先端的宇宙機推進機のプラズマ流れの数値解析
JAXAスーパーコンピュータシステム利用成果報告(2018年4月~2019年3月)
報告書番号: R18JU0904
利用分野: 宇宙科学
- 責任者: 佐藤英一, 宇宙科学研究所宇宙飛翔工学研究系
- 問い合せ先: 船木一幸(funaki.ikkoh@jaxa.jp)
- メンバ: 田内 思担, 荒井 啓之, 原 亮太
事業概要
既存宇宙機推進技術の適用範囲は限られており, 太陽系内の自由な航行にはほど遠いのが現状である. 宇宙機推進のブレークスルーにより, 次世代深宇宙探査技術を飛躍的に高めることを目的とする.
参照URL
なし
JSS2利用の理由
多大な計算リソースを必要とするプラズマ流解析コードにて, 数値設計最適化を実施するために不可欠である.
今年度の成果
水素を推進剤とした自己誘起磁場型 MPD スラスタの数値シミュレーションを実施し, 臨界電流付近における推進性能と流れ場の相関を明らかにした. 放電電流10 kA, 水素流量0.4 g/sの臨界電流における計算では, 放電電流経路がスラスタ外に伸び, カソード先端部の圧力が高まる結果が得られ, これら流れ場の形成には, ホール効果ならびにイオンスリップ効果が深く関係していることがわかった. 同じ条件において数値計算結果と実験結果を比較したところ, 定性的定量的に一致することが確認できた(図1).
上記に加え, 磁気プラズマセイルに関する電磁流体解析を実施し, 磁気レイノルズ数分布が流れ場や推進特性に及ぼす影響を調査した. 本年度は, 噴射領域を中心とする中性粒子拡散分布を仮定し, 磁気レイノルズ数を局所的に評価したより現実に近い条件での数値解析を実施した. 今回得られた解析結果を, 理想条件(磁気レイノルズ数の影響を考慮しない条件)で得られた結果と比較すると, 推力ゲインが最大となるプラズマの噴射条件が異なるという結果が得られ, 磁気レイノルズ数分布が最適なプラズマ噴射条件に影響を与えることがわかった.
成果の公表
-査読付き論文
TAUCHI, S., KAWASAKI, A., NAKANE, M., KUBOTA, K., and FUNAKI, I., “The Effect of Anode Configuration on Hydrogen MPD Thruster Performance: A Numerical Study,” TRANSACTIONS OF THE JAPAN SOCIETY FOR AERONAUTICAL AND SPACE SCIENCES, AEROSPACE TECHNOLOGY JAPAN, vol. 16, 2018, pp. 274-279.
-査読なし論文
荒井啓之,山極芳樹,大塩裕哉,西田浩之,船木一幸,電磁流体解析による磁気レイノルズ数の局所的な変化が磁気プラズマセイルの推進特性に与える影響評価,第62回宇宙科学技術連合講演会,1E23,2018年10月,久留米.
-口頭発表
荒井啓之,山極芳樹,大塩裕哉,西田浩之,船木一幸,磁気レイノルズ数分布を考慮した磁気プラズマセイル推進特性の噴射プラズマ依存性,平成30年度宇宙輸送シンポジウム,STEP-2018-068,相模原,2019年1月.
JSS2利用状況
計算情報
- プロセス並列手法: 非該当
- スレッド並列手法: 自動並列
- プロセス並列数: 1
- 1ケースあたりの経過時間: 10 時間
利用量
総資源に占める利用割合※1(%): 0.02
内訳
JSS2のシステム構成や主要な仕様は、JSS2のシステム構成をご覧下さい。
計算システム名 | コア時間(コア・h) | 資源の利用割合※2(%) |
---|---|---|
SORA-MA | 90,261.84 | 0.01 |
SORA-PP | 1,812.07 | 0.01 |
SORA-LM | 0.00 | 0.00 |
SORA-TPP | 0.00 | 0.00 |
ファイルシステム名 | ストレージ割当量(GiB) | 資源の利用割合※2(%) |
---|---|---|
/home | 47.68 | 0.05 |
/data | 476.84 | 0.01 |
/ltmp | 9,765.63 | 0.84 |
アーカイバシステム名 | 利用量(TiB) | 資源の利用割合※2(%) |
---|---|---|
J-SPACE | 0.00 | 0.00 |
※1 総資源に占める利用割合:3つの資源(計算, ファイルシステム, アーカイバ)の利用割合の加重平均.
※2 資源の利用割合:対象資源一年間の総利用量に対する利用割合.
JAXAスーパーコンピュータシステム利用成果報告(2018年4月~2019年3月)