温室効果ガス観測技術衛星(GOSAT)運用事業
JAXAスーパーコンピュータシステム利用成果報告(2019年4月~2020年3月)
報告書番号: R19JR2100
利用分野: 宇宙技術
- 責任者: 久世暁彦, 第一宇宙技術部門GOSAT-2プロジェクトチーム
- 問い合せ先: 上田陽子(ueda.yoko@jaxa.jp)
- メンバ: 橋本 真喜子, 木幡 賢二, 今中 誠, 上田 陽子, 早坂 英俊, 菅原 衛, 間渕 知行, 新井 雅仁, 吉田 武仁, 片岡 文恵, 永田 均, 吉田 純, 今谷 律子, 菊地 信弘, 中村 陽一, 薙野 綾
事業概要
GOSATはミッション期間の5年を超えて約10年の観測を継続し, 適正に校正された高スペクトル分解能データを供給しています. 全体的な機能や性能は良好で, SNRとスペクトル分解能に大きな劣化は観察されていません. 衛星上でいくつかの異常が見つかりましたが, その後は安定しています. 打ち上げ以降, これらの異常に対応するためにレベル1アルゴリズムが更新されています.
参照URL
「HOME – GOSAT – JAXA」参照.
JAXAスーパーコンピュータを使用する理由と利点
GOSATプロダクトの再処理対象は過去に取得した全観測データであり, 標準処理よりもより多くの計算機リソース(コア, メモリ, ストレージ等)を必要とします. 再処理の期間を短縮し, 再処理後のプロダクトをより早くユーザに提供するためにJSS2の利用が必要です.
今年度の成果
(1) GOSAT TANSO-FTSレベル1プロダクトの再処理
GOSATのTANSO-FTS プロダクトのL1プログラムの改修を行い,過去データ10年分の再処理プロダクト(V220220)作成のためにスパコンを利用した(2019年6月).従来筑波のシステムで1.7年間かかっていたが,スパコンを利用することにより約22日間で完了することができた.
また,再処理したデータのユーザ提供にスパコンを利用した.調布から筑波に伝送し,筑波のユーザ提供用サーバにアップロードするのに1カ月かかっていたが,スパコンのストレージから直接ユーザにダウンロードしてもらうことにより,再処理後1週間程度で速やかにデータ提供を開始できた.
(2) GOSAT TANSO-CAIデータの校正検証
TANSO-CAI 観測データからセンサ感度変化を評価し, 輝度校正係数を決定するための解析処理を行い, 該当期間のバンド1の校正係数を決定した. バンド1はエアロゾルの粒径分布等の重要な情報を含むため, バンド2およびバンド3の校正後の輝度に併せて, バンド1の輝度を最適化する. バンド2およびバンド3の輝度校正係数が3候補あるため, 3条件でバンド1の輝度校正係数を計算し, 決定することができた. Fig. 1に計算の仕組み, Fig. 2 に計算結果を示す.
期間:2019年6月~2020年2月(4か月おき)
成果の公表
なし
JSS2利用状況
計算情報
- プロセス並列手法: 非該当
- スレッド並列手法: 非該当
- プロセス並列数: 1
- 1ケースあたりの経過時間: 30 分
利用量
総資源に占める利用割合※1(%): 0.14
内訳
JSS2のシステム構成や主要な仕様は、JSS2のシステム構成をご覧下さい。
計算システム名 | コア時間(コア・h) | 資源の利用割合※2(%) |
---|---|---|
SORA-MA | 0.00 | 0.00 |
SORA-PP | 183,656.84 | 1.19 |
SORA-LM | 0.00 | 0.00 |
SORA-TPP | 0.00 | 0.00 |
ファイルシステム名 | ストレージ割当量(GiB) | 資源の利用割合※2(%) |
---|---|---|
/home | 210.66 | 0.18 |
/data | 275,278.22 | 4.71 |
/ltmp | 18,847.66 | 1.60 |
アーカイバシステム名 | 利用量(TiB) | 資源の利用割合※2(%) |
---|---|---|
J-SPACE | 1.93 | 0.05 |
※1 総資源に占める利用割合:3つの資源(計算, ファイルシステム, アーカイバ)の利用割合の加重平均.
※2 資源の利用割合:対象資源一年間の総利用量に対する利用割合.
JAXAスーパーコンピュータシステム利用成果報告(2019年4月~2020年3月)