粒子解析の高速化に関する研究
JAXAスーパーコンピュータシステム利用成果報告(2022年2月~2023年1月)
報告書番号: R22JTET30
利用分野: 技術習得方式
- 責任者: 溝渕泰寛, 航空技術部門航空機ライフサイクルイノベーションハブ
- 問い合せ先: 明治大学 理工学部 情報科学科 宮島 敬明(takaaki.miyajima@cs.meiji.ac.jp)
- メンバ: 阿部 碧音, 萱島 和海, 和田 大
事業概要
粒子法等の先端的な数値解析手法の習得
参照URL
なし
JAXAスーパーコンピュータを使用する理由と利点
MPS法は大規模化にともないスケーラビリティが大きな問題となる. P-Flowの現状を理解し, 計算や通信の最適化をおこなうためにJAXAスパコンを利用した
今年度の成果
MPS法の大規模シミュレーションを念頭に, 以下に示す計算と通信の最適化を行った.
・計算の最適化:近傍粒子リストの現状把握と性能予測
MPS法の処理時間のボトルネックの一つは, 近傍粒子探索と呼ばれる処理である. この処理は, ランダムメモリアクセスを必要とし, シミュレーション時間全体の計算時間の 60~75% を占めてしまっていた. これに対し, 現在のP-Flowでは, 近傍粒子リストによる問題解決が図られている. 具体的な実装は, 粒子に割り振られた番号をリストに入れて, この番号をもとに各物理量に間接的にアクセスする形となっている. また, CPU向けの理想的なリストを利用した場合の高速化率を, 近傍粒子探索で16倍, 全体としては 3.5倍弱と見積もった. 今後は, この値を目標にリスト構造の改良を行っていく.
・通信の最適化:片側通信の利用
現時点でのP-Flowは, ノード間の通信粒子数の共有に, MPI_alltoallを利用している. このため, ノード数が大きくなるとこの部分が処理時間のボトルネックとなることが自明であった. この問題に対し, MPI_alltoallをMPI_putで代用することで必要な通信のみを行う手法の提案を行った. 提案を効果的に検証するために, P-Flow の MPI_alltoall の実行に用いられるプロセス間で通信される情報を用いて MPI_alltoall と MPI_put の実行時間を比較するサンプルプログラムを実行した. 結果として, 多くの場合 MPI_put の方が MPI_alltoall の実行時間より早くなる傾向が見られた. これは, MPI_alltoallよりもMPI_putを使用することにより総通信回数が減ったことが高速化の要因になったと考えられる . 今後の課題としてほかの多ノード並列計算機システムにおいて同様の実験を行うことや, ほかの MPI 実装による同様の実験を行いこの実装の汎用性の評価が必要である. また, MPI_alltoallのみでなく, ほかの MPI における全体通信の置き換えによる高速化ができるかの検討も課題である.
成果の公表
なし
JSS利用状況
計算情報
- プロセス並列手法: MPI
- スレッド並列手法: 非該当
- プロセス並列数: 1 – 72
- 1ケースあたりの経過時間: 1500 秒
JSS3利用量
総資源に占める利用割合※1(%): 0.00
内訳
JSS3のシステム構成や主要な仕様は、JSS3のシステム構成をご覧下さい。
計算システム名 | CPU利用量(コア・時) | 資源の利用割合※2(%) |
---|---|---|
TOKI-SORA | 225.52 | 0.00 |
TOKI-ST | 193.31 | 0.00 |
TOKI-GP | 0.00 | 0.00 |
TOKI-XM | 0.00 | 0.00 |
TOKI-LM | 2418.52 | 0.16 |
TOKI-TST | 0.00 | 0.00 |
TOKI-TGP | 0.00 | 0.00 |
TOKI-TLM | 0.00 | 0.00 |
ファイルシステム名 | ストレージ割当量(GiB) | 資源の利用割合※2(%) |
---|---|---|
/home | 30.00 | 0.03 |
/data及び/data2 | 300.00 | 0.00 |
/ssd | 300.00 | 0.04 |
アーカイバシステム名 | 利用量(TiB) | 資源の利用割合※2(%) | J-SPACE | 0.00 | 0.00 |
---|
※1 総資源に占める利用割合:3つの資源(計算, ファイルシステム, アーカイバ)の利用割合の加重平均.
※2 資源の利用割合:対象資源一年間の総利用量に対する利用割合.
ISV利用量
利用量(時) | 資源の利用割合※2(%) | |
---|---|---|
ISVソフトウェア(合計) | 0.00 | 0.00 |
※2 資源の利用割合:対象資源一年間の総利用量に対する利用割合.
JAXAスーパーコンピュータシステム利用成果報告(2022年2月~2023年1月)