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将来輸送システムの研究(空気吸い込み式輸送システム)

JAXAスーパーコンピュータシステム利用成果報告(2022年2月~2023年1月)

報告書番号: R22JG3205

利用分野: 研究開発

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  • 責任者: 沖田耕一, 研究開発部門第四研究ユニット
  • 問い合せ先: 小寺 正敏(kodera.masatoshi@jaxa.jp)
  • メンバ: 福井 正明, 藤原 瑞月, 磯野 達志, 井上 拓, 小寺 正敏, 田野 貴史, 高橋 正晴, 富岡 定毅, 高橋 政浩

事業概要

近年, 宇宙輸送システムの大幅な低コスト化のために, ロケットの再使用化が考えられている. しかしながら構造寿命を長くするために比較的低いエンジン出力で作動させる必要があり, 打ち上げ能力の低下につながる. したがって, それを補う手段として空気吸込み式エンジンであるスクラムジェット及びロケット/スクラム複合サイクルエンジンが有望視されている. 大気中の空気を酸化剤として利用することにより高効率となり, 再使用化でも打ち上げ能力の維持向上が期待できる. 本事業では, 同エンジンの実用化に向け鍵となる技術の研究開発を行う.

参照URL

なし

JAXAスーパーコンピュータを使用する理由と利点

地上実験によるエンジン設計の問題点として, 以下の点が挙げられる. 1) 離陸から超高速域までの様々な気流条件を再現するには限界がある. 2) 測定値が限られエンジン内部の複雑な3次元流れ構造を把握できない. 3) 時間・費用が限られるためエンジン流路形状を容易に変更できない. したがって設計ツールとして3次元CFDの活用が必要不可欠であり, 数多くのCFDを効率良く実行するためにスパコンが必要となる.

今年度の成果

(1) スクラムジェット燃焼器内の乱流燃焼現象に着目し, 後ろ向きステップを持つスクラム燃焼器に対する3 次元燃焼解析を行い, Hybrid LES/RANS モデルの有用性に対する検証を行なった. (図1) また同様にJAXA角田宇宙センターの基礎燃焼風洞 で行われたスクラムジェット地上燃焼試験を対象に解析を行い, 乱流燃焼場の構造および非定常場が燃焼に与える影響について調査した. (図2)

(2) スクラムジェット燃焼器の燃焼試験や対応CFDで, 設備試験気流の不確定要因の影響が懸念されるため, 燃焼加熱式超音速風洞の燃焼加熱器からノズル出口まで全体を解析対象とするCFDに着手した. (図3)

(3) ATLAとの協定に基づき, ATLAが研究開発中のスクラムジェットエンジンの性能推算法を確認するための予備的なCFD解析をインレットに対して実施した. 詳細は注意情報のため非公開である.

Annual Reoprt Figures for 2022

図1: 後ろ向きステップを持つスクラム燃焼器に対するHybrid LES/RANS解析によるQ値の等値面

 

Annual Reoprt Figures for 2022

図2: スクラムジェット地上燃焼試験に対する3D Hybrid LES/RANS解析による流れ場の様子

 

Annual Reoprt Figures for 2022

図3: 燃焼加熱式超音速風洞の中央対称面の温度分布

 

成果の公表

-査読なし論文

(1) 藤原瑞月, “Hybrid Large-Eddy Simulation/Reynolds-Averaged Navier-Stokesモデルによるスクラムジェット燃焼器内部の超音速乱流燃焼現象に関する数値解析,” 慶應義塾大学大学院修士論文, 2023.

(2) 藤原瑞月, 松尾亜紀子, 小寺正敏, 髙橋政浩, 富岡定毅, “Hybrid LES/RANSモデルによるスクラムジェット燃焼器内部の超音速乱流燃焼現象に関する数値解析,” 日本航空宇宙学会北部支部2023年講演会論文集, 2023.

-口頭発表

(1) 藤原瑞月, 松尾亜紀子, 小寺正敏, 髙橋政浩, 富岡定毅, “Hybrid LES/RANSモデルによるスクラムジェット燃焼器内部の超音速乱流燃焼現象に関する数値解析,” 日本航空宇宙学会北部支部2023年講演会.

JSS利用状況

計算情報

  • プロセス並列手法: MPI
  • スレッド並列手法: OpenMP
  • プロセス並列数: 2 – 2224
  • 1ケースあたりの経過時間: 200 時間

JSS3利用量

 

総資源に占める利用割合※1(%): 0.80

 

内訳

JSS3のシステム構成や主要な仕様は、JSS3のシステム構成をご覧下さい。

計算資源
計算システム名 CPU利用量(コア・時) 資源の利用割合※2(%)
TOKI-SORA 21056032.43 0.92
TOKI-ST 79668.62 0.08
TOKI-GP 0.00 0.00
TOKI-XM 0.00 0.00
TOKI-LM 54.43 0.00
TOKI-TST 386.75 0.01
TOKI-TGP 0.00 0.00
TOKI-TLM 0.00 0.00

 

ファイルシステム資源
ファイルシステム名 ストレージ割当量(GiB) 資源の利用割合※2(%)
/home 294.78 0.27
/data及び/data2 39683.24 0.31
/ssd 673.95 0.09

 

アーカイバ資源
アーカイバシステム名 利用量(TiB) 資源の利用割合※2(%)
J-SPACE 243.56 1.08

※1 総資源に占める利用割合:3つの資源(計算, ファイルシステム, アーカイバ)の利用割合の加重平均.

※2 資源の利用割合:対象資源一年間の総利用量に対する利用割合.

 

ISV利用量

ISVソフトウェア資源
利用量(時) 資源の利用割合※2(%)
ISVソフトウェア(合計) 1238.47 0.86

※2 資源の利用割合:対象資源一年間の総利用量に対する利用割合.

JAXAスーパーコンピュータシステム利用成果報告(2022年2月~2023年1月)