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CMB偏光観測衛星LiteBIRDの光学要求解析

JAXAスーパーコンピュータシステム利用成果報告(2018年4月~2019年3月)

報告書番号: R18JACA34

利用分野: JSS2大学共同利用

PDFはここからダウンロード

  • 責任者: 永田竜, 高エネルギー加速器研究機構
  • 問い合せ先: 永田竜(rnagata@post.kek.jp)
  • メンバ: 永田 竜

事業概要

原始重力波の存在はインフレーション理論に通有の予言であり, その波の強度は「インフレーションのエネルギースケール」の指標である. LiteBIRD は偏光地図の奇パリティ成分に刻印された原始重力波の信号検出を目的としたマイクロ波背景輻射偏光の衛星観測計画である. 原始重力波に由来する偏光信号は, 既に観測で確認されている密度揺らぎ由来の偏光成分に比較して極めて微弱な信号であると考えられており, その検出に向けた取り組みにおいては, 徹底した系統誤差の理解と克服が必要不可欠な要素である.

ファーサイドローブを経由した銀河面からの輻射流入は前景放射分離に大きな影響を与え, 最大の汚染源の一つと考えられている. 本研究では, ビーム畳込みのフルシミュレーションを行うことで, 実際の光学系では避けられない不規則なサイドローブに由来する系統誤差を定量的に評価する. 本年度は宇宙科学研究所 Phase-A1 終了審査に際して更新された最新の走査方式を組み込んだシミュレーションを行った.

参照URL

LiteBIRD: インフレーション宇宙を検証するCMB偏光観測小型科学衛星」参照.

JSS2利用の理由

偏光の全天地図を作成するため LiteBIRD は走査観測を行う. そのため, ビーム畳込み計算はサンプリングレートである約 20 Hz の頻度で一年間分繰り返される. GRASP を利用した物理光学計算に基づくビーム関数は数分角の分解能でほぼ全天わたって広がっており, サンプリング毎におよそ百万グリッド点で評価される. 積分とそれに伴う座標変換の繰り返しは莫大な計算量を要求するため, 高性能の数値計算資源を必要とする.

今年度の成果

走査観測, ビーム畳込み, 偏光地図作成からなる一連のシミュレーションを最新の走査方式に基づいて実行し, 走査軌道や衛星の姿勢の違いがサイドローブを経由した輻射流入に与える影響を評価した.

(図1)は焦点面外縁部に位置する素子の 40GHz 帯ビーム関数を用いてマイクロ波背景輻射偏光の観測をシミュレーションした結果の角度パワースペクトル(実線:新スキャン, 破線:旧スキャン)である. このビーム関数はピークから 0.2 から 0.4 ラジアン離れた場所に局所的な構造を持つため, 非対称性による偽の奇パリティ信号の影響が懸念されたが, 走査方式の変更後も重力レンズによるノイズフロア(黒破線)の 1% 以下に汚染が抑えられており, メインビーム近傍からサイドローブにかけてのビームの振る舞いは良好であると判明した. 一方, (図2)は焦点面中心に位置する素子の 100GHz 帯ビーム関数と, 同帯域の前景放射モデルを用いて, 銀河面からの輻射流入による汚染の程度を評価した結果である. 走査方式を変更したことによる有意な影響は認められないものの 0.2 ラジアン以遠のサイドローブを経由する汚染が依然無視できない振幅を持っていることを確認した.

Annual Reoprt Figures for 2018

図1: 新旧の走査方式によるマイクロ波背景輻射偏光観測の角度パワースペクトル(40GHz, フィードパターンによる角度バイアスは補正済)

 

Annual Reoprt Figures for 2018

図2: 新旧の走査方式による前景放射観測の角度パワースペクトル(100GHz)

 

成果の公表

-口頭発表

永田竜, "CMB偏光観測衛星LiteBIRDにおける系統誤差の研究 XII", 日本天文学会2019年春季年会

-Web

http://litebird.jp/

JSS2利用状況

計算情報

  • プロセス並列手法: MPI
  • スレッド並列手法: OpenMP
  • プロセス並列数: 32
  • 1ケースあたりの経過時間: 2.5 時間

利用量

 

総資源に占める利用割合※1(%): 0.16

 

内訳

JSS2のシステム構成や主要な仕様は、JSS2のシステム構成をご覧下さい。

計算資源
計算システム名 コア時間(コア・h) 資源の利用割合※2(%)
SORA-MA 1,505,770.67 0.18
SORA-PP 34.83 0.00
SORA-LM 0.00 0.00
SORA-TPP 0.00 0.00

 

ファイルシステム資源
ファイルシステム名 ストレージ割当量(GiB) 資源の利用割合※2(%)
/home 9.54 0.01
/data 1,907.35 0.03
/ltmp 1,953.13 0.17

 

アーカイバ資源
アーカイバシステム名 利用量(TiB) 資源の利用割合※2(%)
J-SPACE 0.00 0.00

※1 総資源に占める利用割合:3つの資源(計算, ファイルシステム, アーカイバ)の利用割合の加重平均.

※2 資源の利用割合:対象資源一年間の総利用量に対する利用割合.

JAXAスーパーコンピュータシステム利用成果報告(2018年4月~2019年3月)


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JAXA(宇宙航空研究開発機構) 調布航空宇宙センター
所在地 〒182-8522 東京都
調布市深大寺東町7-44-1