静粛超音速機技術の研究開発
JAXAスーパーコンピュータシステム利用成果報告(2022年2月~2023年1月)
報告書番号: R22JA3800
利用分野: 航空技術
- 責任者: 牧野好和, 航空技術部門航空プログラムディレクタ付
- 問い合せ先: 石川敬掲(ishikawa.hiroaki2@jaxa.jp)
- メンバ: 赤塚 純一, 石川 敬掲, 小金澤 慎弥, 金森 正史, 近藤 賢, 嶋田 凌, 牧野 好和, 三木 肇, 中 右介, 武田 寿人, 上野 篤史, 湯原 達規, 山下 礼
事業概要
民間超音速機開発の機運が高まる中, 我が国の航空機製造産業の国際競争力強化のためには, 欧米をしのぐ技術力を獲得していくことが重要である. また超音速飛行による移動時間の短縮でビジネスや観光の面からの経済活動活性化や, エコノミークラス症候群の抑制などの搭乗者の健康面など, そのメリットは大きい. これを踏まえ, 「静かな超音速機」の実現に必要な鍵技術を獲得し, 航空機製造産業と将来航空輸送の発展に貢献することを本事業の目的とする. 本事業では, ソニックブーム推算/計測/評価技術の研究開発により陸地上空超音速飛行に必要なICAO における国際基準策定に関与するとともに, 民間超音速機成立の鍵となる低ブーム/低抵抗/低騒音/軽量化を同時に満たす統合設計技術の研究開発を行い, これらの技術目標を同時に満たす超音速機概念を提示する活動を行っている.
参照URL
「静粛超音速機統合設計技術の研究開発 | 環境適合性・利便性技術の研究開発プログラム(Sky Green+) | JAXA航空技術部門」参照.
JAXAスーパーコンピュータを使用する理由と利点
低ブーム/低抵抗を満たす次世代超音速旅客機の開発には精度の良い数値シミュレーションによって, 空力やソニックブーム特性を推算する必要がある. 様々な形状の空力特性を高精度かつ高効率に推算し低ブーム超音速旅客機の設計を行うためにJSSを活用している.
今年度の成果
ソニックブームの推算においては, 機体近傍の圧力場を高い精度で解析することが極めて重要となる. JAXA遷音速風洞において昨年度実施されたNASA X-59を対象とした風洞試験(図1)の検証CFD解析を行った(図2). その結果, 風洞試験の結果と非常によい一致を示した. CFD解析結果を詳細に分析することでソニックブームが発生するメカニズムを明らかにするとともに, 風洞試験技術向上に寄与する解析結果を得ることができた. また, NASA-Boeing-JAXAの3機関共同研究の枠組みでCFDワークショップを開催し, 他のCFDソルバとも良好な一致を示すとともに, 近傍場圧力推算技術の精度の高さを確認した. 本NASA X-59を対象としたCFDワークショップの詳細はAIAA AVIATION2023で報告予定である.
成果の公表
なし
JSS利用状況
計算情報
- プロセス並列手法: MPI
- スレッド並列手法: 自動並列
- プロセス並列数: 960 – 3840
- 1ケースあたりの経過時間: 10 時間
JSS3利用量
総資源に占める利用割合※1(%): 1.59
内訳
JSS3のシステム構成や主要な仕様は、JSS3のシステム構成をご覧下さい。
計算システム名 | CPU利用量(コア・時) | 資源の利用割合※2(%) |
---|---|---|
TOKI-SORA | 33897132.84 | 1.48 |
TOKI-ST | 328699.82 | 0.33 |
TOKI-GP | 382759.47 | 16.28 |
TOKI-XM | 19938.26 | 12.47 |
TOKI-LM | 93924.72 | 6.29 |
TOKI-TST | 0.00 | 0.00 |
TOKI-TGP | 0.00 | 0.00 |
TOKI-TLM | 0.00 | 0.00 |
ファイルシステム名 | ストレージ割当量(GiB) | 資源の利用割合※2(%) |
---|---|---|
/home | 546.67 | 0.50 |
/data及び/data2 | 28034.00 | 0.22 |
/ssd | 303.33 | 0.04 |
アーカイバシステム名 | 利用量(TiB) | 資源の利用割合※2(%) | J-SPACE | 17.41 | 0.08 |
---|
※1 総資源に占める利用割合:3つの資源(計算, ファイルシステム, アーカイバ)の利用割合の加重平均.
※2 資源の利用割合:対象資源一年間の総利用量に対する利用割合.
ISV利用量
利用量(時) | 資源の利用割合※2(%) | |
---|---|---|
ISVソフトウェア(合計) | 6497.12 | 4.52 |
※2 資源の利用割合:対象資源一年間の総利用量に対する利用割合.
JAXAスーパーコンピュータシステム利用成果報告(2022年2月~2023年1月)