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放射線防護技術に関する研究

JAXAスーパーコンピュータシステム利用成果報告(2019年4月~2020年3月)

報告書番号: R19JG3210

利用分野: 研究開発

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  • 責任者: 山中浩二, 研究開発部門第一研究ユニット
  • 問い合せ先: 島﨑一紀, 研究開発部門第一研究ユニット(shimazaki.kazunori@jaxa.jp)
  • メンバ: 後藤 亜希, 島﨑 一紀

事業概要

将来有人探査ミッションの安全な実現に向けて, 宇宙放射線防護技術が要求されている. 本研究は, 被ばく線量を精度よく評価する技術, 及び遮蔽設計を最適化する手法の確立を目的とする.

参照URL

なし

JAXAスーパーコンピュータを使用する理由と利点

PHITS (粒子・重イオン輸送計算汎用モンテカルロコード) シミュレーションによる材料の遮蔽効果予測のために, JSS2 を利用している. 有人宇宙船を模擬した体系など, 大きく複雑な体系での放射線輸送モンテカルロシミュレーションには, 膨大な時間を要する. JSS2 の利用により, そのような体系でのシミュレーションを高速かつ統計精度よく実施することが可能となる.

今年度の成果

放射線防護技術に含まれる要素技術の一つとして, 高精度な被ばく線量予測技術の確立が挙げられる. 現在, モンテカルロコードを用いた線量予測を行っているが, これまで宇宙開発分野で使用されてきた標準予測ツールとの比較を行うことでその妥当性を検証した. 放射線輸送モンテカルロコードとしては, PHITS (Particle and Heavy Ion Transport code System) Ver. 3.16[1-4]を用いた. 標準予測ツールには, CREME96[5]を用いた.

CREME96は, Al遮蔽後に設置された物質の宇宙放射線に対する実効LET(Linear Energy Transfer)スペクトルを簡便かつ迅速に推定することができる. そのため, シールド厚さを変えながら短時間で繰り返し計算することができる. しかしながら, これらの標準ツールは非常に強力で実績のあるツールではあるが, その使用にはいくつかの制限がある. 例えば, それらは非常にシンプルな平板構造を想定している. また, 遮蔽物であるAlと入射粒子の核反応で生成される二次粒子(中性子)の影響を考慮することができない.

そこで, 銀河宇宙線(Galactic Cosmic Ray)を入射粒子とした際のSi内の積分フラックスの実効LET依存性をCREME96とPHITSの両者で算出した. GCRのスペクトルは, CREME96が提供する太陽活動極小期(1977年)のGCRモデル(地球磁気圏外の1AU)を用いた. 用いた核種は, 水素(Z=1)からニッケル(Z=28)である. 図1に用いたスペクトルの一部を示す. 計算体系は, CREME96に合わせた. つまり, AlとSiの2層モデルとした. Al遮蔽厚は, 100milおよび3000milとした.

図2, 3に算出結果を示す. Alの遮蔽が薄い場合(100mil), 積分フラックスの実効LET依存性は, 両者で良い一致を示した. Alの遮蔽が厚い場合(3000mil), 低LET領域と200~1000MeV cm2/gの領域で差が生じた. この差はおそらく使用している計算手法, 核断面積等が異なるためと考えられる. 特に, CREME96では二次粒子の影響を考慮することができない. そのため, 二次粒子(実際にはAl内で生成された中性子がSi内で生成した粒子)の影響を図2, 3に青色の破線で示した. その結果, Al 3000milの場合, 200~1000MeV cm2/gの領域で中性子により生成された粒子の影響が現れていることが分かる. そのため, 遮蔽が厚く二次粒子の影響が無視できない領域では, PHITSの方がより適切に遮蔽後の放射線フラックスを見積ることができる可能性があることが分かった.

[1] T.Sato et al., J.Nucl.Sci.Technol.55, 684-690 (2018).

[2] A. Boudard et al., Phys. Rev C87, 014606 (2013).

[3] H. Hirayama et al., SLAC-R-730 (2005) and KEK Report 2005-8 (2005)

[4] K. Iida, A. Kohama, and K. Oyamatsu, J. Phys. Soc. Japan 76, 044201 (2007).

[5] https://creme.isde.vanderbilt.edu/

Annual Reoprt Figures for 2019

図1: CREME96が提供する1977年太陽活動極小期の粒子スペクトル. H(陽子), He, C, Ne, Ar, Fe, Niスペクトルのみ示す.

 

Annual Reoprt Figures for 2019

図2: 積分フラックスのLET依存性(Al 100mil遮蔽後)

 

Annual Reoprt Figures for 2019

図3: 積分フラックスのLET依存性(Al 3000mil遮蔽後)

 

成果の公表

なし

JSS2利用状況

計算情報

  • プロセス並列手法: MPI
  • スレッド並列手法: OpenMP
  • プロセス並列数: 48 - 300
  • 1ケースあたりの経過時間: 30000 秒

利用量

 

総資源に占める利用割合※1(%): 0.21

 

内訳

JSS2のシステム構成や主要な仕様は、JSS2のシステム構成をご覧下さい。

計算資源
計算システム名 コア時間(コア・h) 資源の利用割合※2(%)
SORA-MA 0.00 0.00
SORA-PP 579,345.19 3.75
SORA-LM 0.00 0.00
SORA-TPP 0.00 0.00

 

ファイルシステム資源
ファイルシステム名 ストレージ割当量(GiB) 資源の利用割合※2(%)
/home 9.54 0.01
/data 9,651.19 0.17
/ltmp 1,953.13 0.17

 

アーカイバ資源
アーカイバシステム名 利用量(TiB) 資源の利用割合※2(%)
J-SPACE 0.00 0.00

※1 総資源に占める利用割合:3つの資源(計算, ファイルシステム, アーカイバ)の利用割合の加重平均.

※2 資源の利用割合:対象資源一年間の総利用量に対する利用割合.

JAXAスーパーコンピュータシステム利用成果報告(2019年4月~2020年3月)


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JAXA(宇宙航空研究開発機構) 調布航空宇宙センター
所在地 〒182-8522 東京都
調布市深大寺東町7-44-1