ImPACTドローン受託研究
JAXAスーパーコンピュータシステム利用成果報告(2018年4月~2019年3月)
報告書番号: R18JCMP17
利用分野: 競争的資金
- 責任者: 牧野好和, 航空技術部門航空システム研究ユニット
- 問い合せ先: 田辺 安忠, 航空本部, 航空システム研究ユニット(tan@chofu.jaxa.jp)
- メンバ: 田辺 安忠, 菅原 瑛明, 田中 陸久, 竹川 国之
事業概要
マルチロータ型無人機を代表として, 飛行ロボットは災害現場でも利用され始めている. しかしながら, 現場で広く実用されるためには,耐風性や飛行制御の頑強性のさらなる向上が求められている. 特に施設の点検などに利用される場合,壁付近での飛行も要求される.壁によって流れ場が大きく変わるため, オープンスペースでの飛行と大きく異なっている. また, 壁と機体との位置関係によって飛行特性が変化するため,壁と機体の位置関係が機体の飛行特性に与える影響を明らかにし飛行制御方法に取り込むことは,飛行安全性の向上に有効である.
本研究はImPACT研究のタフロボティクスチャレンジの一環として実施されており, トンネルを想定した閉鎖空間内でのマルチロータ機の空力特性について調査した.
参照URL
「革新的研究開発推進プログラム ImPACT: 研究開発プログラム: 田所 諭PM」参照.
JSS2利用の理由
JAXAが開発した回転翼航空機向けのCFD解析コードrFlow3Dを利用しており,多数のロータの回転を忠実に模擬しているため,飛行条件ごとの各ケースは多くの計算時間と計算資源を要する.複数ケースを同時に高性能で処理できるJSS2の利用が本研究を受託する前提である.
今年度の成果
閉鎖空間内での, ホバリング中の6ロータのマルチ・ロータの空気力とロータ性能の変化をCFD解析によって調査した. 閉鎖空間は正方形空間とし, 壁からブレード翼端までの距離がロータ直径の2.0倍以内に近づくとロータの空力性能が顕著に変化した. 閉鎖空間ではロータからの吹き降ろしが循環し, ロータの発生できる推力が大幅に減少することがわかった.
成果の公表
-査読付き論文
1) Yasutada Tanabe, Masahiko Sugiura, Takashi Aoyama, Hideaki Sugawara, Shigeru Sunada, Koichi Yonezawa, and Hiroshi Tokutake, Multiple Rotors Hovering Near an Upper or a Side Wall, Journal of Robotics and Mechatronics, Vol. 30, No. 3, 2018, pp.344-353.
-査読なし論文
1) 田辺 安忠, 菅原暎明, 砂田茂, 米澤宏一, 得竹浩, トンネル内におけるマルチコプタの飛行性能について, 日本航空宇宙学会 第49期年会講演会, 2018年4月19-20日.
2) 米澤宏一, 松本紘典, 田辺安忠, 砂田 茂, 得竹 浩, 杉山 和靖, マルチコプターの構造物近傍での空力特性, 第50回流体力学講演会/第36回航空宇宙数値シミュレーション技術シンポジウム, 2018年7月4~6日.
3) Yasutada Tanabe, Hideaki Sugawara, Shigeru Sunada, Koichi Yonezawa and Hiroshi Tokutake, Aerodynamics of Single and Multiple Rotors Hovering Inside a Square Tunnel, 44th European Rotorcraft Forum, Delft University of Technology (TU Delft), The Netherlands, Sept. 18-20, 2018. Paper #0040.
4) Yasutada Tanabe, Hideaki Sugawara, Shigeru Sunada, Koichi Yonezawa and Hiroshi Tokutake, Physics of Interaction Between Multiple Rotors and an Upper Wall, 7th Asian/Australian Rotorcraft Forum, Jeju Island, Korea, Oct 30 – Nov 1, 2018. ARF7-A-04 (180038).
5) Koichi Yonezawa, Hironori Matsumoto, Kazuyasu Sugiyama, Yasutada Tanabe, Hiroshi Tokutake, Shigeru Sunada, An Experimental Investigation of Aerodynamic Characteristics of a Quad-Rotor-Drone Hovering near a Side Wall and a Ceiling, 7th Asian/Australian Rotorcraft Forum, Jeju Island, Korea, Oct 30 – Nov 1, 2018. Poster03(180049).
JSS2利用状況
計算情報
- プロセス並列手法: 非該当
- スレッド並列手法: OpenMP
- プロセス並列数: 1
- 1ケースあたりの経過時間: 720 時間
利用量
総資源に占める利用割合※1(%): 0.40
内訳
JSS2のシステム構成や主要な仕様は、JSS2のシステム構成をご覧下さい。
計算システム名 | コア時間(コア・h) | 資源の利用割合※2(%) |
---|---|---|
SORA-MA | 749,684.66 | 0.09 |
SORA-PP | 525,280.31 | 4.20 |
SORA-LM | 0.00 | 0.00 |
SORA-TPP | 0.00 | 0.00 |
ファイルシステム名 | ストレージ割当量(GiB) | 資源の利用割合※2(%) |
---|---|---|
/home | 4,502.50 | 4.66 |
/data | 5,096.67 | 0.09 |
/ltmp | 2,564.71 | 0.22 |
アーカイバシステム名 | 利用量(TiB) | 資源の利用割合※2(%) |
---|---|---|
J-SPACE | 7.94 | 0.28 |
※1 総資源に占める利用割合:3つの資源(計算, ファイルシステム, アーカイバ)の利用割合の加重平均.
※2 資源の利用割合:対象資源一年間の総利用量に対する利用割合.
JAXAスーパーコンピュータシステム利用成果報告(2018年4月~2019年3月)