ポスト京重点課題8-D「航空機の設計・運用革新を実現するコア技術の研究開発」
JAXAスーパーコンピュータシステム利用成果報告(2019年4月~2020年3月)
報告書番号: R19JCMP06
利用分野: 競争的資金
- 責任者: 稲富裕光, 宇宙科学研究所学際科学研究系
- 問い合せ先: 高木亮治(ryo@isas.jaxa.jp)
- メンバ: 高木 亮治, 野々村 拓, 堤 誠司, 福島 裕馬, 河合 宗司, 三吉 郁夫, 関本 諭志, 柴田 寿一, 小泉 拓, 久谷 雄一, 稲荷 智英, 平嶋 良太, 玉置 義治, 唐津 卓哉
事業概要
流体現象の本質をとらえる準第一原理的手法を用いて航空機実機フライト環境を忠実に再現でき, かつ高速に解析できる技術を開発する. 具体的には階層型等間隔直交構造格子法をベースに高精度圧縮性解法, 壁面形状モデル, LES (Large Eddy Simulation)壁面モデルを開発する.
参照URL
「サブ課題D|重点課題8:近未来型ものづくりを先導する革新的設計・製造プロセスの開発」参照.
JAXAスーパーコンピュータを使用する理由と利点
本課題で実施する解析は大規模解析となるため,JSS2の様な大きな計算機資源が必要となるため.また,最終的なターゲットであるスーパーコンピュータ「富岳」と似たアーキテクチャを有しているため.
今年度の成果
階層型等間隔直交構造格子法を用いた圧縮性流体解析プログラムFFVHC-ACEの開発を進めた. 今年度は昨年度実施した実機詳細形状(JSM_CRM_LEGモデル)の試計算に対して, 計算格子を増やした解析(約8億点から約45億点)を行い, 大規模解析が可能であることを確認した. 図1で示すのはマッハ数が0.2, レイノルズ数が106, 迎角が7度の計算結果で, この図ではJSM_CRM_LEGモデルの周りの渦を表している. 図2は昨年度実施した格子点数が約8億点の結果と今年度実施した約45億点の結果を比較したものである. 格子解像度の向上にともない, より微細な渦が捉えられていることがわかる.
図1(ビデオ): 詳細形状モデル(JSM_CRM_LEGモデル)の解析例
成果の公表
-査読なし論文
高木亮治, 河合宗司, 福島裕馬, 玉置義治, 堤誠司, 柴田寿一, 階層型等間隔直交構造格子を用いた高速・高精度乱流解析プログラムの開発, pp165-171, JAXA-SP-19-007
-招待講演
高木亮治, 高速流体解析プログラムの高速化チューニング ーFX100から「富岳」へー 第132回計算科学コロキウム
-口頭発表
1) 高木亮治, 河合宗司, 福島裕馬, 玉置義治, 堤誠司, 柴田寿一, 階層型等間隔直交構造格子を用いた高速・高精度乱流解析プログラムの開発, 第51回流体力学講演会/第37回航空宇宙数値シミュレーション技術シンポジウム, 2A01
2) 高木亮治, 階層型等間隔直交構造格子を用いた高速・高精度乱流解析プログラムFFVHC-ACEについて, 令和元年度 第1回アプリケーション連携開発会議
3) 高木亮治, FFVHC-ACEの性能予測と高速化, 令和元年度 第2回アプリケーション連携開発会議
4) 高木亮治, FFVHC-ACEの高速化, 第3回 HPCものづくり統合ワークショップ
JSS2利用状況
計算情報
- プロセス並列手法: MPI
- スレッド並列手法: OpenMP
- プロセス並列数: 1 – 2048
- 1ケースあたりの経過時間: 300 時間
利用量
総資源に占める利用割合※1(%): 4.52
内訳
JSS2のシステム構成や主要な仕様は、JSS2のシステム構成をご覧下さい。
計算システム名 | コア時間(コア・h) | 資源の利用割合※2(%) |
---|---|---|
SORA-MA | 40,982,603.08 | 4.98 |
SORA-PP | 8,951.93 | 0.06 |
SORA-LM | 450.53 | 0.19 |
SORA-TPP | 0.00 | 0.00 |
ファイルシステム名 | ストレージ割当量(GiB) | 資源の利用割合※2(%) |
---|---|---|
/home | 2,649.31 | 2.21 |
/data | 32,394.35 | 0.55 |
/ltmp | 10,575.27 | 0.90 |
アーカイバシステム名 | 利用量(TiB) | 資源の利用割合※2(%) |
---|---|---|
J-SPACE | 36.47 | 0.92 |
※1 総資源に占める利用割合:3つの資源(計算, ファイルシステム, アーカイバ)の利用割合の加重平均.
※2 資源の利用割合:対象資源一年間の総利用量に対する利用割合.
JAXAスーパーコンピュータシステム利用成果報告(2019年4月~2020年3月)