ナノ秒パルス駆動プラズマアクチュエータにおけるslow gas heatingの影響の調査
JAXAスーパーコンピュータシステム利用成果報告(2022年2月~2023年1月)
報告書番号: R22JACA58
利用分野: JSS大学共同利用
- 責任者: 佐藤慎太郎, 東北大学
- 問い合せ先: 佐藤慎太郎(satoshin@rhd.mech.tohoku.ac.jp)
- メンバ: 佐藤 慎太郎, 冨江 響
事業概要
流体機械において流れの剥離を抑制することはエネルギー損失の観点から非常に重要な要素となっている. 剥離を抑制する方法としてはボルテックスジェネレーターなどがあるが, これは特定の条件の下での使用を前提としており, 広い条件下でロバストに機能するためには能動的流体制御が必要になる. そこで, 注目されているのがプラズマアクチュエータである. 本研究ではその中でも高速流中でも剥離抑制に効果的であるとされているナノ秒パルス駆動プラズマアクチュエータについて, その駆動メカニズムを放電によって生じる二段階の温度変化(fast gas heatingとslow gas heating)に注目して, 数値シミュレーションによって調査することを目的とする.
参照URL
なし
JAXAスーパーコンピュータを使用する理由と利点
ナノ秒パルス駆動プラズマアクチュエータを翼に取り付けた計算では, 放電と流体の時間・空間スケールに大きな差があり, 放電の影響を詳細に調査するためには細かなタイムステップで大領域の計算をする必要がある. そのため, 本事業で実施する計算にはスーパーコンピュータの利用が不可欠である.
今年度の成果
今年度はナノ秒パルス駆動プラズマアクチュエータによる翼周りの流れ制御に関する数値計算を実施した. プラズマアクチュエータによる加熱の効果は簡易的なモデルを使用し, 投入するエネルギー量は実験を参考に設定した. また, 二段階の加熱過程は粒子追跡法によって考慮した(図1). プラズマアクチュエータの駆動によって翼前縁における再付着点の前進を確認できたが, slow gas heatingの影響は特にみられなかった. 今後は三次元の数値計算によって剥離後の流れにおけるslow gas heatingの影響を調査する予定である.
成果の公表
-口頭発表
冨江響, 佐藤慎太郎, 大西直文, ナノ秒パルス駆動プラズマアクチュエータの剥離制御過程に関する数値計算, 日本機械学会2022年度年次大会, 富山大学(五福キャンパス), 2022年9月
JSS利用状況
計算情報
- プロセス並列手法: MPI
- スレッド並列手法: 非該当
- プロセス並列数: 1 – 88
- 1ケースあたりの経過時間: 48 時間
JSS3利用量
総資源に占める利用割合※1(%): 0.06
内訳
JSS3のシステム構成や主要な仕様は、JSS3のシステム構成をご覧下さい。
計算システム名 | CPU利用量(コア・時) | 資源の利用割合※2(%) |
---|---|---|
TOKI-SORA | 1766851.03 | 0.08 |
TOKI-ST | 4.86 | 0.00 |
TOKI-GP | 0.00 | 0.00 |
TOKI-XM | 0.00 | 0.00 |
TOKI-LM | 0.00 | 0.00 |
TOKI-TST | 0.00 | 0.00 |
TOKI-TGP | 0.00 | 0.00 |
TOKI-TLM | 0.00 | 0.00 |
ファイルシステム名 | ストレージ割当量(GiB) | 資源の利用割合※2(%) |
---|---|---|
/home | 110.00 | 0.10 |
/data及び/data2 | 35120.00 | 0.27 |
/ssd | 150.00 | 0.02 |
アーカイバシステム名 | 利用量(TiB) | 資源の利用割合※2(%) | J-SPACE | 3.47 | 0.02 |
---|
※1 総資源に占める利用割合:3つの資源(計算, ファイルシステム, アーカイバ)の利用割合の加重平均.
※2 資源の利用割合:対象資源一年間の総利用量に対する利用割合.
ISV利用量
利用量(時) | 資源の利用割合※2(%) | |
---|---|---|
ISVソフトウェア(合計) | 0.00 | 0.00 |
※2 資源の利用割合:対象資源一年間の総利用量に対する利用割合.
JAXAスーパーコンピュータシステム利用成果報告(2022年2月~2023年1月)