 1ケースあたりの経過時間: 24 時間
JSS3利用量
総資源に占める利用割合※1(%): 0.00
内訳
JSS3のシステム構成や主要な仕様は、JSS3のシステム構成をご覧下さい。
計算システム名 | CPU利用量(コア・時) | 資源の利用割合※2(%) |
---|---|---|
TOKI-SORA | 93409.07 | 0.00 |
TOKI-ST | 6.24 | 0.00 |
TOKI-GP | 43.58 | 0.00 |
TOKI-XM | 0.00 | 0.00 |
TOKI-LM | 0.00 | 0.00 |
TOKI-TST | 0.00 | 0.00 |
TOKI-TGP | 0.00 | 0.00 |
TOKI-TLM | 0.00 | 0.00 |
ファイルシステム名 | ストレージ割当量(GiB) | 資源の利用割合※2(%) |
---|---|---|
/home | 140.00 | 0.12 |
/data及び/data2 | 10240.00 | 0.06 |
/ssd | 0.00 | 0.00 |
アーカイバシステム名 | 利用量(TiB) | 資源の利用割合※2(%) | J-SPACE | 0.00 | 0.00 |
---|
※1 総資源に占める利用割合:3つの資源(計算, ファイルシステム, アーカイバ)の利用割合の加重平均.
※2 資源の利用割合:対象資源一年間の総利用量に対する利用割合.
ISV利用量
利用量(時) | 資源の利用割合※2(%) | |
---|---|---|
ISVソフトウェア(合計) | 0.00 | 0.00 |
※2 資源の利用割合:対象資源一年間の総利用量に対する利用割合.
JAXAスーパーコンピュータシステム利用成果報告(2023年2月~2024年1月)