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非線形フォースフリー磁場計算による「ひので」観測に基づく太陽コロナ磁場推定

JAXAスーパーコンピュータシステム利用成果報告(2023年2月~2024年1月)

報告書番号: R23JU0912

利用分野: 宇宙科学

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  • 責任者: 斎藤義文, 宇宙科学研究所太陽系科学研究系
  • 問い合せ先: 清水敏文(shimizu.toshifumi@jaxa.jp)
  • メンバ: 川畑 佑典, 清水 敏文, 寺岡 耕平

事業概要

太陽系最大の爆発現象である太陽フレアの発現機構を理解することを目的とする. 太陽観測衛星「ひので」等で観測された太陽表面磁場を用いて3次元の磁気流体力学計算を行うことで, 上空のコロナにおける3次元磁場構造を推定する. 推定された3次元磁場構造とフレア発生の関係を探る.

参照URL

ひのでプロジェクトのホームページ:TOP PAGE」参照.

JAXAスーパーコンピュータを使用する理由と利点

観測から得られた太陽表面(光球)の三次元磁場マップから, 上空に存在する大気(彩層・ コロナ)における三次元磁場分布を外挿推定する. 推定に使用する3次元磁気流体力学計算を用いたフォースフリー磁場モデリングは, 三次元磁場の緩和を行うため, 多くの計算資源が必要となる. 用途は, フレア前の三次元磁場分布を調べることと.エネルギーが溜まった磁場が爆発的に膨張しやすい領域を探すことである. 高スペックのスパコンを使うことで, 様々な時間での三次元磁場分布を得ることが短期間で可能になることが利点である.

今年度の成果

太陽フレアにはプラズマ噴出を伴うフレア(eruptiveフレア)と伴わないフレア(confinedフレア)が存在する. 特に噴出を伴うフレアは地球での磁気嵐の発生に関係する. 本年度は, コロナ磁場のパラメータである, 2017年9月6日に3時間の時間をおいて同じ磁気中性線で発生したconfinedフレアとeruptiveフレアを解析対象として, ねじれ数, decay index, 磁力線の高さを使いて, 2つのフレアの類似性と相違性を, 観測的に調べた. コロナ磁場構造は, SDO 衛星に搭載されたHMI 望遠鏡にて観測された光球磁束密度分布からモデリングされた, 非線形フォースフリー磁場外挿データを使って調べた. 本研究では, フレアのエネルギー解放に関与した磁力線に焦点を定め, それらの磁力線はSDO 衛星に搭載されたAIA 望遠鏡にて観測された, 光球におけるフレアリボンの位置データを使用して特定した(図1). 結果として, ねじれ数に関して, eruptive フレアの方がconfined フレアより大きく, また, 四分位範囲(データの中央50% の範囲)の分布は, confined フレアとeruptive フレアで分離されていたことが分かった. decay indexに関しては, confined フレアとeruptive フレアで差異は見られなかった. 捩れ数とdecay inddex が共に0.8 以上になる領域には, eruptiveフレアのみが存在していた. これらの結果から示唆されることは以下の3つである.

1) 一部の磁力線が高いねじれ数を持っていることにより噴出性に差異が生じるが, 多くの磁力線にはconfined フレアとeruptive フレアの間で顕著な差異はない可能性があること, 2) decay index 分布自体にはconfined フレアとeruptive フレアの間で差異はないが, 一部の磁力線の高さに関して, eruptive フレアの方がconfined フレアより高いことがフレアの噴出性に差異を生み出している可能性があること, 3) 一部の磁力線が高いねじれ数とdecay index を持っているのならば, eruptive フレアは十分発生する可能性があること, である.

Annual Reoprt Figures for 2023

図1: 非線形フォースフリー磁場で外挿した, (a)confinedフレアの際にエネルギー解放に関与した磁力線, (b)eruptiveフレアの際にエネルギー解放に関与した磁力線.

 

成果の公表

-口頭発表

寺岡耕平・清水敏文・山崎大輝・川畑佑典・今田晋亮, 「AR 12673 で発生した Confined, Eruptive フレアから探る CME 発生の物理機構」 , 日本天文学会, M21a, 名古屋, 9月・2023年

-ポスター

寺岡耕平・清水敏文・山崎大輝・川畑佑典・今田晋亮, “Comparison of 3D coronal magnetic field structure between eruptive and confined flares observed in AR 12673 on September 6, 2017” , Hinode-16 / IRIS-13 meeting, P-83, 新潟, 9月・2023年

JSS利用状況

計算情報

  • プロセス並列手法: MPI
  • スレッド並列手法: 非該当
  • プロセス並列数: 16
  • 1ケースあたりの経過時間: 3.5 時間

JSS3利用量

 

総資源に占める利用割合※1(%): 0.00

 

内訳

JSS3のシステム構成や主要な仕様は、JSS3のシステム構成をご覧下さい。

計算資源
計算システム名 CPU利用量(コア・時) 資源の利用割合※2(%)
TOKI-SORA 83294.51 0.00
TOKI-ST 0.00 0.00
TOKI-GP 0.00 0.00
TOKI-XM 0.00 0.00
TOKI-LM 0.00 0.00
TOKI-TST 0.00 0.00
TOKI-TGP 0.00 0.00
TOKI-TLM 0.00 0.00

 

ファイルシステム資源
ファイルシステム名 ストレージ割当量(GiB) 資源の利用割合※2(%)
/home 10.00 0.01
/data及び/data2 2450.00 0.02
/ssd 0.00 0.00

 

アーカイバ資源
アーカイバシステム名 利用量(TiB) 資源の利用割合※2(%)
J-SPACE 0.00 0.00

※1 総資源に占める利用割合:3つの資源(計算, ファイルシステム, アーカイバ)の利用割合の加重平均.

※2 資源の利用割合:対象資源一年間の総利用量に対する利用割合.

 

ISV利用量

ISVソフトウェア資源
利用量(時) 資源の利用割合※2(%)
ISVソフトウェア(合計) 0.00 0.00

※2 資源の利用割合:対象資源一年間の総利用量に対する利用割合.

JAXAスーパーコンピュータシステム利用成果報告(2023年2月~2024年1月)