超音速ボルテックスジェネレータ周り流れの理解に向けた直接数値解析
JAXAスーパーコンピュータシステム利用成果報告(2019年4月~2020年3月)
報告書番号: R19JACA44
利用分野: JSS2大学共同利用
- 責任者: 野々村拓, 東北大学
- 問い合せ先: 野々村拓 (東北大学)(nonomura@aero.mech.tohoku.ac.jp)
- メンバ: 野々村 拓, 永田 貴之
事業概要
本研究では, 超音速流中の滑り壁上に設置されたボルテックスジェネレータ周り流れをNavier-Stokes方程式の直接数値解析で調べ, その基礎特性明らかにする. ボルテックスジェネレータ周り流れの性質は亜音速・遷音速領域においては膨大な研究が行われているが, 超音速流れにおいては研究例が少なく体系的な理解が低速域に比べて進んでいない. そのため, ため単純化した問題設定で解析を行い, 基礎的な現象理解を進める.
参照URL
なし
JAXAスーパーコンピュータを使用する理由と利点
本研究では, Navier-Stokes方程式を直接解くdirect numerical simulationを実施するため, 低Reynolds数条件ではあるものの大きな計算資源が必要である. それと同時に, 主流のMach数やボルテックスジェネレータの形状, 配置に対して多数のパラメータが存在するため, 計算ケース数が多く, 高速演算が可能なスーパーコンピュータシステムの利用が必要不可欠である.
今年度の成果
本研究では, 1組のvane-typeボルテックスジェネレータ周り流れをNavier-Stokes方程式を解くことによって調査した. 層流かつ滑り壁面上に設置されたボルテックスジェネレータを対象とすることで問題を単純化した. 主流の諸量とボルテックスジェネレータの高さを基準とするReynolds数は500とした. ボルテックスジェネレータの配置と形状が, 生成される渦の循環係数, 誘起流速度, 空力係数に与える影響を調べた. さらに, 主流速度と渦コアの高さで正規化した新しい循環係数C_gamma´を提案し, その有効性も確かめた. C_gamma´は渦コアの高さの情報を反映しているため, 壁面近傍での運動量交換についてより良い評価パラメタであると考えられる. シミュレーションの結果から, vaneの間隔が広い場合は効果的な渦を小さな抵抗で生成できることを明らかにした. また, 長いvaneは強力で効果的な渦を小さな抵抗係数で生成できることを示した.
成果の公表
-口頭発表
Nagata, T., Daspit, J. T., Nonomura, T., and Loth, E., “Direct numerical simulation of supersonic flow over a counter-rotating vane-type vortex generator implemented on slip wall,” ASME-JSME-KSME Joint Fluids Engineering Conference 2019, AJKFLUIDS2019-5312, California, USA, July, 2019.
JSS2利用状況
計算情報
- プロセス並列手法: MPI
- スレッド並列手法: OpenMP
- プロセス並列数: 1 – 289
- 1ケースあたりの経過時間: 150 時間
利用量
総資源に占める利用割合※1(%): 0.18
内訳
JSS2のシステム構成や主要な仕様は、JSS2のシステム構成をご覧下さい。
計算システム名 | コア時間(コア・h) | 資源の利用割合※2(%) |
---|---|---|
SORA-MA | 1,645,333.92 | 0.20 |
SORA-PP | 0.00 | 0.00 |
SORA-LM | 0.00 | 0.00 |
SORA-TPP | 0.00 | 0.00 |
ファイルシステム名 | ストレージ割当量(GiB) | 資源の利用割合※2(%) |
---|---|---|
/home | 32.82 | 0.03 |
/data | 5,457.26 | 0.09 |
/ltmp | 1,091.45 | 0.09 |
アーカイバシステム名 | 利用量(TiB) | 資源の利用割合※2(%) |
---|---|---|
J-SPACE | 6.27 | 0.16 |
※1 総資源に占める利用割合:3つの資源(計算, ファイルシステム, アーカイバ)の利用割合の加重平均.
※2 資源の利用割合:対象資源一年間の総利用量に対する利用割合.
JAXAスーパーコンピュータシステム利用成果報告(2019年4月~2020年3月)