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金星大気の雲対流構造に関する数値的研究

JAXAスーパーコンピュータシステム利用成果報告(2019年4月~2020年3月)

報告書番号: R19JACA14

利用分野: JSS2大学共同利用

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  • 責任者: 杉山耕一朗, 松江工業高等専門学校
  • 問い合せ先: 杉山耕一朗(sugiyama@gfd-dennou.org)
  • メンバ: 安藤 紘基, 杉山 耕一朗

事業概要

惑星の対流構造を調べる為の汎用的な数値流体モデル (雲解像モデル) の開発と, その金星大気への適用を進めることで, 金星探査機あかつきの観測支援のために必要とされる数値モデル基盤の整備と数値シミュレーションデータの提供を目的とする. 雲解像モデルを用いた数値実験によって得られる対流運動と雲分布の特徴や対流起源の重力波の性質は, 金星探査機あかつきによって観測される様々な高度での雲の形態や重力波の性質を解釈する上での基礎となるものである. 数値実験の結果と金星探査機あかつきの観測結果を比較検討することで, 金星の対流現象のメカニズムに対する理解が進むことが期待される.

参照URL

なし

JAXAスーパーコンピュータを使用する理由と利点

雲解像モデルの開発および数値計算の実行にスーパーコンピューターを用いることにした. 対流や重力波を表現するには数十から数百メートルの解像度が必要である. 一方で, 境界の影響を排除し, 金星探査機あかつきのデータと比較検討するためには, 数百から数千キロメートルの水平領域が必要である. このような高分解能で広い計算領域を持つ数値シミュレーションは, スーパーコンピュータでのみ実行可能である.

今年度の成果

金星の雲層高度における対流運動と雲分布を調べることを目的として, 新たな金星雲形成スキームを開発し, それを用いた数値シミュレーションを実行した. 我々の雲形成スキームは Imamura and Hashimoto(1998)に基づいており, 気相および液相の硫酸(H2SO4)および水(H2O)の数密度が計算される. この スキームにおいては H2SO4 水溶液の液滴の生成・消滅・沈降および硫酸の化学反応も考慮される.

図 1 に, Imamura et al. (2014)と同様の設定を用いて実行した数値シミュレーション結果を示す. 対流運動に関連した H2SO4 と H2O の分布を得ることができた. 対流層 (z = 49~56 km) において H2SO4 水溶液の液滴が対流層にトラップされる特徴が得られた.

Annual Reoprt Figures for 2019

図1: 高度 40 km から 60 km における鉛直速度, 温位の水平平均からのずれ, H2SO4 と H2O の数密度の X-Z 断面図.

 

成果の公表

-ポスター

1) Sugiyama, K., Fukuhara, N., Odaka, M., Nakajima, K., Ishiwarari, M., Imamura, T., Hayashi, Y.-Y., 2019: Development of Venus’ cloud formation scheme for a convection resolving model, JPGU meeting 2019, 2019/05, PPS05-P08, Makuhari Messe (Japan).

2) Sugiyama, K., Fukuhara, N., Odaka, M., Nakajima, K., Ishiwarari, M., Imamura, T., Hayashi, Y.-Y., 2019: Development of Venus’ cloud formation scheme for a convection resolving model, International Venus Conference, P19, 2019/05, Niseko (Japan).

JSS2利用状況

計算情報

  • プロセス並列手法: MPI
  • スレッド並列手法: 非該当
  • プロセス並列数: 16 – 128
  • 1ケースあたりの経過時間: 8 時間

利用量

 

総資源に占める利用割合※1(%): 0.00

 

内訳

JSS2のシステム構成や主要な仕様は、JSS2のシステム構成をご覧下さい。

計算資源
計算システム名 コア時間(コア・h) 資源の利用割合※2(%)
SORA-MA 779.48 0.00
SORA-PP 0.00 0.00
SORA-LM 0.00 0.00
SORA-TPP 0.00 0.00

 

ファイルシステム資源
ファイルシステム名 ストレージ割当量(GiB) 資源の利用割合※2(%)
/home 356.71 0.30
/data 3,287.00 0.06
/ltmp 1,302.08 0.11

 

アーカイバ資源
アーカイバシステム名 利用量(TiB) 資源の利用割合※2(%)
J-SPACE 0.00 0.00

※1 総資源に占める利用割合:3つの資源(計算, ファイルシステム, アーカイバ)の利用割合の加重平均.

※2 資源の利用割合:対象資源一年間の総利用量に対する利用割合.

JAXAスーパーコンピュータシステム利用成果報告(2019年4月~2020年3月)