機体形状および突起が細長物体空力特性に及ぼす影響についての数値解析
JAXAスーパーコンピュータシステム利用成果報告(2022年2月~2023年1月)
報告書番号: R22JACA21
利用分野: JSS大学共同利用
- 責任者: 北村圭一, 横浜国立大学
- 問い合せ先: 本木 翔吾(横浜国立大学大学院)(motoki-shogo-pt@ynu.jp)
- メンバ: 北村 圭一, 間々下 智広, 本木 翔吾, 峯嶋 航矢
事業概要
宇宙輸送機の表面にある突起は空力特性, 特に横力に影響を与える. 本研究では, 複数の突起が遷音速空力特性に与える影響を把握するため, 突起を有する細長物体について遷音速条件(マッハ0.7-1.3)で定常計算を実施した. その結果, マッハ0.7で二つ目の突起を風下側(周方向角度45度)に配置すると, 横力が増加することがわかった. また, その位置が一つ目の突起から0.22Lの場合は横力が最大となる. しかし, 二つ目の突起を一つ目の突起から0.11Lの位置に配置した場合は, 二つ目の突起がない場合とほぼ同じ横力となる. これは, それぞれの突起で発生した渦が合体して一つの渦になるためである. マッハ1.3では, 二つ目の突起から発生する渦が小さくなるため, 横力の変化は小さい.
参照URL
なし
JAXAスーパーコンピュータを使用する理由と利点
本研究では様々な形状,気流条件を扱うため計算ケースが多いことや, 高い解像度の結果が必要なため格子点数が多いことから, 効率的かつ正確な数値計算を行うためには高性能なスーパーコンピュータを用いる必要があった.
今年度の成果
二つの突起を配置した細長物体(図1)を対象に迎角15度, マッハ数0.7-1.3の範囲で数値解析を行い, 二つの突起の位置と横力係数の関係(図2)について調査した. その結果マッハ0.7では, 二つ目の突起が機体全長の44%に配置されている場合(突起間の距離は機体全長の22%)で横力が最大となった. 二つ目の突起が55%位置のケースの機体周囲の渦度分布(図3)より, 二つの突起から生じた渦がそれぞれ独立していることが分かる. 二つ目の突起の渦には横力増大効果があり, 二つ目の突起を上流に配置すると, その影響を受ける範囲(突起からベース部までの範囲)が大きくなる. そのため, 二つ目の突起を44%に配置した場合に横力が最大となり, それより下流に配置した場合では横力は小さくなる. ところが, 44%より上流である33%に配置すると横力が小さくなる. これは, 二つの突起が近い(機体全長の11%)のでそれぞれから生じた渦が合体して(図4), 二つ目の渦の横力増大効果が生じないためである. また, マッハ1.3では二つ目の突起による渦が比較的小さいため, 横力の変化も小さい(図2).
成果の公表
-口頭発表
本木 翔吾, 眞柄 孝基, 二村 和樹, 北村 圭一, 野中 聡「突起の大きさによる細長物体横力特性への影響についての遷音速風洞試験」, 令和4年度宇宙航行の力学シンポジウム, 宇宙航空研究開発機構宇宙科学研究所, 神奈川県相模原市, 2022年12月13日.
JSS利用状況
計算情報
- プロセス並列手法: MPI
- スレッド並列手法: 非該当
- プロセス並列数: 96 – 512
- 1ケースあたりの経過時間: 8 時間
JSS3利用量
総資源に占める利用割合※1(%): 0.03
内訳
JSS3のシステム構成や主要な仕様は、JSS3のシステム構成をご覧下さい。
計算システム名 | CPU利用量(コア・時) | 資源の利用割合※2(%) |
---|---|---|
TOKI-SORA | 567694.93 | 0.02 |
TOKI-ST | 40060.54 | 0.04 |
TOKI-GP | 0.00 | 0.00 |
TOKI-XM | 0.00 | 0.00 |
TOKI-LM | 14658.06 | 0.98 |
TOKI-TST | 0.00 | 0.00 |
TOKI-TGP | 0.00 | 0.00 |
TOKI-TLM | 0.00 | 0.00 |
ファイルシステム名 | ストレージ割当量(GiB) | 資源の利用割合※2(%) |
---|---|---|
/home | 428.67 | 0.39 |
/data及び/data2 | 46100.00 | 0.36 |
/ssd | 203.33 | 0.03 |
アーカイバシステム名 | 利用量(TiB) | 資源の利用割合※2(%) | J-SPACE | 28.18 | 0.12 |
---|
※1 総資源に占める利用割合:3つの資源(計算, ファイルシステム, アーカイバ)の利用割合の加重平均.
※2 資源の利用割合:対象資源一年間の総利用量に対する利用割合.
ISV利用量
利用量(時) | 資源の利用割合※2(%) | |
---|---|---|
ISVソフトウェア(合計) | 1001.12 | 0.70 |
※2 資源の利用割合:対象資源一年間の総利用量に対する利用割合.
JAXAスーパーコンピュータシステム利用成果報告(2022年2月~2023年1月)