航空機空力騒音予測技術に関する研究
JAXAスーパーコンピュータシステム利用成果報告(2018年4月~2019年3月)
報告書番号: R18JTET27
利用分野: 技術習得方式
- 責任者: 牧野好和, 航空技術部門航空システム研究ユニット
- 問い合せ先: 坂井玲太郎(sakai.ryotaro@jaxa.jp)
- メンバ: Christian Nauck
事業概要
航空機の燃料消費量削減及び空港騒音低減を目的とし, 抵抗低減技術や空力構造等の統合設計技術の研究開発を行っている. 100-150席クラスの旅客機を対象とし, 誘導抵抗低減技術および摩擦抵抗低減技術を適用し低抵抗機体設計を行い, 基準機 (TRA2012A) と比較し巡航揚抗比7%向上を実現する機体形状 (TRA2022) を創出することを目標とする. 同時に, 将来の低抵抗・低騒音航空機 (TRA203X) 技術として, unconventional機体概念設計技術及び機体推進干渉効果・空港騒音推算技術を開発し, エンジンや騒音技術を合わせ2030年度前半に燃費50%減, 騒音1/10を目指す低騒音・低燃費機体の設計基盤技術を得ることを目的とする. 本研究では, 従来のスラットに代わる翼前縁の高揚力装置として, クルーガーフラップの配置と形状を変更しながら空力音響解析を実施し, 空力性能を保ちながら低騒音化を実現する可能性を検討した.
参照URL
「エコウィング技術 | 航空環境技術の研究開発プログラム(ECAT) | JAXA航空技術部門」参照.
JSS2利用の理由
空力騒音評価のための非定常乱流シミュレーションは計算コストが高く, 限られた期間で複数ケースの空力騒音評価を行うために演算性能の高いJSS2を使う必要があった.
今年度の成果
クルーガーフラップは主翼前縁側の高揚力装置のひとつであり, 翼前縁下面から翼前方へと展開されることで従来のスラットと同様の働きをする. スラットと異なり翼上面をクリーンに保てることから, 将来の層流翼による低抵抗航空機の技術シーズとしての期待がある一方, その騒音特性についての研究事例は少ない. そこで, 先行研究で定義されたクルーガーフラップの形状と配置に対して, パラメータを変更しながら定常乱流・非定常乱流シミュレーションを実施し, 空力性能と騒音の観点からクルーガーフラップを評価した. その結果, 従来のスラットと同程度の空力性能を保ちつつ, 騒音レベルを効果的に低減できる可能性が示された.
成果の公表
なし
JSS2利用状況
計算情報
- プロセス並列手法: MPI
- スレッド並列手法: 非該当
- プロセス並列数: 1728
- 1ケースあたりの経過時間: 100 時間
利用量
総資源に占める利用割合※1(%): 0.04
内訳
JSS2のシステム構成や主要な仕様は、JSS2のシステム構成をご覧下さい。
計算システム名 | コア時間(コア・h) | 資源の利用割合※2(%) |
---|---|---|
SORA-MA | 377,907.96 | 0.05 |
SORA-PP | 1,047.31 | 0.01 |
SORA-LM | 18.42 | 0.01 |
SORA-TPP | 0.00 | 0.00 |
ファイルシステム名 | ストレージ割当量(GiB) | 資源の利用割合※2(%) |
---|---|---|
/home | 158.95 | 0.16 |
/data | 3,255.21 | 0.06 |
/ltmp | 651.04 | 0.06 |
アーカイバシステム名 | 利用量(TiB) | 資源の利用割合※2(%) |
---|---|---|
J-SPACE | 0.84 | 0.03 |
※1 総資源に占める利用割合:3つの資源(計算, ファイルシステム, アーカイバ)の利用割合の加重平均.
※2 資源の利用割合:対象資源一年間の総利用量に対する利用割合.
JAXAスーパーコンピュータシステム利用成果報告(2018年4月~2019年3月)