重力的に不安定な原始惑星系円盤における惑星軌道の変化
JAXAスーパーコンピュータシステム利用成果報告(2018年4月~2019年3月)
報告書番号: R18JCWU00
利用分野: 連携大学院
- 責任者: Elizabeth Tasker, 宇宙科学研究所太陽系科学研究系
- 問い合せ先: Elizabeth Tasker(elizabeth.tasker@jaxa.jp)
- メンバ: Elizabeth Tasker, Ngan Kim Nguyen
事業概要
惑星形成の理論の中で長い間未解決である問題は, 若い恒星の周りのガス円盤の中で出来たての惑星の軌道がどう変化するかということである. このプロジェクトは, 円盤内にできるスパイラルウェーブなどの構造がこの惑星移動にどのような影響を及ぼすかを調べるものである. 恒星の周りの円盤ガス中の惑星の動きをモデリングすることにより, 惑星の軌道が円盤ガスの中の構造に依存すること, そして異なる円盤が異なる惑星の周期を生じることを示したい.
参照URL
なし
JSS2利用の理由
このプロジェクトには, 数百個のコアを用いた3次元流体力学計算が必要であり, 通常のデスクトップコンピュータでは到底できないことである. 使用しているコード(ChaNGa)はMPIで並列化されたスーパーコンピュータ用に設計されている. 円盤の構造(冷却効率や質量などに依存する)が惑星の移動に与える影響を調べるためには, 様々な異なるシミュレーションをすることが必要となる.
今年度の成果
2018年12月より, 我々は, 様々な円盤ガスの質量, 様々な惑星質量でシミュレーションを行うための開発を行ってきた. 軽い円盤では, 惑星はガス抵抗によりスムーズに内側へ移動するが, このことは, 我々のもっとも解像度の高いシミュレーション(下図)でも明らかである. リンドブラッド共鳴と呼ばれる惑星からのびる波が見えるが, これは惑星へトルクを及ぼす. これらのプレリミナリーな結果は, ガス抵抗が惑星に正しく作用していることを示している. 今後は, あまり軽くない安定な円盤の場合に拡張し, 惑星の運動を比較する.
成果の公表
なし
JSS2利用状況
計算情報
- プロセス並列手法: MPI
- スレッド並列手法: OpenMP
- プロセス並列数: 144 – 264
- 1ケースあたりの経過時間: 50 時間
利用量
総資源に占める利用割合※1(%): 0.09
内訳
JSS2のシステム構成や主要な仕様は、JSS2のシステム構成をご覧下さい。
計算システム名 | コア時間(コア・h) | 資源の利用割合※2(%) |
---|---|---|
SORA-MA | 0.00 | 0.00 |
SORA-PP | 147,561.43 | 1.18 |
SORA-LM | 0.00 | 0.00 |
SORA-TPP | 0.00 | 0.00 |
ファイルシステム名 | ストレージ割当量(GiB) | 資源の利用割合※2(%) |
---|---|---|
/home | 7.95 | 0.01 |
/data | 79.47 | 0.00 |
/ltmp | 1,627.60 | 0.14 |
アーカイバシステム名 | 利用量(TiB) | 資源の利用割合※2(%) |
---|---|---|
J-SPACE | 0.00 | 0.00 |
※1 総資源に占める利用割合:3つの資源(計算, ファイルシステム, アーカイバ)の利用割合の加重平均.
※2 資源の利用割合:対象資源一年間の総利用量に対する利用割合.
JAXAスーパーコンピュータシステム利用成果報告(2018年4月~2019年3月)