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複雑形状まわりの圧縮性乱流および空力音響の高精度数値解析に関する研究

JAXAスーパーコンピュータシステム利用成果報告(2018年4月~2019年3月)

報告書番号: R18JACA38

利用分野: JSS2大学共同利用

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  • 責任者: 淺田啓幸, 立命館大学 理工学部機械工学科
  • 問い合せ先: 淺田啓幸(h-asada@fc.ritsumei.ac.jp)
  • メンバ: 淺田 啓幸, 大上 芳文, 西田 大輔

事業概要

本研究の目的は, 高次精度非構造格子法であるdiscontinuous Galerkin (DG)法と非定常乱流を高精度に予測するlarge eddy simulation (LES)の二つをベースとした高精度空力音響解析ソルバーを確立することである. また, このソルバーとJSS2を用いて, 航空機の高揚力装置まわりに発生する機体騒音の詳細メカニズムの解明を目指す.

参照URL

なし

JSS2利用の理由

本研究が目指すLESによる高精度乱流解析および高精度空力音響解析は, 膨大な数の計算格子を用いた大規模解析なため, 実現するためにはスパコンが必須である. また, DG法は膨大な大規模解析上で高い実行効率を実現し, スパコン上でその真価を発揮する.

今年度の成果

今年度は, (1)DG法を用いた壁乱流LES解析に必要な計算格子数の検証, (2)DG法を用いた高精度空力音響解析におけるsponge layerの基礎検証を行った.

(1)DG法を用いた壁乱流LES解析に必要な計算格子数の検証: DG法に関する研究は古くからあり, 航空機まわりの定常流解析などにも適用されてきたが, 非定常乱流のLESに適用した例は少ない. そのため, 空力音響で重要となる壁乱流を高精度に予測するために必要な計算格子数も明らかになっていない. 本研究では, チャネル乱流を対象として高精度壁乱流解析に必要な計算格子数を明らかにする. まず, 空間3,4次精度DG法を用いて, 構造格子における流れ方向, スパン方向, 壁垂直方向の計算格子数を様々に変化させて解析を行った. 図1は, 流れ方向の平均流速に対するスパン方向の計算格子幅の影響を示しており, 空間4次精度では粗い計算格子でも対数則をよく予測できていることが分かる. また, 壁面に並行な面において, 構造格子の場合と同様の計算格子条件の下, 3つの非構造格子(aligned mesh: 構造格子を単純に三角形に分割, irregular mesh: 不規則な三角形格子, quad-dominant mesh: 四角形が多く含まれる格子)を作成し解析を行ったところ, どの非構造格子においても構造格子と遜色ない解析結果が得られた(図2). 最後に, フーリエ解析によって得られるdispersionとdissipationと得られた解析結果の関係から, 他の空間精度でも使用可能な計算格子数のガイドラインを提案し, 空間5次精度で提案したガイドラインが使用可能であることを示した.

(2)DG法を用いた高精度空力音響解析におけるsponge layerの基礎検証: sponge layerは, 音波を外部境界に達する前に減衰させることで, 外部境界における非物理的な反射を抑制する手法である. 近年では, Maniらによってsponge layerのガイドラインが解析的に示されているが, sponge layerでの計算格子(以下, sponge mesh)の必要性については未だ明らかとなっていない. sponge layerにおける解は人工的に減衰させられるため, sponge meshの数は削減すべきと考えられる. 本研究では, DG法とsponge layerを用いた音波伝播解析と渦移流解析を対象として, sponge meshの影響を検証した. その結果, 渦移流解析でsponge meshが粗い場合に, 非物理的な高い周波数の音波が発生するという大きな問題が生じることが明らかになった(図3). この高周波は, sponge layerではなく粗い計算格子が問題であり, sponge layerによりむしろ抑制されていることも明らかにした. これは, 最適なsponge meshが存在することを示しており, sponge layerによる解の減衰プロファイルとdispersion, dissipationの関係性から, sponge meshの設計が可能であることを示した.

Annual Reoprt Figures for 2018

図1: 流れ方向の平均流速に対するスパン方向の計算格子の影響(空間3, 4次精度DG法, 4次精度の結果はy軸方向に5移動している).

 

Annual Reoprt Figures for 2018

図2: 流れ方向の平均流速に対する非構造格子の影響(空間3, 4次精度DG法, 4次精度の結果はy軸方向に5移動している).

 

Annual Reoprt Figures for 2018

図3: sponge layerを用いた渦移流解析(粗いsponge mesh, 空間10次精度DG法).

 

成果の公表

-査読付き論文

1) H. Asada and S. Kawai, "A Simple and Cellwise High-Order Implicit Discontinuous Galerkin Scheme for Unsteady Turbulent flows", Transactions of JSASS, Vol. 62, No. 2, March 2019.

-査読なし論文

1) H. Asada and Y. Ogami, "A sponge layer for accurate aeroacoustic simulations using high-order discontinuous Galerkin methods", AIAA paper, AIAA 2019-1805, 2019.

-口頭発表

1) 淺田啓幸, 河合宗司, 「高次精度DG法を用いた空力音響解析に対する基礎検証」, 第50回流体力学講演会/第36回航空宇宙数値シミュレーション技術シンポジウム, 宮崎市民プラザ, 2018年7月.

2) H. Asada and Y. Ogami, "Basic investigations of aeroacoustics simulations using LES and high-order DG methods", 29 th International Symposium on Transport Phenomena, Hawaii conventional center, November, 2018.

3) H. Asada and Y. Ogami, "A sponge layer for accurate aeroacoustic simulations using high-order discontinuous Galerkin methods", AIAA Science and Technology Forum 2019, Manchester Grand Hyatt San Diego, January, 2019.

JSS2利用状況

計算情報

  • プロセス並列手法: MPI
  • スレッド並列手法: 非該当
  • プロセス並列数: 32 - 1028
  • 1ケースあたりの経過時間: 30 時間

利用量

 

総資源に占める利用割合※1(%): 0.24

 

内訳

JSS2のシステム構成や主要な仕様は、JSS2のシステム構成をご覧下さい。

計算資源
計算システム名 コア時間(コア・h) 資源の利用割合※2(%)
SORA-MA 2,203,449.40 0.27
SORA-PP 2,075.23 0.02
SORA-LM 24.61 0.01
SORA-TPP 0.00 0.00

 

ファイルシステム資源
ファイルシステム名 ストレージ割当量(GiB) 資源の利用割合※2(%)
/home 42.92 0.04
/data 5,264.28 0.09
/ltmp 8,789.07 0.75

 

アーカイバ資源
アーカイバシステム名 利用量(TiB) 資源の利用割合※2(%)
J-SPACE 0.00 0.00

※1 総資源に占める利用割合:3つの資源(計算, ファイルシステム, アーカイバ)の利用割合の加重平均.

※2 資源の利用割合:対象資源一年間の総利用量に対する利用割合.

JAXAスーパーコンピュータシステム利用成果報告(2018年4月~2019年3月)


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所在地

JAXA(宇宙航空研究開発機構) 調布航空宇宙センター
所在地 〒182-8522 東京都
調布市深大寺東町7-44-1