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エコウィング技術の研究開発(将来システム設計基盤技術)

JAXAスーパーコンピュータシステム利用成果報告(2019年4月~2020年3月)

報告書番号: R19JA0602

利用分野: 航空技術

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  • 責任者: 牧野好和, 航空技術部門航空システム研究ユニット
  • 問い合せ先: 郭 東潤, 航空システム研究ユニット(kwak.dongyoun@jaxa.jp)
  • メンバ: 坂井 玲太郎, 古谷 龍太郎, 村山 光宏, 伊藤 靖, 高石 武久, 平井 亨, 田中 健太郎, 雨宮 和久, 中野 彦, 池田 友明, 黒田 文武, 大平 啓介, 郭 東潤, 賀澤 順一

事業概要

航空機の燃料消費量削減及び空港騒音低減を目的とし, 抵抗低減技術や空力構造等の統合設計技術の研究開発を行っている. 100-150席クラスの旅客機を対象とし, 誘導抵抗低減技術および摩擦抵抗低減技術を適用し低抵抗機体設計を行い, 基準機(TRA2012A)と比較し巡航揚抗比7%向上を実現する機体形状(TRA2022)を創出することを目標とする. 同時に, 将来の低抵抗・低騒音航空機(TRA203X)技術として, unconventional機体概念設計技術及び機体推進干渉効果・空港騒音推算技術を開発し, エンジンや騒音技術を合わせ2030年度前半に燃費50%減, 騒音1/10を目指す低騒音・低燃費機体の設計基盤技術を得ることを目的とする.

参照URL

エコウィング技術 | 航空環境技術の研究開発プログラム(ECAT) | JAXA航空技術部門」参照.

JAXAスーパーコンピュータを使用する理由と利点

機体の空力, 構造解析とのトレードスタディが可能なレベルで, 機体騒音, エンジン-機体干渉/騒音遮蔽効果を評価する解析技術を作るためにスパコンを利用している. エンジン-機体騒音, 干渉/遮蔽効果予測に関して簡易的な解析では誤差が大きく, 将来型低騒音機体概念設計において, 近年fidelityが上がってきている空力解析や構造解析とのトレードスタディには限界があり, 高度な騒音源解析や騒音伝播解析技術の開発や機体全体規模での解析にはスパコンが必須である.

今年度の成果

エンジン-機体騒音遮蔽効果を評価する解析技術開発において, 階層型直交格子上で線形オイラー方程式を解く手法を用いることにより, 複雑形状対応と高精度化, 流れ場詳細を模擬可能な高忠実度解析という点で優位性をもつツール開発を進めている. 今年度実施したファン騒音シミュレータ(FNS)を用いたエンジンファン騒音機体遮蔽効果確認試験の対応解析(Fig.1)を行い, 精度検証と計算コード改良ができた.

また, 燃費性能大幅改善の鍵となる層流翼化との両立が可能な翼前縁の高揚力装置クルーガーフラップに関して空力性能と騒音の観点からを評価した. クルーガーフラップは, 翼前縁下面から翼前方へと展開されることでスラットと異なり翼上面をクリーンに保てることから, 将来の層流翼による低抵抗航空機の技術シーズとしての期待がある. 非定常乱流シミュレーションにより従来のスラットと同程度の空力性能を保ちつつ, 騒音レベルを効果的に低減できるコンセプトを確認した(Fig.2).

Annual Reoprt Figures for 2019

図1: ファン騒音シミュレータを用いたファン騒音遮蔽効果確認試験の対応解析例

 

Annual Reoprt Figures for 2019

図2: 従来型スラットとクルーガーフラップの空力・騒音性能評価比較

 

成果の公表

-口頭発表

1) 坂井玲太郎, 村山光宏, Christian Nauck, Matthias Meinke, “2次元クルーガーフラップの空力形状最適化と空力騒音評価,” 第57回飛行機シンポジウム, 3F02 (JSASS-2019-5192), 山口県下関市, 2019年10月.

JSS2利用状況

計算情報

  • プロセス並列手法: MPI
  • スレッド並列手法: OpenMP
  • プロセス並列数: 128 – 1600
  • 1ケースあたりの経過時間: 48 時間

利用量

 

総資源に占める利用割合※1(%): 0.87

 

内訳

JSS2のシステム構成や主要な仕様は、JSS2のシステム構成をご覧下さい。

計算資源
計算システム名 コア時間(コア・h) 資源の利用割合※2(%)
SORA-MA 7,624,342.03 0.93
SORA-PP 6,534.87 0.04
SORA-LM 1,050.36 0.44
SORA-TPP 0.00 0.00

 

ファイルシステム資源
ファイルシステム名 ストレージ割当量(GiB) 資源の利用割合※2(%)
/home 242.35 0.20
/data 14,656.28 0.25
/ltmp 4,075.74 0.35

 

アーカイバ資源
アーカイバシステム名 利用量(TiB) 資源の利用割合※2(%)
J-SPACE 177.19 4.46

※1 総資源に占める利用割合:3つの資源(計算, ファイルシステム, アーカイバ)の利用割合の加重平均.

※2 資源の利用割合:対象資源一年間の総利用量に対する利用割合.

JAXAスーパーコンピュータシステム利用成果報告(2019年4月~2020年3月)