システム安全・運用評価技術
JAXAスーパーコンピュータシステム利用成果報告(2019年4月~2020年3月)
報告書番号: R19JG3216
利用分野: 研究開発
- 責任者: 嶋英志, 研究開発部門第三研究ユニット
- 問い合せ先: 藤本圭一郎(fujimoto.keiichiro@jaxa.jp)
- メンバ: 南部 太介, 伊藤 孝行, 根岸 秀世, 大西 陽一, 西元 美希, 大門 優, Ashvin Hosangadi, 福地 健, 猪野 正輝, 深澤 修, 大野 真司, Andrea Zambon, 中島 健賀, 雨宮 孝, 梅村 悠, 藤原 大典, 谷 洋海, 藤本 圭一郎, 王丸 哲文, 福田 太郎, 外山 雅士, 井手 優紀, 須藤 翔太, 照沼 暁光, 赤井 恒太
事業概要
スペースデブリ対策のひとつである非デブリ化の一環としてロケット上段や宇宙機の高忠実な物理モデルによる新しいリエントリ溶融性評価法LS-DARCを開発し, 安全要求厳格化に備えたEC値の高精度評価や設計上流段階からの安全性設計を実現させる.
この活動で得られる6自由度軌道, 空力, 熱流束, 熱伝導及び溶融による形状変化を考慮した多分野連成シミュレーション技術は解析時間が短いうえに広く応用が可能なものであり, HTV搭載型小型回収カプセルや再使用型ロケットの空力・熱流束評価などに適用していく計画.
参照URL
「数値シミュレーション技術|第三研究ユニット(旧 情報・計算工学センター)」参照.
JAXAスーパーコンピュータを使用する理由と利点
リエントリ安全評価では様々な物理シミュレーションを組合わせた連成解析を, 様々な不確定因子ばらつきを考慮した確率論的評価が不可欠である. それに加えて安全性設計を実現させるには設計パラメータも変えた評価が欠かせない. 従って, 高負荷な数多くの数値解析の実行ができる高性能な計算機環境が欠かせない. また取扱う解析対象もロケット上段や宇宙機全体であることから, 機微情報を取扱う必要がある. 従って, 高性能なJAXA内のスーパーコンピューターであるJSS2は不可欠であり, 重要な役割を果たしている.
今年度の成果
本年度は, ロケット上段や宇宙機のリエントリ安全評価用の複合物理連成解析ツールLS-DARCを完成させるうえで必要なロケット上段全機やロケットエンジンに対する溶融性評価をおこなった. その結果, リエントリ安全評価におけるリスク指標であるEC値へ感度が高い因子識別, 熱流束・空力特性の縮約モデルについて改良が必要な対象の識別, 及び複雑形状で部品点数が多い機体の実用解析におけるツールの改良点識別と改良をおこなうことができた. また, 溶融破壊などにより分離した複数物体を扱うことができる機能のための検証解析もおこなった. 図1は, リエントリ安全評価コードLS-DARCの概要とロケット上段やロケットエンジンに対する解析例である.
成果の公表
-査読なし論文
Fujimoto, K., Negishi, H., Daibo, T., Iizuka, N., Shimizu, R., and Okita, K., “High-fidelity Spacecraft-oriented Re-entry Safety Analysis Code of JAXA : LS-DARC,” 10th IAASS, 2019.
JSS2利用状況
計算情報
- プロセス並列手法: MPI
- スレッド並列手法: FLAT並列
- プロセス並列数: 32 – 192
- 1ケースあたりの経過時間: 168 時間
利用量
総資源に占める利用割合※1(%): 0.02
内訳
JSS2のシステム構成や主要な仕様は、JSS2のシステム構成をご覧下さい。
計算システム名 | コア時間(コア・h) | 資源の利用割合※2(%) |
---|---|---|
SORA-MA | 105,968.96 | 0.01 |
SORA-PP | 38.07 | 0.00 |
SORA-LM | 0.00 | 0.00 |
SORA-TPP | 3.15 | 0.00 |
ファイルシステム名 | ストレージ割当量(GiB) | 資源の利用割合※2(%) |
---|---|---|
/home | 406.85 | 0.34 |
/data | 25,781.24 | 0.44 |
/ltmp | 15,406.12 | 1.31 |
アーカイバシステム名 | 利用量(TiB) | 資源の利用割合※2(%) |
---|---|---|
J-SPACE | 1.60 | 0.04 |
※1 総資源に占める利用割合:3つの資源(計算, ファイルシステム, アーカイバ)の利用割合の加重平均.
※2 資源の利用割合:対象資源一年間の総利用量に対する利用割合.
JAXAスーパーコンピュータシステム利用成果報告(2019年4月~2020年3月)