先端的宇宙機推進機のプラズマ流れの数値解析
JAXAスーパーコンピュータシステム利用成果報告(2019年4月~2020年3月)
報告書番号: R19JU0904
利用分野: 宇宙科学
- 責任者: 佐藤英一, 宇宙科学研究所宇宙飛翔工学研究系
- 問い合せ先: 船木一幸(funaki.ikkoh@jaxa.jp)
- メンバ: 田内 思担, 原 亮太
事業概要
既存宇宙機推進技術の適用範囲は限られており, 太陽系内の自由な航行にはほど遠いのが現状である. 宇宙機推進のブレークスルーにより, 次世代深宇宙探査技術を飛躍的に高めることを目的とする.
参照URL
なし
JAXAスーパーコンピュータを使用する理由と利点
多大な計算リソースを必要とするプラズマ流解析コードにて, 数値設計最適化を実施するために不可欠である.
今年度の成果
自己誘起磁場型MPDスラスタの数値シミュレーションを実施し, 数値計算結果と実験結果との比較を行った. 水素を推進剤として, 放電電流9 kA, 推進剤流量0.4 g/sの条件における計算で比較した結果, 電子数密度, 電子温度等のプラズマ流れ場について定性的に一致することが確認できたが, 定量的には違いが見られた. 数値シミュレーションでは定常動作を模擬している一方で, 実験ではパルス動作であるため, 数値計算コードに適切な電極現象をモデルとして組込むことで改善できると考えられる.
また, 磁気プラズマセイルに関する電磁流体解析を実施し, プラズマの噴射条件が推力特性に及ぼす影響を調査し. 本年度は動圧と静圧を複合したプラズマ噴射を行った場合の磁気プラズマセイルについて取り扱った. 数値解析を行った結果, 噴射プラズマの圧力条件(動圧と静圧の比率)が磁気プラズマセイルの推力特性に影響を与え, 推力ゲインはピークを取ることが確認できた. このことから噴射プラズマの圧力条件には最適な条件が存在することが分かった.
成果の公表
-査読付き論文
田内思担,川﨑央,中根昌克,窪田健一,船木一幸,臨界電流における水素MPDスラスタのプラズマ挙動に関する数値解析, 日本航空宇宙学会論文集, Vol.67, 2019, pp.159-166.
-査読なし論文
原 亮太,荒井 啓之,船木 一幸,山極 芳樹,西田 浩之,大塩 裕哉, 可変磁気レイノルズ数条件における磁気プラズマセイルの数値解析, 第63回宇宙科学技術連合講演会, 1I03, 2019/11/6, 徳島.
-口頭発表
1) 原 亮太,山極 芳樹,大塩 裕哉,西田 浩之,船木 一幸,噴射プラズマ動圧を考慮したリングカレント型磁気プラズマセイルの数値解析,令和元年度宇宙輸送シンポジウム,STEP-2019-037,2020年1月,相模原.
2) 田内思担,大塩裕哉,川﨑央,船木一幸, 熱負荷を考慮した自己誘起磁場型MPDスラスタの推進性能とプラズマ構造, 令和元年度宇宙輸送シンポジウム,STEP-2019-009,2020年1月,相模原.
JSS2利用状況
計算情報
- プロセス並列手法: 非該当
- スレッド並列手法: 自動並列
- プロセス並列数: 1
- 1ケースあたりの経過時間: 10 時間
利用量
総資源に占める利用割合※1(%): 0.02
内訳
JSS2のシステム構成や主要な仕様は、JSS2のシステム構成をご覧下さい。
計算システム名 | コア時間(コア・h) | 資源の利用割合※2(%) |
---|---|---|
SORA-MA | 172,259.24 | 0.02 |
SORA-PP | 2,886.29 | 0.02 |
SORA-LM | 0.00 | 0.00 |
SORA-TPP | 0.00 | 0.00 |
ファイルシステム名 | ストレージ割当量(GiB) | 資源の利用割合※2(%) |
---|---|---|
/home | 42.92 | 0.04 |
/data | 429.15 | 0.01 |
/ltmp | 8,789.07 | 0.75 |
アーカイバシステム名 | 利用量(TiB) | 資源の利用割合※2(%) |
---|---|---|
J-SPACE | 0.00 | 0.00 |
※1 総資源に占める利用割合:3つの資源(計算, ファイルシステム, アーカイバ)の利用割合の加重平均.
※2 資源の利用割合:対象資源一年間の総利用量に対する利用割合.
JAXAスーパーコンピュータシステム利用成果報告(2019年4月~2020年3月)