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風車周りのCFD解析

JAXAスーパーコンピュータシステム利用成果報告(2018年4月~2019年3月)

報告書番号: R18JTET09

利用分野: 技術習得方式

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  • 責任者: 青山剛史, 航空技術部門数値解析技術研究ユニット
  • 問い合せ先: 東京大学大学院 木村桂大(k.kimura@ilab.eco.rcast.u-tokyo.ac.jp)
  • メンバ: 木村 桂大, 田辺 安忠

事業概要

風車を集約配置する大規模な風力発電所においては, 風車後方に形成される後流が後続の風車に干渉することで出力低下及び疲労の増大をもたらす. 本研究では風車翼及びその後流域を対象とした大規模な数値解析を実施し, 風条件および運転条件に対する風車後流の速度回復効果を確認する. これを明らかにすることで,後続風車への出力・疲労への影響を適切に見積もることが可能となる. 本年度は,周速比変化や動的なヨー角変化による速度回復効果についてCFDによる解析を行った. また,実際の風力発電所を模擬した複数台風車の大規模解析を実施し,後流干渉時の影響について確認した.

参照URL

なし

JSS2利用の理由

風車後流域の詳細を確認する為には, 風車直径の10倍程度のスケールで計算空間を確保する必要がある. 一方で風車の回転による変動の影響を考慮するには風車翼端の翼弦長基準の格子サイズが要求される. 結果的に広範囲に渡って詳細格子を配置する大規模計算となり, スーパーコンピュータの利用が望ましい.

今年度の成果

風車の制御パラメータとして,流入風速に対する回転速度である周速比と,風向に対するロータ面の角度であるヨー角に着目し,これらの変化が後流域に与える速度回復効果について,CFDによる検証を行った. 計算の実行には回転翼機用CFDソルバーであるrFlow3Dを用いた. 図1では周速比を変化させたときの翼端渦の推移を示した. 周速比を増大せせた場合には渦列間の距離が狭まりペアリング現象が生じやすく,結果として外部流からの運動量の流入を促進させていることが明らかとなった.

図2には運転中にヨー角を周期的に変動させるアクティブヨー条件における流れ場の様子について渦度等値面で表示した. 強制的に後流域を蛇行させることで外部流との攪拌効果が増大し,後流域で大きな速度回復効果が得られた. これは図3の平均風速の速度回復の推移から確認することができる.

図4には実際の風力発電所を模擬した複数台風車の解析事例について示した. 複数ロータの解析では計算時間の大きさが課題であったが,風車翼の計算部分を並列化することで対応し,20台の風車の同時解析を実施した. 同時解析を行うことで,様々な干渉状態が混在するケースについても発電量や後流速度分布の把握が可能となった.

Annual Reoprt Figures for 2018

図1: 近傍後流における翼端渦カップリングの様子

 

Annual Reoprt Figures for 2018

図2: 渦度等値面によるアクティブヨー制御時の風車後流構造の可視化

 

Annual Reoprt Figures for 2018

図3: 風車後流域の平均風速の推移

 

Annual Reoprt Figures for 2018

図4: 多数風車の流れ場の可視化

 

成果の公表

-査読付き論文

1) Keita Kimura, Yasutada Tanabe, Yuichi Matsuo, and Makoto Iida. "Forced wake meandering for rapid recovery of velocity deficits in a wind turbine wake", AIAA Scitech 2019 Forum, AIAA SciTech Forum, (AIAA 2019-2083)

-口頭発表

1) K. Kimura, Y. Tanabe, T. Aoyama, Y. Matsuo and M. Iida, "A NUMERICAL STUDY OF THE RELATION BETWEEN WAKE STRUCTURE AND WIND FLUCTUATION," GRE 2018, Yokohama, Japan, June, 2018.

2) K. Kimura, Y. Tanabe, T. Aoyama, Y. Matsuo and M. Iida, "The relationship between vortex pairings and velocity deficit recovery in a wind turbine wake," iTi conference 2018, Bertinoro, Italy, September, 2018.

3) 木村桂大, 田辺安忠, 松尾裕一, 飯田誠, "洋上風力発電所における後流相互干渉と風速分布の数値的検討, " 第40回風力エネルギー利用シンポジウム, 東京, 2018.

4) K. Kimura, Y. Tanabe, Y. Matsuo and M. Iida, "Forced wake meandering for rapid recovery of velocity deficits in a wind turbine wake," 2019 Wind Energy Symposium, AIAA Scitech Forum, California, USA, January, 2019

JSS2利用状況

計算情報

  • プロセス並列手法: MPI
  • スレッド並列手法: OpenMP
  • プロセス並列数: 2 - 8
  • 1ケースあたりの経過時間: 300 時間

利用量

 

総資源に占める利用割合※1(%): 0.68

 

内訳

JSS2のシステム構成や主要な仕様は、JSS2のシステム構成をご覧下さい。

計算資源
計算システム名 コア時間(コア・h) 資源の利用割合※2(%)
SORA-MA 9,046.58 0.00
SORA-PP 1,142,860.12 9.13
SORA-LM 0.00 0.00
SORA-TPP 0.00 0.00

 

ファイルシステム資源
ファイルシステム名 ストレージ割当量(GiB) 資源の利用割合※2(%)
/home 96.43 0.10
/data 10,850.70 0.19
/ltmp 2,170.14 0.19

 

アーカイバ資源
アーカイバシステム名 利用量(TiB) 資源の利用割合※2(%)
J-SPACE 0.00 0.00

※1 総資源に占める利用割合:3つの資源(計算, ファイルシステム, アーカイバ)の利用割合の加重平均.

※2 資源の利用割合:対象資源一年間の総利用量に対する利用割合.

JAXAスーパーコンピュータシステム利用成果報告(2018年4月~2019年3月)


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所在地

JAXA(宇宙航空研究開発機構) 調布航空宇宙センター
所在地 〒182-8522 東京都
調布市深大寺東町7-44-1