極超音速飛行に向けた流体・燃焼の基盤研究(乱れ強さの混合への影響評価)
JAXAスーパーコンピュータシステム利用成果報告(2018年4月～2019年3月)
報告書番号: R18JG3207
利用分野: 研究開発
- 責任者: 沖田耕一, 研究開発部門第四研究ユニット
- 問い合せ先: 永田 靖典(岡山大学)(ynagata@okayama-u.ac.jp)
- メンバ: 高橋 政浩, 永田 靖典
事業概要
極超音速風洞設備でのエンジン燃焼試験では, ノズル上流部において燃焼加熱させることで高温・高圧・高流速の気流を生成しているが, このときに発生する気流の乱れや燃焼ガスなどの混入が試験結果に影響を与えることで, 地上試験と実飛行時とで状況が異なってくる可能性が懸念されている. 本研究では, 気流中に噴射された燃料が気流と混合していく過程に着目し, この噴流混合に対する気流乱れの影響を評価することを目標としている. そのために, LES計算に気流乱れをモデル化する手法を導入して, 風洞実験結果との比較を通して検証し, CFD解析手法を構築する.
参照URL
なし
JSS2利用の理由
噴流混合の現象は非定常であり, 数値計算と風洞実験とを比較するには統計量同士の比較が必要になるが, 数値計算においてそのような値を得るためには十分広い時間範囲のデータを取得する必要があり, 膨大な計算時間がかかる. また, 噴流混合の現象で重要なせん断層をLES計算では適切に取り扱うことができるが, そのためには細かい計算格子が必要であり, 時間1ステップあたりの計算時間も長くなる. さらに, 気流の条件を変更したケースも実施する必要があるため, 全体として計算負荷は大きいものとなる. よって, 高い計算能力を持つJSS2を利用することとした.
今年度の成果
気流乱れを導入したケースを行う前段階として, 気流乱れの無い条件下でのLES計算を実施し, 岡山大学の超音速風洞で行われた噴流混合実験の計測データとの比較を行った. 平面レーザ誘起蛍光法(PLIF)により実験で得られた平均噴流モル分率の分布と比較し, 噴流の広がりや混合具合についてLES計算でよく模擬できていることを確認した(図1,2). また, 気流の乱れを考慮する手法としてRandom Flow Generation (RFG)の導入を試みた.
なお, これまでに使用してきたLES計算コードはOpenMPによるスレッド並列にのみ対応していたが, MPIによるプロセス並列にも対応させ, JSS2を効率よく利用できるようにコードの改良を行った.
図1: 超音速噴流混合場の平均噴流モル分率分布(主流・噴流ともに窒素ガス, 噴流孔径0.8mm)
図2: 超音速噴流混合場の平均マッハ数分布(主流・噴流ともに窒素ガス, 噴流孔径0.8mm)
成果の公表
なし
JSS2利用状況
計算情報
- プロセス並列手法: MPI
- スレッド並列手法: OpenMP
- プロセス並列数: 1 - 64
- 1ケースあたりの経過時間: 100 時間
利用量
総資源に占める利用割合※1(%): 0.01
内訳
JSS2のシステム構成や主要な仕様は、JSS2のシステム構成をご覧下さい。
| 計算システム名 | コア時間(コア・h) | 資源の利用割合※2(%) |
|---|---|---|
| SORA-MA | 86,464.31 | 0.01 |
| SORA-PP | 0.00 | 0.00 |
| SORA-LM | 0.00 | 0.00 |
| SORA-TPP | 0.00 | 0.00 |
| ファイルシステム名 | ストレージ割当量(GiB) | 資源の利用割合※2(%) |
|---|---|---|
| /home | 10.73 | 0.01 |
| /data | 1,316.07 | 0.02 |
| /ltmp | 2,197.27 | 0.19 |
| アーカイバシステム名 | 利用量(TiB) | 資源の利用割合※2(%) |
|---|---|---|
| J-SPACE | 0.18 | 0.01 |
※1 総資源に占める利用割合：3つの資源(計算, ファイルシステム, アーカイバ)の利用割合の加重平均.
※2 資源の利用割合：対象資源一年間の総利用量に対する利用割合.
JAXAスーパーコンピュータシステム利用成果報告(2018年4月～2019年3月)