非線形フォースフリー磁場計算による「ひので」観測に基づく太陽コロナ磁場推定
JAXAスーパーコンピュータシステム利用成果報告(2022年2月~2023年1月)
報告書番号: R22JU0912
利用分野: 宇宙科学
- 責任者: 斎藤義文, 宇宙科学研究所太陽系科学研究系
- 問い合せ先: 清水敏文(shimizu.toshifumi@jaxa.jp)
- メンバ: 川畑 佑典, 清水 敏文, 寺岡 耕平
事業概要
太陽系最大の爆発現象である太陽フレアの発現機構を理解することを目的とする. 太陽観測衛星「ひので」等で観測された太陽表面磁場を用いて3次元の磁気流体力学計算を行うことで, 上空のコロナにおける3次元磁場構造を推定する. 推定された3次元磁場構造とフレア発生の関係を探る.
参照URL
「ひのでプロジェクトのホームページ:TOP PAGE」参照.
JAXAスーパーコンピュータを使用する理由と利点
スパコンの大規模計算環境を利用して太陽観測衛星「ひので」の高精度・高空間分解能の磁場を用いた3次元の磁気流体力学計算によるフォースフリー磁場モデリングを行う. 3次元の磁気流体力学計算を用いて, 3次元磁場の緩和を行うため, 多くの計算資源が必要となる.
今年度の成果
太陽フレアのエネルギー蓄積や発現, プラズマ噴出の過程の解明において, 光球磁場発展とそれに伴うコロナ磁場の観測に基づく定量的な理解が重要と思われる. このうちコロナ磁場を直接的な観測により求めることは高精度の偏光分光技術及び磁場導出手法が確立されておらず現状困難である. そのため, 観測された光球磁場を境界条件として非線形フォースフリー磁場(NLFFF)モデリングによってコロナ磁場を外挿推定する手法が用いられる. 今年度は, 2017年9月6日に連続的に発生した2つの特徴的な大規模フレア(Xフレア)に着目した解析を進めた. モデリングによる三次元磁場データを用いて, フレア噴出する磁気フラックスロープが膨張しないように水平磁場がローレンツ力で抑えつける度合いを知る指標 「decay index」の空間分布をフレアの前後で求め(図1), decay index分布の特徴を調査した. 調査の結果から, 磁気フラックスロープの位置や, ローレンツ力に必要な電流をさらに調査する必要があることが判明した.
成果の公表
-査読付き論文
Hasegawa, T. and Shimizu, T. “Temporal Behaviros of Magnetic Helicity Injections by Self and Mutual Sunspot Rotations,” 2023, ApJ, 943, 96 (p12) doi: 10.3847/1538-4357/aca800
JSS利用状況
計算情報
- プロセス並列手法: MPI
- スレッド並列手法: 非該当
- プロセス並列数: 16
- 1ケースあたりの経過時間: 3.5 時間
JSS3利用量
総資源に占める利用割合※1(%): 0.03
内訳
JSS3のシステム構成や主要な仕様は、JSS3のシステム構成をご覧下さい。
計算システム名 | CPU利用量(コア・時) | 資源の利用割合※2(%) |
---|---|---|
TOKI-SORA | 790759.00 | 0.03 |
TOKI-ST | 0.00 | 0.00 |
TOKI-GP | 0.00 | 0.00 |
TOKI-XM | 0.00 | 0.00 |
TOKI-LM | 0.00 | 0.00 |
TOKI-TST | 0.00 | 0.00 |
TOKI-TGP | 0.00 | 0.00 |
TOKI-TLM | 0.00 | 0.00 |
ファイルシステム名 | ストレージ割当量(GiB) | 資源の利用割合※2(%) |
---|---|---|
/home | 40.00 | 0.04 |
/data及び/data2 | 2750.00 | 0.02 |
/ssd | 300.00 | 0.04 |
アーカイバシステム名 | 利用量(TiB) | 資源の利用割合※2(%) | J-SPACE | 0.00 | 0.00 |
---|
※1 総資源に占める利用割合:3つの資源(計算, ファイルシステム, アーカイバ)の利用割合の加重平均.
※2 資源の利用割合:対象資源一年間の総利用量に対する利用割合.
ISV利用量
利用量(時) | 資源の利用割合※2(%) | |
---|---|---|
ISVソフトウェア(合計) | 0.00 | 0.00 |
※2 資源の利用割合:対象資源一年間の総利用量に対する利用割合.
JAXAスーパーコンピュータシステム利用成果報告(2022年2月~2023年1月)