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CMB偏光観測衛星LiteBIRDの光学要求解析

JAXAスーパーコンピュータシステム利用成果報告(2020年4月~2021年3月)

報告書番号: R20JDU20199

利用分野: 宇宙科学

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  • 責任者: 山田亨, 宇宙科学研究所宇宙物理学研究系
  • 問い合せ先: 永田 竜(nagata.ryo@jaxa.jp)
  • メンバ: 永田 竜

事業概要

宇宙科学研究所戦略的中型衛星 2 号機 LiteBIRD は, 偏光地図の奇パリティ成分に刻印された原始重力波の信号検出を目的として, マイクロ波背景輻射偏光の精密全天探査を行う. その科学的成果により, インフレーション理論の検証を通じたビッグバン以前の初期宇宙の究明が期待されるものである. 原始重力波に由来する偏光信号は, 既に観測で確認されている密度揺らぎ由来の偏光成分に比較して極めて微弱な信号であると考えられており, その検出に向けた取り組みにおいては, 徹底した系統誤差の理解と克服が必要不可欠な要素である.

本年度は JAXA スーパーコンピュータの新システム稼働にともなう数値シミュレーションソフトウェアの実行環境移行の作業に取り組んだ. ライブラリを新環境のプロセッサに適応させ, 一連の数値計算を従来環境での計算結果と整合的に実行できる体制を整備した. 加えて, 偏光特性のサイドローブ依存性に関する検討に着手した. 実測データを用いた評価の準備として, 低周波望遠鏡(LFT)のシミュレーションモデルを用い, 偏光角の応答から近傍サイドローブの寄与を分離する計算法を確立した.

参照URL

LiteBIRD: インフレーション宇宙を検証するCMB偏光観測小型科学衛星」参照.

JAXAスーパーコンピュータを使用する理由と利点

LiteBIRD は掃天観測によって偏光地図の作成を全天球領域で行う. データ取得過程の数値シミュレーションにおいては, ビームパターンの畳込み積分をサンプリングレートである 19 Hz の頻度で一年間分繰り返す. ビーム関数は数千平方度の領域を分角スケールの分解能で分布しており, サンプリング毎に数百万グリッド点で評価される. 積分とそれに伴う座標変換の繰り返しは莫大な計算量を要求するため, 高性能の数値計算資源を必要とする. LiteBIRD は宇宙科学研究所戦略的中型衛星 2 号機に選定されており, 本課題において達成された検討成果は光学設計の根幹をなす要素としてプロジェクトの推進に大いに寄与している.

今年度の成果

年度途中まで SORA-MA で運用されていた数値シミュレーションソフトウェアの TOKI-SORA 実行環境への移行を完了した. JSS サポートデスクの協力のもと, ソフトウェアライブラリを更新し新環境のプロセッサへと適合させた. 新環境での数値計算は, 従来環境での実行結果と高い精度で一致することが確認できた. また計算性能の面では, 従来と同等の同時使用コア数のもと計算に要する時間が概ね半減しており, 著しい改善が見出された. 本作業成果により, 次年度以降の事業推進に際して, 検討内容に大幅な拡充が期待できることとなった.

LFT シミュレーションモデルにもとづいたビームパターンを用いて, 偏光特性の測定実験を数値的に再現し, 偏光角の応答におけるビームパターンの部位毎の寄与を評価した. (図 1) は, 試験的に採用した焦点面中央部に位置する検出器の 100GHz 帯ビームパターンにもとづき, 偏光角バイアスの区間依存性を示したものである. メインビーム端から近傍サイドローブ領域にかけて 1 分角程度の偏光角バイアスの増加が認められた. 感染症対策事業継続計画のもと LFT 1/4 スケールモデルの測定データ取得が進められており, 次年度には実測データに基づいた評価を行うための準備を完了することができた.

Annual Reoprt Figures for 2020

図1: 100 GHz 帯 ビームパターンにおける偏光角バイアスの区間依存性

 

成果の公表

-査読なし論文

Concept design of low frequency telescope for CMB B-mode polarization satellite LiteBIRD: Proc. SPIE, 11453, 1145310 (2020)

-Web

http://litebird.jp/

JSS利用状況

計算情報

  • プロセス並列手法: MPI
  • スレッド並列手法: OpenMP
  • プロセス並列数: 24
  • 1ケースあたりの経過時間: 1 時間

JSS2利用量

 

総資源に占める利用割合※1(%): 0.00

 

内訳

JSS2のシステム構成や主要な仕様は、JSS2のシステム構成をご覧下さい。

計算資源
計算システム名 コア時間(コア・h) 資源の利用割合※2(%)
SORA-MA 6,517.76 0.00
SORA-PP 0.00 0.00
SORA-LM 0.00 0.00
SORA-TPP 0.00 0.00

 

ファイルシステム資源
ファイルシステム名 ストレージ割当量(GiB) 資源の利用割合※2(%)
/home 2.38 0.00
/data 476.84 0.01
/ltmp 488.28 0.04
アーカイバ資源
アーカイバシステム名 利用量(TiB) 資源の利用割合※2(%)
J-SPACE 0.12 0.00

※1 総資源に占める利用割合:3つの資源(計算, ファイルシステム, アーカイバ)の利用割合の加重平均.

※2 資源の利用割合:対象資源一年間の総利用量に対する利用割合.

 

JSS3利用量

 

総資源に占める利用割合※1(%): 0.03

 

内訳

JSS3のシステム構成や主要な仕様は、JSS3のシステム構成をご覧下さい。

計算資源
計算システム名 コア時間(コア・h) 資源の利用割合※2(%)
TOKI-SORA 167,842.45 0.04
TOKI-RURI 21.40 0.00
TOKI-TRURI 0.00 0.00

 

ファイルシステム資源
ファイルシステム名 ストレージ割当量(GiB) 資源の利用割合※2(%)
/home 6.36 0.00
/data 1,271.57 0.02
/ssd 63.58 0.03

 

アーカイバ資源
アーカイバシステム名 利用量(TiB) 資源の利用割合※2(%)
J-SPACE 0.12 0.00

※1 総資源に占める利用割合:3つの資源(計算, ファイルシステム, アーカイバ)の利用割合の加重平均.

※2 資源の利用割合:対象資源一年間の総利用量に対する利用割合.

JAXAスーパーコンピュータシステム利用成果報告(2020年4月~2021年3月)