再使用型宇宙輸送システムの複合領域設計最適化への高精度空力解析の適用
JAXAスーパーコンピュータシステム利用成果報告(2020年4月~2021年3月)
報告書番号: R20JACA48
利用分野: JSS大学共同利用
- 責任者: 藤川貴弘, 東京理科大学
- 問い合せ先: 東京理科大学 理工学部 藤川貴弘(fujikawa.takahiro@rs.tus.ac.jp)
- メンバ: 藤川 貴弘, 米本 浩一, 関 大悟, 大槻 剛, 渡辺 智敬
事業概要
再使用型宇宙輸送機のシステム設計では, 機体設計と飛行軌道設計が相互に影響しあうため, これらを統合して最適化することのできる複合領域設計最適化の適用が研究されている. しかし, 我々の先行研究では空力解析としてパネル法等の低精度モデルが用いられてきたため, 設計の精度に問題があった.
そこで本研究では, サブオービタルスペースプレーンのシステム最適化解析に, 高精度空力解析手法としてJAXAの高速流体ソルバFaSTARを適用することを目指し, 最適化ツールへの実装について理論・実用の両面から検討する.また, 得られた設計解の詳細な空力特性評価もFaSTARによって実施する.
参照URL
https://space-systems.me.noda.tus.ac.jp/research-content/optimisation/ 参照.
JAXAスーパーコンピュータを使用する理由と利点
宇宙輸送機のシステム最適化では, 様々な機体形状候補に対して幅広いマッハ数および迎角での空力特性評価を行う必要があるため, スーパーコンピュータ等のHPC環境が無くてはならない. JAXA FaSTARおよびその周辺ソフトは, 高速性と自動化との親和性から本研究に適しており, さらにJAXAスーパーコンピュータでの実行において高速性をさらに発揮するように調整されていることが利点である.
今年度の成果
本年度は, インハウスのパネルコードによる低精度空力解析とJAXA FaSTARによる高精度空力解析を組み合わせることで適度な計算コストで高精度な解析を実現することを目指し, Multi-FidelityサロゲートモデルであるCo-Krigingを構築し, 有人サブオービタルスペースプレーンの複合領域設計最適化に適用した. 低精度データ150点に対して高精度データを2点のみ加えたCo-Krigingモデルであっても, 高精度解析の結果に近い出力が得られ, 精度向上が確認された. また, このCo-Krigingモデルを, 多目的進化計算と勾配法を組み合わせた最適化ツールに実装し, 多様性のある良好なパレート最適解を得た.
また, 先行研究で得られていた無人サブオービタルスペースプレーン最適形状の詳細な空力特性評価も並行して実施した.
成果の公表
なし
JSS利用状況
計算情報
- プロセス並列手法: MPI
- スレッド並列手法: 自動並列
- プロセス並列数: 120 – 160
- 1ケースあたりの経過時間: 1 時間
JSS2利用量
総資源に占める利用割合※1(%): 0.08
内訳
JSS2のシステム構成や主要な仕様は、JSS2のシステム構成をご覧下さい。
計算システム名 | コア時間(コア・h) | 資源の利用割合※2(%) |
---|---|---|
SORA-MA | 461,585.19 | 0.09 |
SORA-PP | 157.82 | 0.00 |
SORA-LM | 0.00 | 0.00 |
SORA-TPP | 0.00 | 0.00 |
ファイルシステム名 | ストレージ割当量(GiB) | 資源の利用割合※2(%) |
---|---|---|
/home | 52.45 | 0.05 |
/data | 524.52 | 0.01 |
/ltmp | 10,742.19 | 0.92 |
アーカイバシステム名 | 利用量(TiB) | 資源の利用割合※2(%) | J-SPACE | 0.00 | 0.00 |
---|
※1 総資源に占める利用割合:3つの資源(計算, ファイルシステム, アーカイバ)の利用割合の加重平均.
※2 資源の利用割合:対象資源一年間の総利用量に対する利用割合.
JSS3利用量
総資源に占める利用割合※1(%): 0.07
内訳
JSS3のシステム構成や主要な仕様は、JSS3のシステム構成をご覧下さい。
計算システム名 | コア時間(コア・h) | 資源の利用割合※2(%) |
---|---|---|
TOKI-SORA | 353,228.09 | 0.08 |
TOKI-RURI | 0.00 | 0.00 |
TOKI-TRURI | 0.00 | 0.00 |
ファイルシステム名 | ストレージ割当量(GiB) | 資源の利用割合※2(%) |
---|---|---|
/home | 33.38 | 0.02 |
/data | 333.79 | 0.01 |
/ssd | 333.79 | 0.17 |
アーカイバシステム名 | 利用量(TiB) | 資源の利用割合※2(%) | J-SPACE | 0.00 | 0.00 |
---|
※1 総資源に占める利用割合:3つの資源(計算, ファイルシステム, アーカイバ)の利用割合の加重平均.
※2 資源の利用割合:対象資源一年間の総利用量に対する利用割合.
JAXAスーパーコンピュータシステム利用成果報告(2020年4月~2021年3月)