JAXAスーパーコンピュータシステム利用成果報告(2021年2月～2022年1月)

報告書番号: R21JACA53

利用分野: JSS大学共同利用

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• 責任者: 大西直文, 東北大学
• 問い合せ先: 岡野泰人(東北大学大学院)(yasuhito.okano.p4@dc.tohoku.ac.jp)
• メンバ: 大西 直文, 坂本 広樹, 岡野泰人

事業概要

極超音速飛行では, 乱流遷移が起こると空力加熱の増大が発生する. そのため, 遷移位置予測は極めて重要な研究課題である. 実験では極超音速流れを再現することは容易ではない上に, 実験に必要な費用も少なくない. したがって, 数値シミュレーションによる解析が有効である. 本研究では, 極超音速流の境界層乱流遷移の高忠実数値シミュレーションを実施し, そのメカニズムの解明と乱流遷移モデルの構築を目的とする.

参照URL

なし

JAXAスーパーコンピュータを使用する理由と利点

極超音速境界層の Direct Numerical Simulation を実施する. 極超音速流における乱流遷移現象を高忠実に捉えるためには, 数値的な擾乱および散逸を抑制した高解像度の数値シミュレーションが必要であり, このためには多くの計算コストを要する. したがって, 宇宙航空研究開発機構の所有するスーパーコンピュータの利用が不可欠である.

今年度の成果

極超音速乱流遷移と確率モデルとの類似性を検証するため, マッハ数6の平板を対象に, 極超音速流の乱流遷移計算を実施した. 計算コスト短縮のため, 平板先端付近に Blowing / Suction 擾乱を付加した. まず, 図1に流れ場 (マッハ数で色付けされたQ値の等値面) , 図2に Van Driest 変換した主流方向速度プロファイルを示す. 図1及び図2から, 乱流遷移計算が適切に実施されていることが分かる. 次に, 図3に乱流率分布および確率モデルから導かれる関数をベストフィットした曲線を示す. 図3から乱流率分布とベストフィット曲線は概ね一致していることが分かる. このことから, 確率モデルを用いれば極超音流においても乱流の拡がりを予測可能であることが示唆された.

図1: マッハ数で色付けされたQ値の等値面

図2: Van Driest 変換された主流方向速度分布

図3: 乱流率分布とベストフィット曲線

成果の公表

-口頭発表

1) Yasuhito Okano, Shintaro Sato, Naofumi Ohnish, Numerical Study toward Verification of Analogy between Hypersonic Turbulent Transition and Directed Percolation, 33rd ISTS, Online, March, 2022

2) 岡野泰人, 佐藤慎太郎, 大西直文, "極超音速乱流遷移と有向パーコレーション間の類似性検証に向けた数値的研究", 2021年度衝撃波シンポジウム, オンライン, 2022年3月

JSS利用状況

計算情報

• プロセス並列手法: MPI
• スレッド並列手法: 非該当
• プロセス並列数: 256 - 4800
• 1ケースあたりの経過時間: 120 時間

JSS3利用量

総資源に占める利用割合※1(%): 0.10

内訳

JSS3のシステム構成や主要な仕様は、JSS3のシステム構成をご覧下さい。

※1 総資源に占める利用割合：3つの資源(計算, ファイルシステム, アーカイバ)の利用割合の加重平均.

※2 資源の利用割合：対象資源一年間の総利用量に対する利用割合.

ISV利用量

※2 資源の利用割合：対象資源一年間の総利用量に対する利用割合.

JAXAスーパーコンピュータシステム利用成果報告(2021年2月～2022年1月)