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放射線防護技術に関する研究

JAXAスーパーコンピュータシステム利用成果報告(2018年4月~2019年3月)

報告書番号: R18JG3210

利用分野: 研究開発

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  • 責任者: 山中浩二, 研究開発部門第一研究ユニット
  • 問い合せ先: 後藤亜希, 研究開発部門第一研究ユニット(goto.aki@jaxa.jp)
  • メンバ: 後藤 亜希, 島﨑 一紀

事業概要

将来有人探査ミッションの安全な実現に向けて, 宇宙放射線防護技術が要求されている. 本研究は, 被ばく線量を精度よく評価する技術, 及び遮蔽設計を最適化する手法の確立を目的とする.

参照URL

なし

JSS2利用の理由

PHITS (粒子・重イオン輸送計算汎用モンテカルロコード) シミュレーションによる材料の遮蔽効果予測のために, JSS2 を利用している. 有人宇宙船を模擬した体系など, 大きく複雑な体系での放射線輸送モンテカルロシミュレーションには, 膨大な時間を要する. JSS2 の利用により, そのような体系でのシミュレーションを高速かつ統計精度よく実施することが可能となる.

今年度の成果

放射線輸送コードを用いた数値シミュレーションを基盤とした, 将来有人探査ミッションのための被ばく線量評価技術を確立させるためには, 既存の宇宙放射線環境モデルの妥当性と, 計算体系の適切な設定に関する評価が必要である.

今回, 国際宇宙ステーション (ISS) 及び「きぼう」日本実験棟 (JEM) の 3D-CAD モデルを作成し, PHITS コードを用いて JEM 内部の線量を計算した. また, 線量計算値と Area PADLES 線量計にて得られた線量実測値を比較し, 使用した環境モデルの妥当性と宇宙機体系の適切な設定について検討した.

ISS 3D-CAD モデルは, JEM, JEM 近傍の複数のモジュール (例 Columbus, Node 1-3 など), 及びトラス構造等を含み (Fig. 1a), JEM 3D-CAD モデルは, 与圧部 (PM), 補給部 (ELM-PS), 曝露部 (EF), 及び Node 2 を含む (Fig. 1b). PM 及び ELM-PS の内部について, 17 個の仮想的な PADLES 線量計を, 実際の線量計と同様の位置に導入した. 以上のような CAD モデルのファイルを, PHITS インプットファイル形式に変換するために, SuperMC (Super Monte Carlo simulation program for nuclear and radiation process) ソフトウェアを使用した. また, ISS 及び JEM モデルの各々のパーツは, Al または Al 合金からなるものとした.

捕捉陽子線 (TP) 及び銀河宇宙線 (GCR) モデルとして, AP8 及び Matthia モデルを使用した (Fig. 2). TP の東西効果 (ISS 進行方向 (+X) 側から入射する TP 数が, その反対側 (-X) から入射するものより大きいという偏り) は, 0.5 (東西効果を考慮) または 0 (東西効果の考慮なし) とした. 仮想線量計における吸収線量 (D) 及び線量当量 (DE) を, PHITS コードを使用し, JAXA スーパーコンピュータシステム JSS2 を用いた並列化計算にて算出した.

線量計算 (C) 及び実測 (E) 結果と, それらの比 (C/E) を, Fig. 3 及び Fig. 4 に示す. Fig. 4 に示す通り, D 及び DE の計算値と実測値は, 各々おおよそ ~20% 及び ~30% 以内で一致した. この結果は, AP8, Matthia モデル, PHITS コード, 及び今回作成した ISS または JEM モデルの組合せでは, 被ばく線量評価の観点で十分な精度を有することを示唆する. また, ISS モデルを使用して算出した線量計算値と実測値の比 (C/E) の平均値は, JEM モデルを使用して算出した平均値と大差なかった. これにより, 計算の時間効率を考慮すると, ある程度妥当な被ばく線量評価の上で詳細な体系は必ずしも必要ではなく, 被ばく線量評価点の周囲の遮蔽環境を再現することが重要と言える. 我々は, 今回得られた結果を用いて, 実ミッションにて適用可能な被ばく線量評価技術の構築を行う計画である.

Annual Reoprt Figures for 2018

図1: (a) ISS 及び (b) JEM 3D-CAD モデル

 

Annual Reoprt Figures for 2018

図2: Matthia 及び AP モデルを用いて算出した粒子のエネルギー分布 (Area PADLES #14 期間 (2015.3.28 - 2015.9.12); p (陽子), He, C, Ne, Ar, Fe, Ni スペクトルのみ示す)

 

Annual Reoprt Figures for 2018

図3: Area PADLES #14 (2015.3.28 - 2015.9.12) における (a) D 及び (b) DE の計算及び実測結果

 

Annual Reoprt Figures for 2018

図4: Area PADLES #14 (2015.3.28 - 2015.9.12) における (a) D 及び (b) DE の計算値と実測値の比 (C/E)

 

成果の公表

-口頭発表

1) Aki Goto, Kazunori Shimazaki, Tatsuhiko Sato, Exposure Dose Calculation inside JEM Using PHITS and 3D ISS Geometry, 42nd COSPAR Scientific Assembly, 2018.

2) Aki Goto, Kazunori Shimazaki, Tatsuhiko Sato, Dose Calculation inside Kibo Using PHITS and ISS 3D-CAD Geometry, WRMISS-23, 2018.

3) 後藤亜希, 島﨑一紀, ISS 3D-CADモデル及びPHITSを使用したきぼう船内の被ばく線量評価, PHITS研究会, 2018.

4) 後藤亜希, 島﨑一紀, 佐藤達彦, ISS 3D-CADモデル及びPHITSを使用したきぼう船内の被ばく線量評価, 第14回宇宙環境シンポジウム, 2018.

JSS2利用状況

計算情報

  • プロセス並列手法: MPI
  • スレッド並列手法: OpenMP
  • プロセス並列数: 12 - 120
  • 1ケースあたりの経過時間: 60000 秒

利用量

 

総資源に占める利用割合※1(%): 0.54

 

内訳

JSS2のシステム構成や主要な仕様は、JSS2のシステム構成をご覧下さい。

計算資源
計算システム名 コア時間(コア・h) 資源の利用割合※2(%)
SORA-MA 0.00 0.00
SORA-PP 910,385.36 7.28
SORA-LM 0.00 0.00
SORA-TPP 0.00 0.00

 

ファイルシステム資源
ファイルシステム名 ストレージ割当量(GiB) 資源の利用割合※2(%)
/home 14.31 0.01
/data 4,978.18 0.09
/ltmp 2,929.69 0.25

 

アーカイバ資源
アーカイバシステム名 利用量(TiB) 資源の利用割合※2(%)
J-SPACE 0.00 0.00

※1 総資源に占める利用割合:3つの資源(計算, ファイルシステム, アーカイバ)の利用割合の加重平均.

※2 資源の利用割合:対象資源一年間の総利用量に対する利用割合.

JAXAスーパーコンピュータシステム利用成果報告(2018年4月~2019年3月)


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JAXA(宇宙航空研究開発機構) 調布航空宇宙センター
所在地 〒182-8522 東京都
調布市深大寺東町7-44-1