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ナノ秒パルス放電を利用したプラズマアクチュエータの放電・流れの連成解析

JAXAスーパーコンピュータシステム利用成果報告(2019年4月~2020年3月)

報告書番号: R19JACA16

利用分野: JSS2大学共同利用

PDFはここからダウンロード

  • 責任者: 大西直文, 東北大学
  • 問い合せ先: 大西直文(ohnishi@rhd.mech.tohoku.ac.jp)
  • メンバ: 大西 直文, 佐藤 慎太郎

事業概要

大気圧放電を利用した革新的な流体制御デバイスとして, DBD (Dielectric Barrier Discharge) プラズマアクチュエータが注目されている. 本事業では, 高速気流中での剥離制御効果が期待されているナノ秒パルス駆動プラズマアクチュエータによる剥離流れ制御メカニズム解明を目的として, 放電現象と流体現象を統合的に扱う数値計算を実施する.

参照URL

大西研究室 / 高橋研究室」参照.

JAXAスーパーコンピュータを使用する理由と利点

放電過程の数値計算は荷電粒子の運動と同時に電場を解く必要があり, 計算負荷の大きい Poisson 方程式をタイムステップ毎に解かなければならない. さらに, 時間スケールがナノ秒オーダーの放電過程とミリ秒以上の流体現象を同時に取り扱うため, 本事業で実施する計算にはスーパーコンピュータの使用が必要不可欠である.

今年度の成果

本年度では, 低電圧駆動に適したナノ秒パルス駆動プラズマアクチュエータの放電過程に関する数値解析を実施した. 正のDC 電圧に負極性パルスを重畳した計算と負の DC 電圧に正極性パルスを重畳した計算を行い, 誘電体表面の電荷分布や生成される電気流体力への影響を調査した. その結果, 放電の様子, 面電荷分布および電気流体力は印加される電圧波形に大きく依存することを明らかにした (図 1). 今後は, 放電過程の数値計算によって得られた結果を用いて放電が流れに及ぼす影響について調査する予定である.

Annual Reoprt Figures for 2019

図1: パルス電圧印加後の正イオンの数密度分布. (a) 正のDC電圧に負極性パルスを重畳, (b) 負のDC電圧に正極性パルスを重畳.

 

成果の公表

-査読付き論文

1. S. Sato, H. Furukawa, A. Komuro, M. Takahashi, and N. Ohnishi, “Successively accelerated ionic wind with integrated dielectric-barrier-discharge plasma actuator for low-voltage operation”, Sicentific Reports 9, 5813 (2019).

2. S. Sato, H. Furukawa, M. Takahashi, and N. Ohnishi, “Computational study of discharge process in plasma actuator for enhanced electrohydrodynamic force generation toward low-voltage operation”, Transactions of the Japan Society for Aeronautical and Space Sicences, Aerospace Technology Japan, accepted.

-口頭発表

1. S. Sato, H. Furukawa, M. Takahashi, and N. Ohnishi, “Proposal of a plasma actuator for enhanced electrohydrodynamic force generation toward low-voltage operation”, 32nd International Symposium on Space Technology and Science & 9th Nano-Satellite Symposium, Fukui, June 15-21, 2019.

2. 佐藤慎太郎, 古川晴基, 小室淳史, 高橋聖幸, 大西直文, “低電圧化に向けた高集積プラズマアクチュエータの検討”, 日本機械学会2019年度年次大会, 秋田大学 手形キャンパス, 2019 年 9 月.

JSS2利用状況

計算情報

  • プロセス並列手法: MPI
  • スレッド並列手法: 非該当
  • プロセス並列数: 2 – 960
  • 1ケースあたりの経過時間: 72 時間

利用量

 

総資源に占める利用割合※1(%): 0.07

 

内訳

JSS2のシステム構成や主要な仕様は、JSS2のシステム構成をご覧下さい。

計算資源
計算システム名 コア時間(コア・h) 資源の利用割合※2(%)
SORA-MA 572,105.65 0.07
SORA-PP 0.00 0.00
SORA-LM 0.00 0.00
SORA-TPP 0.00 0.00

 

ファイルシステム資源
ファイルシステム名 ストレージ割当量(GiB) 資源の利用割合※2(%)
/home 195.50 0.16
/data 9,813.31 0.17
/ltmp 2,929.69 0.25

 

アーカイバ資源
アーカイバシステム名 利用量(TiB) 資源の利用割合※2(%)
J-SPACE 6.46 0.16

※1 総資源に占める利用割合:3つの資源(計算, ファイルシステム, アーカイバ)の利用割合の加重平均.

※2 資源の利用割合:対象資源一年間の総利用量に対する利用割合.

JAXAスーパーコンピュータシステム利用成果報告(2019年4月~2020年3月)