非線形フォースフリー磁場計算による「ひので」観測に基づく太陽コロナ磁場推定
JAXAスーパーコンピュータシステム利用成果報告(2020年4月~2021年3月)
報告書番号: R20JU0912
利用分野: 宇宙科学
- 責任者: 斎藤義文, 宇宙科学研究所太陽系科学研究系
- 問い合せ先: 清水敏文(shimizu.toshifumi@jaxa.jp)
- メンバ: 川畑 佑典, 清水 敏文, 長谷川 隆祥
事業概要
太陽系最大の爆発現象である太陽フレアの発現機構を理解することを目的とする. 太陽観測衛星「ひので」等で観測された太陽表面磁場を用いて3次元の磁気流体力学計算を行うことで, 上空のコロナにおける3次元磁場構造を推定する. 推定された3次元磁場構造とフレア発生の関係を探る.
参照URL
「ひのでプロジェクトのホームページ:TOP PAGE」参照.
JAXAスーパーコンピュータを使用する理由と利点
スパコンの大規模計算環境を利用して太陽観測衛星「ひので」の高精度・高空間分解能の磁場を用いた3次元の磁気流体力学計算によるフォースフリー磁場モデリングを行う. 3次元の磁気流体力学計算を用いて, 3次元磁場の緩和を行うため, 多くの計算資源が必要となる.
今年度の成果
太陽フレアの発現機構やエネルギー蓄積過程の解明には, 光球における磁場発展とそれに対するコロナ磁場の応答を理解することが重要である. しかし現状の偏光分光観測ではコロナ磁場の測定は難しいため, 光球磁場を境界条件として非線形フォースフリー磁場(NLFFF)モデリングによってコロナ磁場を外挿する手法が有効となる. 今年度の成果として, 同一の活動領域において, 異なるフレア発生パターンを呈した二つの強磁場領域に着目し, 「ひので」の高精度偏光観測によって時系列的に取得された磁場データを外挿計算することで違いの要因を探った. 計算の結果, 両領域とも強い磁気領域の浮上に伴い, すでに存在していた黒点との間に新たな結びつきが形成されていた. 一方では局所的に強くねじれた磁場が形成された(図1)が, もう一方では浮上磁場の運動によって引き延ばされた磁場配位となった(図2). これらのトポロジカルな構造の違いが異なるエネルギー解放の一因になったと考えられる.
成果の公表
-査読付き論文
長谷川 隆祥, 清水敏文, Temporal Behaviors of Magnetic Helicity Injections by Self and Mutual Sunspot Rotations, The Astrophysical Journal, Submitted
JSS利用状況
計算情報
- プロセス並列手法: MPI
- スレッド並列手法: 非該当
- プロセス並列数: 1 – 144
- 1ケースあたりの経過時間: 8 時間
JSS2利用量
総資源に占める利用割合※1(%): 0.03
内訳
JSS2のシステム構成や主要な仕様は、JSS2のシステム構成をご覧下さい。
計算システム名 | コア時間(コア・h) | 資源の利用割合※2(%) |
---|---|---|
SORA-MA | 0.00 | 0.00 |
SORA-PP | 173.40 | 0.00 |
SORA-LM | 0.00 | 0.00 |
SORA-TPP | 16,214.21 | 1.53 |
ファイルシステム名 | ストレージ割当量(GiB) | 資源の利用割合※2(%) |
---|---|---|
/home | 25.61 | 0.02 |
/data | 254.85 | 0.00 |
/ltmp | 5,208.34 | 0.44 |
アーカイバシステム名 | 利用量(TiB) | 資源の利用割合※2(%) | J-SPACE | 0.00 | 0.00 |
---|
※1 総資源に占める利用割合:3つの資源(計算, ファイルシステム, アーカイバ)の利用割合の加重平均.
※2 資源の利用割合:対象資源一年間の総利用量に対する利用割合.
JSS3利用量
総資源に占める利用割合※1(%): 0.01
内訳
JSS3のシステム構成や主要な仕様は、JSS3のシステム構成をご覧下さい。
計算システム名 | コア時間(コア・h) | 資源の利用割合※2(%) |
---|---|---|
TOKI-SORA | 0.00 | 0.00 |
TOKI-RURI | 2.32 | 0.00 |
TOKI-TRURI | 14,825.28 | 1.19 |
ファイルシステム名 | ストレージ割当量(GiB) | 資源の利用割合※2(%) |
---|---|---|
/home | 19.35 | 0.01 |
/data | 191.54 | 0.00 |
/ssd | 190.73 | 0.10 |
アーカイバシステム名 | 利用量(TiB) | 資源の利用割合※2(%) | J-SPACE | 0.00 | 0.00 |
---|
※1 総資源に占める利用割合:3つの資源(計算, ファイルシステム, アーカイバ)の利用割合の加重平均.
※2 資源の利用割合:対象資源一年間の総利用量に対する利用割合.
JAXAスーパーコンピュータシステム利用成果報告(2020年4月~2021年3月)